今週のSaaSニュース! Vol.47(5/2週)
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注目!資金調達ニュース
■ サブスクEC版Shopify ReCharge $277M調達@$2.1B
ReChargeは、サブスクリプション型ECビジネスを支援する「サブスクEC版Shopify」として知られるSaaSスタートアップだ。Shopifyは、サブクスリプションECの月額決済処理に課題があり、ReChargeは2014年に創業した。2020年の売上は2倍超とコロナの追い風を受けて大きく成長し、現在は世界10ヵ国に展開し、1万5千社のマーチャントと2,000万人の契約者を抱える。今回のラウンドは、$2.1Bのバリュエーションで、Summit Partners、 ICONIQ Growth、Bain Capital Venturesから$277Mを調達した。
■ SMB/フリーランス向けall-in-one SaaS HoneyBook $155M調達@$1B+
HoneyBookは、小売系SMBやフリーランサー向けに、顧客対応・管理、マーケティング、契約、請求書、決済などの事業運営に必要なSaaSをall-in-oneで提供するスタートアップ。パンデミック発生当初は、不況による顧客の廃業で売上の縮小を危惧していたが、直近12カ月の顧客数は2倍、ARR成長率は3倍と成長を続けている。今回のシリーズDは、Tiger Global、Battery Ventures、Norwest Venture Partners、Durable Capitalなどから$1B超のバリュエーションで、$155Mを調達した。
■ SaaS企業向けコンプラ対応SaaS Vanta $50M調達
SaaSスタートアップがエンタープライズシフトする際に、セキュリティに関連する監査、レポーティングが壁になることがある。2018年 Y-Combinator出身のVantaは、IT内部統制のSOC2、医療情報規制のHIPAA、情報セキュリティの国際基準ISO27001(ISMS)への監査対応を支援するSaaSを提供している。創業者のChristina Cacioppo氏は、Dropbox社でDropbox paperのPdM時代に直面した、ITコンプラ対応の大変さを経験し、Vantaを創業した。現在、NotionやClubhouseなど、1,000社以上のスタートアップで導入されている。本シリーズAは、$500Mのバリュエーションで、Sequoia Capitalから$50Mを調達した。
■ 非代替性トークンNFT向けShopify Bitski $19M調達
デジタルコンテンツやアートでの非代替性トークン(NFT)の活用が、2021年に入って一気に注目されるようになりました。Bitskiは、アーティストやインフルエンサー、ブランド企業が簡単にNFTを利用したECサイトを構築、運用を可能にするSaaSを提供している。主にクリエーターをターゲットにしているが、アディダスの「Trevor×Addidas」でBitskiは利用されている。今回のシリーズAは、Andreessen Horowitzから$16Mを調達した。
■ 法人間決済SaaS Bill.com、法人カード Divvy買収: 時価総額 約1.3兆円のBill.comが、Divvyを$2.5Bで買収。直近のDivvyの業績は、売上~$100M(年2倍成長)と好調な一方、法人カード/支出管理SaaSは、BrexやRampなどのユニコーン同士の競争が激しい分野。SMBに強いBill.comとの顧客とプロダクトシナジーをテコにした成長が狙いとみられる。
■ 顧客体験向上AIチャットボット Ada $130M調達@$1.2B: カナダ発のAdaは、ノーコード型のAIチャットボットのリーダー企業の1社。Facebook、Shopify、Zoomなどが顧客。今回のシリーズCでは、$1.2Bのバリュエーションで、Spark Capital、Tiger Global、Bessemer Venture Partners、Accelなどから$130Mを調達した。
■ 建設プロジェクト管理SaaS OpenSpace $55M調達: OpenSpaceは、画像認識AIを活用し、建築現場の360°画像を撮影することで、プロジェクトの進捗状況を図面と連携して管理できるSaaS。昨年は売上3倍、顧客数2.5倍と好調。本シリーズCは、Alkeon Capitalなどから$55Mを調達した。
■ カスタマイズ可能なeKYC Persona $50M調達: Personaは、カスタマイズ性の高いeKYC/ID認証SaaSを提供するスタートアップ。コロナによるオンライン化でeKYCは急成長分野の一方、競争も熾烈なマーケット。その中でも、Personaは、昨年1年で売上10倍以上の爆速成長を達成。本シリーズBは、Index VenturesとCoatueから$50Mを調達した。
■ 時系列データ管理SaaS Timescale $40M調達: Timescaleは、200万人のMAUを抱える、オープンソース型の時系列データベースのSaaSスタートアップ。本シリーズBは、Benchmark、NEA、Redpoint Venturesなどから$40Mを調達した。
市場トレンド
2019年に米IT調査会社ガートナーは、「RPAはエンタープライズソフトウェアの中で最も成長率の高い(年率+60%)分野」と位置付け、先般のUiPathのIPOで市場の認知が一気に高まりました。こちらの記事は、シリコンバレーのVC5人による、UiPathのIPOは、まだRPA市場の立ち上がりの序章にすぎず、今後ユースケースも市場も更に広がると予想している記事。世界のRPA市場(売上高ベース)は、この1年で$2Bを超え、今後10年間で10倍の$20Bに達すると予想されている。また、自動化プロセスの発見やプロセスマイニングなど、より複雑なワークフローを自動化するためのAIの活用や、ローコード/ノーコードの活用など、様々な市場機会があると指摘している。結果、すでにMicrosoftやSAPが市場参入を表明しており、Amazon、Salesforceなども今後追随する可能性を示唆しています。
成長戦略
■ Product-led-Growthの壁をいかに乗り越えるか?
米VC GreylockでFigma、Clockwise、Quipなど多数のProduct-led-Growth(PLG)型SaaSスタートアップに投資をしてきたSarah Guo氏によるPLG型SaaSが成長する上で直面する3つの壁をいかに乗り越えるか?について解説した記事。PLGでの成長を目指す上では、以下の3つの壁を乗り越える必要がある。
1) 個人利用からチーム/組織利用に移行させる型を作れるか?
2) 多様なセグメントの異なるニーズ、購買プロセスを見極められるか?
3) バイラルでのリードを持続的に獲得し続けられる仕組みを作れるか?
1)は個人利用からの複数人の利用への拡大は、自然に発生しないので、タイミングを見極めて、マーケ/セールス/CSをどう介入させるGTMの型が作れるか?がポイントになる。事例として、セールスフォースに買収されたQuipの例が参考になります。2)は、PLGでは雑多で異なるニーズや購買プロセスを持つユーザーが流入します。その違いを理解し、選別とアプローチの磨き込みが必要になります。記事にある通り、早期のエンタープライズシフトは、「イノベーションのジレンマ」に陥るため、PLG型SaaSではご法度である点は注意が必要です。3)は、まだアートの部分が多いですが、Notionの例にもある通り、「コミュニティへの継続的な投資」が1つのカギになります。
100% PLGでの成長を目指すのは、クラウドの成熟度の低い日本ではまだまだチャレンジが大きいのが実態です。しかし、PLGとSLGをうまく組み合わせた成長は十分可能なので、ご興味のある方は参考にしてください。
マネジメント
選ぶ市場の差を除けば、スタートアップの成長力の差は、「PDCA(Iteration)の回転スピードの差」と言っても過言ではありません。本記事は、この「PDCAの回転スピードを上げるための9つの習慣/コツ」を、進化のスピードが速いソーシャルゲーム業界を例に解説しています。ゲーム業界はSaaSより早い改善が求められるので、参考になる点もあると思います。9つのコツは以下の通りです。
高速PDCAを回す9つのコツ
1) 完璧主義を捨て、スピードを重視で実験する
2) スケール=スピードの更なる高速化
3) 顧客が誰かを全員が理解し、フィードバックループに入れる
4) 継続的な改善のためにKPIを仕込む
5) 成長への飽くなき執念を持つ
6) 失敗を恐れず、奨励する
7) 無料→有料移行の正しいメトリックスを見極める
8) ユーザーコミュニティで継続を高める仕組みを作る
9) 新しいコンテンツを追加し続ける"Live Ops"に投資する
ファイナンス
■ 世界最大のスタートアップ StripeがIPOしない理由
2021年3月に約10兆円のバリュエーションで、$600Mを調達した決済系SaaSのトップ企業であり、世界で最もバリュエーションの高いスタートアップであるStripe。本記事はStripeがIPOをしない理由(以下)についてまとめています。未上場マーケットでも金余りの現状では、Stripeほどのブランドとポジショニングのあるスタートアップが、未上場の状態を維持するのは、ある意味で自然な判断だと思います。
StripeがIPOしない4+1つの理由
1) 未上場でも十分な資金調達ができるから
2) 現状の株式とキャッシュでM&Aができるから
3) 従業員のための資本の流動性が十分あるから
4) 投資家のための資本の流動性が十分あるから
5) 強いブランドがあり、企業の信頼性もすでにあるから(?)
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