今週のSaaSニュース! Vol.81(1/2週)
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今週の資金調達ハイライト
◆オンライン・ホワイトボードSaaS Miro $400M調達
Miroはオンラインでのブレスト会議やワークショップの際に、ビジュアルを使ったチームコラボレーションを実現するSaaSを提供する急成長スタートアップ。現在ユーザー数は全世界で3,000万人を超え、2020年4月から+500%増加した。有料ユーザー数も2万人から13万人に増加している。FORTUNE100企業の99%が利用し、うち20社は年間1.1億円以上の契約をしている。本シリーズCはICONIQ GrowthやAccelなどから調達した。バリュエーションは$17.5Bでデカコーン企業になった。(Miro Youtube動画)
◆サプライチェーンデータSaaS Assent Compliance $350M調達
カナダ発のAssentは、エンタープライズ向けにサプライチェーンデータを統合して、世界各国の規制に遵守した中央管理できるSaaSを提供する創業11年のスタートアップ。創業5年間は自己資本のみで運営していたが、CEO交代後に外部資金を調達して堅調に成長し続けている。ここ1年でARRは+50%成長。本年度中にARR $100Mを超える見込み。コロナ禍での世界的なサプライチェーン課題の深刻化、企業のESG対応ニーズが追い風になっている。本ラウンドは、ソフトウェア分野に強い大手PE Vista Equity Partnersがリード。バリュエーションも$1B超に達した。(Assent Youtube動画)
◆フランス発ペイロールHR SaaS PayFit $289M調達
2015年にフランスで創業したPayFitは、SMB向けに給与計算と周辺のHRプロセスを自動化するSaaSを提供するスタートアップ。現在ヨーロッパ4か国に展開しており、Revolutのような大手スタートアップも利用している。現在6,000社、15万人が有料ユーザー。2021年にはARRが+70%増加。米国にもGustoやJustworksの様な類似プレーヤーはいるが、労働法は国によって異なるため欧州展開はしていない。そのためPayFitは同分野の欧州でのリーダー企業になる期待がある。本シリーズEは、General Atlanticがリード投資家。バリュエーションは$2.1Bに到達。(PayFit Youtube動画)
◆会話型リクルーティング支援SaaS Paradox $200M調達: Paradoxは企業のリクルーターや採用マネージャーの業務効率化を支援するSaaS。本シリーズCはStripes、Sapphire、Thoma Bravoの3社が共同でリードした。
◆SMB向け支払処理自動化SaaS Spenmo $85M調達: シンガポール発のSpenmoは経費管理からスタートした、サプライヤーへの支払いや消込処理を自動化するSaaS。本シリーズBはTiger Globalがリードした。
◆D2C・EC事業者向け3DレンダリングSaaS Avataar $45M調達:インド発のAvataarは、消費者がEC上の製品を3次元でチェックすることを可能にするAI×SaaS。本シリーズAは、Tiger Globalがリードした。
◆ソフトスキルを可視化するSaaS Searchlight $17M調達:Searchlightは従業員や採用候補者のソフトスキルの強み・弱みを可視化し、従業員エンゲージメント向上や採用の効率化を支援するSaaS。本シリーズAは、Founders Fundがリードした。
今週の主なIPO/M&A
◆米HR SaaS Justworks IPO申請
◆米GoogleがサイバーセキュリティSaaS Siemplifyを$500Mで買収
◆米TwitterがモバイルアドSaaS MoPubをAppLovinに$1.05Bで売却
マーケットトレンド
◆2022年のテックトレンド予測
世界的にテック上場株の暴落で波乱のスタートを切った2022年。2021年はWeb 3.0やメタバースに注目が集まるなど、新たな潮流ができつつある。それでは2022年のテクノロジー業界はどうなるのか?米大手テックメディアやVC・業界の有識者によるトレンド予測をまとめてみました。全体感としては、Web 3.0とメタバースに関する言及が多い一方、B2C向け中心でB2B向けでは懐疑的な声も多い。またSaaSに関してもまだ成長初期であり、データ周りやサイバーセキュリティ、Fintechなどは昨年と同じく好調と見る筋が多い。他方、市場評価や資金調達観点では昨年より厳しい見方を予測する声も見られる。各予測の概要はこちらのtweetstormより。
テックメディア・VC・有識者による2022年トレンド予測
・スタートアップ資金調達9大トレンド予測-Crunchbase
・エンタープライズ10大トレンド予測-TechCrunch
・10大テックトレンド予測-Lightspeed Venture Partners
・Tomasz Tunguz 5大トレンド予測-Redpoint Ventures
・Dave Kellogg 10大トレンド予測-Balderton Capital(EIR)
・2030年テックトレンド予測-Benedict Evans(元a16z)
ストラテジー
◆3つのプライシング戦略:Grow・Skim・Follow
SaaSのプライシング系の記事は「価格をどう決定するか?」という話が多いですが、こちらのOpenview Venture Partnersの記事は、その上流にあるプライシング戦略の3つのパターンと注意点に関して解説している。プライシング戦略は、市場成熟度や競合状況、自社のプロダクトロードマップやグロース戦略、その実行に欠けられるコスト(営業主体だと高コスト)に影響するため決めること自体は簡単だが、重要なポイントです。
営業&マーケティング
◆SaaSの営業&マーケでよくある間違い18選
SaaStrお得意の"よくある間違い"シリーズの記事。SaaSの営業やマーケティングは、SLG/PLGなどのグロースモデル、エンプラ・SMBなどの顧客ターゲットによって異なりますが、この記事の内容は共通するような、組織的によくある間違いをまとめています。2022年の採用や組織構築を計画する際に参考にされてみると良いかもしれません。
プロダクト開発
◆B2Bユーザーリサーチの基本ガイド
デザイナー出身のUXコンサルタントによる記事。プロダクト戦略をつくる上で重要なB2Bのユーザーリサーチの基本的なやり方について解説しています。実際にユーザーリサーチをする下準備としてプロダクトビジョンを固め、下図にあるように1.マクロレベル、2.メソレベル、3.マクロレベルで何をどうリサーチすべきかについて概要をまとめています。
マネジメント
◆起業家を目指す上でMBAや戦略コンサルは最適な道か?
LinkedIn創業者リード・ホフマンと名著「Blitzscaling」共著者でHarvard MBA卒クリス・イェー氏による記事+ポッドキャスト。起業家を目指す上では最適な道とは言えないとの意見ですが、MBAや戦略コンサル出身の起業家を否定する訳ではありません。あくまで起業家になるためにMBAや戦略コンサルに行くことの課題-起業家の本質は学べないこと-を指摘しています。加えてこの記事では、ピーター・ティールやスティーブ・ジョブスにみられるような、哲学科出身の起業家の強みと弱みについても解説しています。詳細はこちらのtweetstormに日本語の概要をまとめています。
ファイナンス
◆波乱の米上場SaaSのマルチプル状況
割高感のあるSaaS上場株のEV/NTM Revenueマルチプル(Median)は、コロナ直前とほぼ同水準まで下落しました。しかしハイグロースSaaS銘柄についてはコロナ直前より+57%高い水準を維持しており、SaaSマルチプルの二極化が進んでいます。特にハイグロースの上位銘柄は、下落前とほぼ同じで、SnowflakeやCloudflareに代表されるような、クラウドデータ関連SaaSやサイバーセキュリティ関連SaaS、そして開発者向けSaaSで占められています。SaaS銘柄の市場評価がどう変化するか、引き続きチェックが必要です。
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