今週のSaaSニュース! Vol.53(6/13週)
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注目！資金調達ニュース
■ 従業員向けメンタルヘルスケアSaaS Lyra Health $200M調達@$4.6B
Lyra Healthは、医学的に証明されたメンタルヘルスの予防/維持のサポートを大手企業の従業員向けに提供する、メンタルヘルス関連ソフトウェアのリーディング企業です。コロナにより従業員のメンタルヘルスケアは社会問題になり、離職や求職の予防のみならず、ハイパフォーマーのパフォーマンス維持にも欠かせません。Lyraは、5,000人超の医者やコーチなどの専門家ネットワークと、8万5千社超の提携機関を有し、世界で220万人のユーザーを有する。Lyraの強みは、そのプログラムの有効性にある。一般なサービスでは、うつ症状の改善は被験者の24％に留まるのに対し、Lyraの被験者の83％で改善が見られた。本シリーズFでは、$4.6Bのバリュエーションで、Coatueなどから$200Mを調達し、グローバル展開に更なる投資をする予定。
■ 銀行向け次世代デジタルサービス構築SaaS 10x $187M調達
ネオバンクやチャレンジャーバンクなど、新興フィンテックプレイヤーの隆盛により、既存プレイヤーである銀行は、現代の顧客が求めるデジタルサービスへのシフトが急務になっている。英・ロンドン発の10x Future Technologiesは、銀行の求める堅牢性を満たしつつ、次世代の金融サービスを構築するBaaS(Banking as a Service)を提供するスタートアップ。創業者兼CEOのAntony Jenkins氏は、英バークレイズ銀行 元CEOを務めた人物。今回ラウンドは、Blackrockとカナダ年金基金(CPP Investments)などから$187Mを調達し、米国での展開を加速させる。
■ EC特化データ分析SaaS Stackline $130M調達
ステイホームによる、eコマースの急激な浸透は、小売/ブランド企業と顧客とのリレーション作りを大きく変えた。Stacklineは、EC上でのショッパーの行動分析や、EC事業者のマーケ、在庫管理、オペレーションなどを統合して分析し、顧客のロイヤリティを高めるインサイトを提供するEC特化SaaSスタートアップ。ソニーやスターバックス、Levi'sなど世界的なブランド企業を顧客に抱える。世界20か国以上で利用されており、直近では、WalmartやInstacart、Amazonなどとも連携するプロダクトをリリースした。今回は、グローバルPEファームであるTA Associatesから$130Mを調達した。
■ ユーザーフィードバック管理SaaS UserLeap $38M調達
顧客からのフィードバックは、SaaSなどのテクノロジー企業にとって最も価値のある情報です。UserLeapは、PdM向けに、顧客がなぜサインナップし、利用し続けているかを調査する75以上のテンプレートを提供し、リアルタイムの顧客インサイトを自動で抽出するツールを提供している。Adobe、Square、Dropboxなどの大手SaaS企業も利用している。UserLeapはProduct Led Growth(PLG)モデルを採用しており、年初から6ヶ月で売上は300％成長を達成している。本シリーズBでは、Andreessen HorowitzやAccelなどの米トップVCに加え、元Airbnb PdMの人気ブロガー Lenny Rachitsky氏などから$38Mを調達した。
■ ブラウザテストSaaS BrowerStack $200M調達@$4B: BrowserStackは、実際のブラウザの実行画面をWEB経由で表示・操作テストできるインド発SaaS。ブラウザとOSの組み合わせ、700以上に対応。本ラウンドは、$4Bのバリュエーションで、Mary Meeker率いるBond Capital、Accel、Insight Partnersから$200Mを調達。今回の調達で、インド発SaaSスタートアップとしてNo.1の評価額となった。
■ 産業向けIoT/OTセキュリティSaaS Claroty $140M調達: Clarotyは、エネルギーや消費財、製薬などの製造業のプロセスで利用されている、IoTやオペレーション・テクノロジー(OT)のセキュリティに特化したSaaSスタートアップ。コカ・コーラやファイザーなどが顧客。今回プレIPOラウンドとして、Bessemer Venture Partnersなどから$140Mを調達した。
■ 電子メール同期API×SaaS Nylas $120M調達: TwilioやStripeなどのAPI提供型で急成長するSaaSスタートアップが増えている。Nylasは、Eメールを中心にカレンダーや他の生産性向上ツールとの連携や自動化を行うAPIプラットフォームを提供するSaaSスタートアップ。利用する開発者は、8万人を超えた。今回のシリーズCは、Tiger Globalなどから$120Mを調達した。
■ 学校向けテスト/宿題管理SaaS Formative $70M調達: Formativeは、K-12（幼稚園~高校)の教育機関向けに、教師が生徒への宿題やテストをオンラインで提供・回収・評価できるSaaSを提供している。FormativeもPLG型モデルを採用している。今回、Summit Partnersなどから$70Mを調達した。
■ レストラン向けオンラインオーダーSaaS Popmenu $65M調達: Popmenuは、レストランがウェブサイト構築、オンラインオーダー、マーケティングなどを簡単に行うことができるSaaSを提供している。今回シリーズCで、Tiger Globalなどから$65Mを調達した。
市場トレンド
米国での起業を取り巻く環境の変化と、起業を支援するプラットフォームの3つタイプ(上図)と成功するための6つのルールをまとめた記事。起業大国アメリカでは、複雑な法規制や大手への一極集中により、新規ビジネスの創出は年々減少しており、起業のハードルは高まっている。この背景の中で、この起業のハードルをテクノロジーの力で下げ、起業家を支援するSaaSなどのプラットフォームが大きく成長している。この領域での成功の6つの要諦は、SMB向けSaaSの方には参考になると思います。
起業家支援プラットフォームの成功の要諦
1) 解約ではなく、売上成長にフォーカスする
2) 成長する顧客と共に成長する
3) 副業から本業へ変える支援をする
4) ファネルを短く、CVRを上げる
5) 顧客が競合となる大手に勝てる武器を与える
6) 「ファウンダー・マーケット・フィット」を重視する
ストラテジー
元Airbnb PdMでグロースハック関連の人気ブロガーLenny Rachitsky氏が、Andreessen Horowitzの立上げた新メディア「Future」に寄稿した、テックスタートアップの成長に最も重要なNorth Star Metrics（=会社の北極星となる指標）の選び方を解説した記事。SaaS企業のNorth Star Metricsは、ARRなどの結果指標ではなく、その成長に最も寄与する指標が選ばれるため、プロダクトや顧客属性によって多種多様です。マーケットプレイス、SaaS、メディア、アプリなど様々なビジネスモデルでの事例が豊富なので、自社のNorth Star Metricsを考える上で非常に参考になると思います。
プロダクト
AttlasianでHead of Productなどを歴任し、現在はProduct MaestroのCPOを務めるConnie Kwan氏による、プロダクトマネージャー(PdM)の4段階のレベルとプロダクトマネジメント職に求められる要件についてまとめた記事。Kwan氏曰く、下図の通り、Shipping(PdM)→Planning(Senior PdM)→Strategic(Director/VPレベル)→Strategic Partnering(CPO)と求められる役割が変わると解説している。SaaS企業のプロダクトマネジメント組織の要件に参考になると思います。
ファイナンス
持ち株の希薄化は、起業家にとって悩ましいイシューの1つです。こちらのSaaStrの記事は、数々のSaaSユニコーンの起業家との対話の中で得られた、希薄化に関するインサイトのまとめです。
希薄化に関する学び
1) 退職する共同創業者による希薄化を避けるためにテストする
2) 資金調達は、必要な調達額+25%で調達する
3) 資金調達は、将来必要であれば、valuationが高い時にする
4) 資金調達で、市場を独占できそうなら資金調達する
5) 2)-4)でないなら、資金調達しない(後悔するから)
6) 従業員SOによる希薄化もバカにならない
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