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今週のSaaSニュース! Vol.52(6/6週)

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注目!資金調達ニュース

AI自動文字起こし/字幕生成SaaS Verbit $157M調達@$1B+

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Verbitは、教育、メディア、法務、公共セクター向けにSpeech to Textによる自動文字起こし、ビデオの字幕生成をすることができるSaaSを提供している。AIでの文字起こしと、修正作業を行う3万人のフリーランサーにより、99%の精度を実現している。顧客には、ハーバード大学やスタンフォード大学などの著名大学やCNN、FOXなどの大手メディア企業など、1,300もの機関や企業を顧客に持つ。同社の売上継続率(NRR)は、163%に達する。自動文字起こし市場は約3兆円あり、米マイクロソフトが買収を計画している、ヘルスケア特化のNuance社が上場企業として存在している。今回のシリーズDは、Sapphire Venturesなどから総額$157Mを調達した。

1分10秒でわかるVerbit(動画)

ユーザー活用状況分析SaaS Amplitude $150M調達@$4B

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Amplitudeは、SaaSなどのプロダクトの利用ユーザーの行動を分析し、ユーザーエンゲージメントを高める等のグロースハックを行うSaaSを提供しているスタートアップ。企業のソフトウェア化が進む中で、2020年度は年間売上は前年比+50%と過去最高の成長率を達成しており、新規顧客は+400社、ACV $1M超の顧客も+15社と大きく成長した。エンタープライズがターゲットで、Fortune 100の20%がAmplitudeを導入している。今回シリーズFは$4Bのプレバリュエーションで、Sequoia Capitalなどから$150Mを調達した。

1分30秒でわかるAmplitude(動画)

現場ワーカー向けコラボレーションSaaS MaintainX $39M調達

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MaintainXは、工場での作業や設備の点検などを行う現場ワーカー向けに、モバイル特化型のコラボレーションツールを提供するSaaSスタートアップ。工場などの現場にあるクリップボードやエクセルの印刷物の代替により、世界に27億人いると言われるデスクレスワーカーの生産性・安全性向上を目指している。昨年2020年は、売上は前年比12倍、顧客数は同6倍と大幅に伸ばしている。本シリーズBでは、Bessemer Venture Partnersなどから$39Mを調達した。

3分でわかるMaintainX(動画)

組織図ベース従業員分析SaaS ChartHop $35M調達

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企業内のDXが進む中で、人に紐づくデータがHR部門に集まるようになりました。ChartHopは、組織図(Org. Chart)をベースに、従業員情報を解析する「ピープル・アナリティクス」をSaaSで提供するスタートアップ。活用方法は、従業員満足度や離職率の分析から、従業員のリテンション戦略の策定に利用されたり、ESGやD&Iが重視される中で、従業員の多様性や給与の公平性を分析するのに活用されている。特に従業員数の増加が著しい、ZoominfoやMongoDBなどの大手テクノロジー企業に導入されている。直近12カ月は急成長を遂げており、月次売上は+17%(年間ベースで約6倍)で成長している。今回シリーズBでは、バリュエーション$300-400Mで、Andreessen Horowitzなどから$35Mを調達した。

2分でわかるChartHop(動画)

Marqeta, Monday.com 上場今週は2社の注目×高成長SaaS企業がNASDAQに上場を果たした。1社目のMarqetaは、API経由でカード発行、決済機能を提供するFintech×SaaS企業。ARR(ランレートベース)は、$431M(YoY +123%)と規模に比して驚異的な成長をしている。NRRは歴代のSaaS上場企業トップの200%+を達成している。一方で、売上の70%超をSquare1社の成長に依存していることはリスク要因。現在の時価総額は$15.6B。2社目のMonday.comは、直観的なUIで使える、イスラエル発のプロジェクト・タスクマネジメントツール のSaaS企業。直近のARR(ランレートベース)は、$236M(YoY +85%)と高い成長の一方、NRRは107%と低め。現在の時価総額は$7.6B。

日本発HR SaaSユニコーン SmartHR(日) 156億円調達言わずと知れた日本を代表するSaaSスタートアップ SmartHRが、Sequoia Capital Global Equitiesなどから156億円を調達した。ARR 45億円(YoY +106%)と米国のトップSaaSスタートアップ並みの成長率を実現している。

建設業向けFintech×SaaS Briq $30M調達Briqは先日IPOしたProcoreの元経営幹部の1人が立ち上げた、建設プロジェクトのファイナンス計画/予測を行うSaaSを提供している。建設にかかるコストの決済プラットフォームの地位を狙っている。本シリーズBは、Tiger Globalなどから$30Mを調達した。

スパ・サロン・ジム特化型SaaS Zenito $80M調達@$1.5BZenitoは、Mindbodyのように、フィットネスジムやヘアサロンなどのサービス業向けに予約管理から顧客エンゲージメント、決済などをall-in-oneで提供するSaaSユニコーン。今回TPGから$1.5Bのバリュエーションで$80Mを調達した。

農業ワーカー向けHRtech SaaS Ganaz $7M調達銀行口座を持っていない農業従事者と雇用企業に向けて、スマホベースでの給与決済の他、コミュニケーションや勤怠管理などのHRソリューションを提供するスタートアップ。今回シリーズAでBessemer Venture Partnersから$7Mを調達した。

市場トレンド

ARR 0→1億円の年間成長率はどのくらいか?

T2D3に代表されるようなARRの成長率目標は、ARR $1M(約1億円)以上では一般的な一方、ARR $1M以下ではどの位の成長率を目標にすべきかは一般的なベンチマークが無い。本記事では、米国の未上場SaaSスタートアップのデータを集めているScale Venture Partnersによる、現在の米国SaaSスタートアップのARRレンジ別の年間成長率データをまとめて紹介しています。ARR 0→1億円レンジでは、年間+365%が上位50%に相当するので、年間で4-5倍の売上アップが1つのベンチマークになると思います。

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ストラテジー

SaaSのNRR(売上継続率)ベンチマークとマルチプルへの影響

この記事は、Gainsight主催のカンファレンス「Pulse 2021」にて、複数のSaaS企業の経営幹部/起業家を経験したDave Kellogg氏による、売上継続率(NRR/NDR)の現在のマーケット評価における重要性と、ステージ別のベンチマーク情報を解説したセッションのまとめ記事。注目すべき点は、現在の上場SaaS企業のEV/Revenueマルチプルに、NRR(R^2 0.4)が売上成長率(R^2 0.37)よりも相関があること、つまりNRRが高いとマルチプルが上がる傾向があることを、分析から示しています。また、以下の通り、未上場スタートアップ時のNRRのベンチマークについても公開しています。

※Dave Kellogg氏のプレゼン資料はこちら

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プロダクト

新プロダクトを人に知ってもらう7つの方法

プロダクトマーケティングでいかに最初の認知をとるチャネルを特定するかは、非常に重要かつ難しい課題です。特にオンラインでのリーチが難しい産業特化型のインダストリーSaaSでは、アーリー期によく直面する課題です。本記事は、Airbnbの元PMで人気テックブロガー Lenny Rachitsky氏による、プロダクトの認知を取る基本的な7つの方法を解説した記事です。SaaSでは使いにくい方法もありますが、"Out of box"で考える際にフレームとして使ってみるのも良いかと思います。

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マネジメント

これからの働き方:オフィスに戻るか?リモートか?

ポストコロナの働き方はどうなるのか?今後成長する市場やサービス展開、そして採用を含めたマネジメントを考える上では、非常に重要な論点です。本記事は、米VC Andreessen Horowitzによる「投資先CEOに聞いたポストコロナの働き方」に関するサーベイ結果と考察です。およそ2/3のスタートアップは、リモートとオフィス併用のハイブリットモデル(下図)を採用する予定で、オフィス通勤は週1-2日を想定しているとのことです。日本でも同じ傾向かは不透明ですが、同じようにハイブリットモデルでの環境下でのマネジメントの必要性が出てくる可能性は高いと思います。

※a16zによるサーベイ結果資料はこちら

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ファイナンス

日本のIPOの現状と変えるべきもの

すでに多くの方が読まれたと思いますが、One Capital 盛島さんによる、日本のSoftwareとInternetのIPOの分析から、日本のテックスタートアップのミスプライシングの実態を解説した記事。米国ではIPO pop(IPO当日の株価上昇率)は+15-25%が理想とされる一方、日本ではIPO popが114%(中央値)と非常に高い状態です。つまり、IPO時に日本のスタートアップは、本来の価格より安く売りに出されており、全体で数千億円という莫大な金額がスタートアップ側に還元されない不公正な実態があると言えます。ファイナンスに明るくないスタートアップ経営者の方も、自社の将来のIPOに向けて非常に大きな論点ですので、一度お読みになることをお勧めします。

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