今週のSaaSニュース! Vol.77(11/28週)
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今週の資金調達ハイライト
◆ 金融業特化クリプトアセット管理SaaS Fireblocks $310M
Fireblocksは、金融業向けに暗号通貨(クリプト)への投資ビジネスの立上げからアセット管理までを提供するCrypto×SaaSスタートアップ。2019年6月のローンチから500以上の金融機関で利用されている。ローンチから過去2年間で年間売上は+450%、+350%(予測)と暗号通貨への投資熱の高まりと共に高い成長を持続している。これまでの総取引額は$1T(=110兆円)を超える。本シリーズDは、Sequoia Capital、Stripes、Spark Capitalの3社がリードした。バリュエーションは前回の3倍超の$2.1B。(Fireblocks動画)
◆ ローカル言語対応自動化・管理SaaS Smartling $160M調達
2009年創業のSmartlingは、ウェブコンテンツをローカル言語への翻訳を自動化し、コンテンツ管理まで一括して行うSaaSスタートアップ。自然言語処理技術と社内の160名以上の翻訳スタッフと数千人の翻訳家による文脈を理解した校正が強み。世界的に越境でのオンライン取引の急速な増加に伴い、ローカル対応のニーズは高い。今回Battery Venturesをリード投資家に迎え、資金調達を行った。(Smartling動画)
◆ R&Dを加速する高性能コンピューティングSaaS Rescale $160M調達
Rescaleは、マルチクラウド環境で高速計算処理が必要なエンタープライズ企業向けに高性能コンピューティング(HPC)をSaaSで提供するスタートアップ。例えば、コロナ禍のワクチン開発では短期間での開発に利用されたり、宇宙開発のエアロスペース分野でも高速×高精度の計算処理に利用されている。クラウド大手のMicrosoftやAWS、ハード開発の日立やSamsung、チップ開発のNVIDIA等とも提携している。本シリーズCでは、Jeff Bezos、Peter Thiel、Paul Graham、Richard Bransonなどのテクノロジー産業の重鎮などから資金調達を行った。(Rescale動画-日本語字幕付き)
◆ All-in-oneコラボレーションツール Airtable $700M超調達: Notionなどと共にコラボレーションツールの代表格。今回バリュエーションは$11.7B。
◆ クリプト決済SaaS MoonPay $555M調達: 仮想通貨の売買をクレカ、モバイルウォレット、銀行送金を実現するSaaS。総取引量は2年で35倍。本ラウンドは、CoatueとTiger Globalの共同リード。バリュエーションは$3.4B。
◆ クラウドネイティブBaaS Thought Machine $200M調達: 2014年に元Googlerが創業したBaaS(Banking as a Service)スタートアップ。本シリーズCは、Nyca Partnersがリード。バリュエーションは$1B越え。
◆ブロックチェーンセキュリティSaaS CertiK $80M調達: ブロックチェーン特化のサイバーセキュリティSaaS。昨年の売上成長率は20倍。本シリーズB2はSequoia Capitalがリード投資家。バリュエーションは約$1B。
◆ 飲食店向けモバイルオーダーSaaS Mr Yum $65M調達: オーストラリア発の飲食店向けにQRコードベースのオーダー・決済SaaS。レストラン向けShopify。本シリーズAはTiger Globalがリード投資家。
◆ All-in-one ホテル運営管理SaaS Life House $60M調達: 自身でもブティックホテルを運営し、個人ホテルオーナー向けにホテル運営に必要なSaaSを全て提供。本シリーズCは、KayakとInovia Capitalがリード投資家。
◆ 従業員向け福利厚生提供SaaS ThreeFlow $45M調達: 企業向けに福利厚生を販売する保険ブローカー向けのSaaS。本シリーズBはAccelがリード。
今週の主なIPO/M&A
マーケットトレンド
◆ 未来のFintech? サプライチェーンSaaSの未来
サプライチェーンマネジメント(SCM) SaaS Shippoに出資する米VC Bessemer Venture PartnersによるSCM分野のSaaSの可能性について考察した記事。B2Bマーケットプレイス/ECの進化と共に、注目度が高まっている。グローバルのサプライチェーン市場は世界全体のGDPの12%を占め、1,000兆円(成長率 +5%)を超える超巨大市場。Bessemerの投資仮説は、Fintechエコシステムのアナロジーから、1)データインフラ、2)ワークフロー自動化、3)コラボレーションの3つの領域にユニコーン級SaaSの可能性があると見ている。
ストラテジー
◆ SaaSパッケージングとセグメンテーション
米VC Bessemer Venture Partnersによる「SaaSスタートアップ向けのプライシング」に関する連載。今回は、顧客セグメンテーションの重要性について解説している。プライシングに関するセグメンテーションは、顧客セグメント別のWilling to pay(WTP, 支払意志額)、プロダクトのパッケージング、購買行動の違いを加味する必要がある。良くあるパッケージングの例は以下の通り。記事では、プライシングに関わる顧客セグメンテーションの間違いにより発生する3つの症状(以下)についても触れています。
よくある顧客セグメンテーションの3つの失敗例
1) 食べ放題(All-you-can-eat)でupsell機会の損失
2) 全顧客を満足させようとした結果、顧客目線でプロダクトが複雑化
3) 機能の複雑化に伴い、売り方も複雑化
カスタマーサクセス
◆ 起業家向けユーザーコミュニティ作成ガイド
「プロダクトを中心にユーザーコミュニティをいかに作るか?」について、元Airbnb Product ManagerのLennyさんによるコミュニティ初心者の起業家向けガイド。Product Managerらしく、詳細かつ丁寧に書かれているので参考になると思います。
プロダクト開発
◆ テーマベース・ロードマップとは?
プロダクトロードマップの作成は、PMや初期の事業責任者である起業家の重要な仕事の1つです。よくある間違いとして、顧客や営業の要望や、競合との機能比較から足りないものを埋めるような、機能ベースで安易に作成してしまうことがあります。こちらの記事は、会社と顧客双方に価値のある、テーマベース・プロダクトロードマップの優位性と作成方法をPM向けSaaS Product Plan社が解説しています。
ここで言うテーマとは「会社が解決したい課題に対するゴール/目標」を指します(例えば「チャーンを1%未満に下げる」など)。主な優位性は以下の通りです。米スタンフォード大学のPM講座でも推奨されている手法で、米国SaaSやAmazonのような大手テクノロジー企業では一般的な手法として利用されています。
テーマベース・ロードマップの主な優位性
1) 戦略的な意思決定をしやすい
2) 経営陣を説得しやすい
3) 優れたプロダクトを産む
4) アイディアが出やすい
5) トップダウンで、ロジカルに計画を作れる
マネジメント
◆ 平均的なマネージャーと優れたマネージャー
Facebookの初期メンバーの1人で、ベストセラー『フェイスブック流 最強の上司』の著者で知られる元VP of Product Design Julie Zhuo氏による、普通 vs優れたマネージャーの違いを漫画で描いたブログ。この本の内容と重複しますが、部下へのタスクの振り方や1on1、フィードバックの仕方をわかりやすく図解しています。この著書も、管理職とはどういう仕事か?について彼女の苦労話や学び、方法論を丁寧に解説しているのでおすすめです。
ファイナンス
◆ スタートアップの5つのエグジットオプションとは?
2021年は日米ともにIPOが豊作の一年でした。こちらのa16zのメディアFutureの記事は、エグジットの5つの手法-IPO、SPAC、M&A、ダイレクト・リスティング(DL)、セカンダリ取引-の概要や直近のトレンドについて解説しています。少し長めですが、ファイナンスに不慣れな方には概要を掴む上でオススメの記事です。
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