今週のSaaSニュース! Vol.66(9/12週)
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今週の資金調達ハイライト
飲食/小売特化 POS/決済SaaS SpotOn $300M調達
2017年創業のSpotOnは、レストラン/小売などのSMB向けに、POSや決済を中心に予約管理やオンラインオーダーのSaaSとハードウェアを統合型で提供するスタートアップ。直近18ヶ月で売上3倍、12ヶ月で2倍と好調。今回、スポーツスタジアムや動物園などの大型商業施設向けにコンタクトレス決済を提供するAppetizeを買収。Appetizeは、米MLBのスタジアムの65%のシェアを持っており、今後SpotOnのエンタープライズ強化の足掛かりにする計画。今回のシリーズEは、前回同様Andreessen Horowitzがリードで、$300Mを調達。バリュエーションは、前回の5倍以上の$3.15B。(SpotOn動画)
SMB向け 統合型B2B決済SaaS Melio $250M調達
Melioは、SMB企業がキャッシュフローを適切に管理できるように、請求書の支払いを銀行振込、カード支払い、カード決済に対応していない場合にもカードに対応する統合型決済サービスを提供するスタートアップ。過去18ヶ月で、月間決済総額は驚異の5,000%増加。コロナ禍でキャッシュフローに課題を抱えるSMBが増えている。MailChimpの買収で話題のIntuitの提供するQuickBooksとも提携。今回のシリーズDでは、Thrive Capital、General Catalystなどから$250Mを調達。バリュエーションは、前回の3倍の$4B。(Melio動画)
EC事業者特化 all-in-oneファイナンスSaaS SellersFunding $166.5M調達
SellersFundingは、主にグローバルECの事業者向けに、国際決済、運転資金管理、税務、法人カードなどの事業に関わるファイナンスを一括して提供するSaaSスタートアップ。2017年創業で、現在3万ユーザーを抱え、1日に100億円超のEC販売がSellersFunding上で処理されている。連続で300%の売上成長を持続。本ラウンドは、シリーズAながら$166.5Mの超大型ラウンドで、NorthZoneなどから調達。(SellersFunding動画)
クラウドディレクトリーSaaS JumpCloud $159M調達
SaaS/クラウド管理は、SaaS管理ならSSO、OS別の端末ならMDM、クラウドのリアルタイム管理はADなど、ツールが分野によって氾濫している。JumpCloudは、端末、ネットワーク、SaaS/クラウドを一括管理できるSaaSを提供するスタートアップ。WFH/ハイブリット型の働き方が進む中で急成長している。今回シリーズFで、BlackRockなどから$2.56Bのバリュエーションで、$159Mを調達。(JumpCloud動画)
エンプラ小売向けヘッドレスEC SaaS Commercetools $140M調達
Shopifyは、中小の小売に対し、かんたんにECサイト構築やAmazonなどのマーケットプレイスへの出品を可能にした。しかし、大手の小売は要望も複雑で、Shopifyでは対応しきれない。Commercetoolsは、大手の小売の多様なEC対応の要望に、500以上のAPIを通して応えられる、ヘッドレスコマースSaaS分野のスタートアップ。アウディやティファニー、AT&Tなどの大手が顧客で、年間100億円程度のEC売上を上げている。本シリーズCは、Accelなどから$1.9Bのバリュエーションで、$140Mを調達。(Commercetools動画)
グローバル×リモート雇用管理SaaS Papaya Global $250M調達:本シリーズDで、$3.7Bのバリュエーションで$250M調達。Insight Partnersがリードで、Tiger Global、Bessemer Venture Partnersなどが参加。
非プロデザイナー向けデザイン作成SaaS Canva $200M調達:本ラウンドは、$40Bのバリュエーションで$200M調達。T.Rowe Priceリードの他、Sequoia Capital Global Equities、Bessemer Venture Partnersなどが参加。
企業のセキュリティリスク評価SaaS BitSight $200M調達:本ラウンドは、$2.5Bのバリュエーションで$200M調達。米信用格付機関 Moody'sが出資。
Amazon並みのEC配送管理を実現するSaaS Sendcloud $177M調達:本シリーズCでは、Softbank Vision Fund 2がリードで、$177Mを調達。
バイオメトリック顧客ID認証SaaS Persona $150M調達:本シリーズCは、Founders Fundがリードし、$1.5Bのバリュエーションで$150M調達。
Mid企業向けSCM管理SaaS Stord $90M調達:本ラウンドは、Kleiner Perkinsがリードし、$1Bのバリュエーションで$90Mを調達。
建設業向け 建設プロセス最適化SaaS Versatile $80M調達:本シリーズBでは、Tiger Globalリードで$80Mを調達。
ダイバーシティ採用管理SaaS Canvas $50M調達:本シリーズCは、Sequoia Capitalなどから$50Mを調達。
今週の主なIPO/M&A
・Gitリポジトリ―管理SaaS GitLabがIPOに向けたS-1提出
・米IntuitがEメールマーケティングSaaS MailChimp買収
マーケットトレンド
Great Attrition -大量退職危機: 危機になるか?好機とするか?
最近米国で大きな社会問題となっている、The Great Attrition -自ら退職をする従業員が急増する現象- に関するMcKinseyの最新の分析と提言レポート。米国では、2021年4月以降、すでに1,500万人以上が退職している。これほどの大量辞職は、過去に類を見ない。この調査では「今後3-6ヶ月で退職を希望する」と考えている従業員は、全体の40%に上り、今後もこのトレンドが続きそうだ。この現象は、人々のコロナ疲れと労働に対する価値観の変化の一方、企業の経営陣はこの変化や従業員の退職理由を把握できておらず、適切な対応が取れていないことが主要因とみられている。本記事では、企業のリーダーがいかに対応すべきかについて解説しています。
スタートアップ経営者は、必読です。
営業&マーケティング
米上場SaaS企業 Asanaでマーケティングヘッドを長年務めた、Emily Kremer氏。彼女が数多くのSaaS企業をみてきた中で、パフォーマンスの高いSaaS企業のマーケ部門のゴール設定に関して考察した記事。長年の業界リーダーとの対話や実務経験から、多くのSaaS企業は、マーケのゴールの設定を間違っているという。よくある間違いは以下。
マーケ部門のゴール設定でよくある間違い
・MQLや売上などのKPIのゴールだけ設定している
・テストや中長期プロジェクトでゴールを設定していない
・設定されているゴールが”測定"できない
・インパクトベースではなく、作業量ベースで設定している
これに対し、Asanaでは以下の4つのゴール(指標/KPI、プロジェクト、実験、Ops)に対して、定量的なゴールをいかに設定しているかを解説している。
※SaaSマーケ部門のゴールテンプレート(リンク)
プロダクト
プロダクト(PdM)部門は、開発部門(CTO)の配下に置くべきか?
PdM/VPoP(VP of Product)職は、創業初期では創業チームが担い、スケールするに従い、開発部門などに遅れて設置される。そのため、特に最初のVPoPは、どの部門/C-class配下に置くかは、よくある問題であり、日本でも間違いがあるケースが多い。Key takeawaysは以下。
1) プロダクト部門(VPoP)は、開発部門(CTO)配下に置くとワークしない
プロダクトマネジメントの名著『INSPIRED』でも語られる通り、プロダクト部門は、ビジネス部門と開発部門との間を結ぶ性質のため、独立性を保つことが非常に重要。開発部門配下に置くと、非常な内向きになり、本来の顧客志向が失われる。ただ顧客=開発者や、創業者兼CTOのケースは例外。
2) VPoPとVPoEを混同しない
プロダクトの複雑性が増してくると、CTOがVPoPを配下に置くケースがあるが、これは間違い。そもそも、それは必要としているのはVPoEであって、VPoPではない。
3) CPO/VPoPは、エンジニアのマネジメント経験が望ましい
エンジニアのマネジメント経験のないCPOやVPoPは、エンジニアからの尊敬を得るのに苦労するケースが多い。但し、必ずしも元エンジニアなどの開発経験者という意味ではなく、PdMワークの中でマネージ経験も含まれる。CPO/VPoP候補者の採用の際には、注意したい。
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