USCPA | #6 BEC受験編 ~Road to USCPA~
こんにちは、水瀬です。
全5回にわたってお送りする、私がUSCPAの全4科目に合格するまでの体験記シリーズ、”Road to USCPA”
第4回は、”BEC受験編”を書いていきたいと思います。
第1回:出会いから学習開始まで(準備~単位取得編)
第2回:FAR受験編
第3回:AUD受験編
第4回:BEC受験編 ← 今回の記事
第5回:REG受験編
前回の記事はコチラ
この記事の対象者
USCPAに興味を持っている方(BEC学習中の方)
海外駐在を実現したいと考えている方
何かに挑戦してみたいと考えている方
スケジュール(予定 / 実績)
予定:学習計画2.0
実績:学習計画3.0
計画修正 ~早期駐在決定~
AUD本番でTBS問題が壊滅的な出来。失意の中、折れそうな心を奮い立たせてBECの学習に取り組み始めた矢先に突然の辞令が私に言い渡されました。
それは、かねてより希望していた”早期海外駐在”でした。
当初は、”早期海外駐在を勝ち取るための駒”としてUSCPAへの挑戦を掲げ、自分を鼓舞していた時期もありました。しかし、3科目目に突入したこの頃には、『学習を継続する過程で変わっていく自分を実感出来ること』が高いモチベーションへ結びついていました。
USCPA試験に挑戦する理由は人それぞれかと思います。
私と同じように”海外で働きたい”と考えている方や”転職するために自分の市場価値を高めたい”と考えている方など、様々でしょう。
しかし、最初に学習に踏み出す動機が何であれ、真剣に資格試験に向き合う過程で得た経験がいつの間にか自分を大きく変えていくのだと思います。
”USCPAを取得した瞬間”に突然変わるのではなく、”取得を目指して日々積み上げていく過程”で徐々に変わっていくのだと痛感しました。
さて、駐在が決まったタイミングで赴任までに残された期間と学習の進捗状況を鑑みて計画を修正する必要が生じました。
当時のUSCPA試験は以前の記事でも紹介した通り、1科目目の合格から1.5年以内に全科目に合格する必要がありました。
私の場合、この時点ではFAR合格からまだ3か月であり、残りの期間は15か月で比較的余裕がありました。しかし、海外駐在により”思うように学習時間が取れなくなる”ケースを考慮して、”赴任前に全科目合格したい”という結論に至りました。
また、赴任先では歴代最年少の駐在員ということもあり、”現地スタッフに自分の力量を示すための錯覚資産としてUSCPAを携えておきたい”という思いもありました。
こうして、事前に調べていたUSCPAに関するデータと”前哨戦”+”FAR+AUD2科目の学習経験”を基に修正したものが、上記の学習計画3.0です。
『BECの準備期間:2か月』 『REGの準備期間:1か月』 と、かなり攻めたものになっていますがこれには確りとした勝算がありました。
『BEC:2か月』
まずBECについて。この科目は以下の分野の複合体でした。
管理会計(原価計算 / 予実管理 / プロジェクトマネジメント)
ファイナンス(投資意思決定 / リスクリターン / 資金調達)
経済学(ミクロ / マクロ)
IT
コーポレート・ガバナンス / 内部統制
これらの多くは大学時代あるいは業務を通じて学んだことのある分野だったため、『問題形式に慣れる』だけで突破できると考えました。
『REG:1か月』
次にREGについて。こちらは全く初見の科目ではありましたが、事前リサーチの結果、”最終科目として短期集中の学習で突破されている方が多い”ということが分かっていました。中には数週間の学習で試験を突破された猛者もおり、そうした前例がある以上、『自分の覚悟次第で何とでもなる』と考えました。
私の学習サイクル(再掲)
FARからBECに至るまで、私の学習サイクルは一貫して下記の通りでした。(【】内の数値は全体を通じた進捗率です)
※REGについては諸事情により変更しました。(REG編でお伝えします。)
【0-10%】まずは教科書を通しで学習する (講義倍速視聴×教科書通読)
※この時点で問題は解かない / 1章ごとに自分なりの言葉で説明してみる【10-35%】教科書1周後、MC問題は朝の1時間+隙間時間のみで演習 / 残りは教科書の精読に充てる
【35-40%】通勤などの移動時間で”耳学”を実施 (教室講義の聴講)
【40-70%】MC2周後、MC3周目+TBS問題に着手 (教科書精読から切替)
【70-75%】試験1か月前に模擬試験を受験 (教室受験)
【75-80%】模擬試験の復習+苦手論点の確認⇒復習
【80-90%】直前対策講座の受講・リリース問題(5か年分)
【90-100%】MC4周目+TBS問題 (間違えた問題のみ)
進捗率は上記の通りですが、実際にやってみて、以下のことを感じました。
・想像以上に教科書・講義を1周するのは大変
・MC問題を1周するのも大変(TBS未着手の不安も大きい)
・MC3周目以降、急激に理解が深まる(4周目は間違えた問題のみでOK)
・模擬試験で実際の試験形式を知る(想像以上に出来ない)
・TBS問題は初見では難しく感じる(解説を聞いて理解を深める)
また、BECについてはWC (Written Communication)と呼ばれる論述問題が15点分出題されていたため、学習初期の教科書通読時から継続して1日3題を目標に取り組んでいました。
現行の試験では廃止されているようですが、『USCPA学習で一番実務に生きている能力』だと強く感じています。
BEC 上巻
BEC上巻は主にいかのTopicで構成されています。
Ⅰ. 管理会計(難易度:★★★☆☆)
管理会計の概要について学ぶ章です。
FARで学習した外部のステークホルダーに共有するための”財務会計”とは異なり、企業内部での活用を目的としてどのような情報(KPI)が経営上の重要な指針となるのかを学びました。主な内容として、以下を学習することが出来ます。
原価計算
予実管理
プロジェクトマネジメント手法
難易度は高くなく、いずれも基本的な内容ですが、MC問題やWC問題の頻出テーマなので入念に取り組みました。
Ⅱ. ファイナンス(難易度:★★★☆☆)
ファイナンスの概要について学ぶ章です。
FARで学習したFSをどのように活用するのか、Managementとしてどのような観点で見るべきかを体系的に学ぶことが出来ます。
主な学習内容は、以下の通りです。
投資意思決定の手法
リスク・リターンの考え方
資金調達
これも難易度は高くなく、いずれも基本的な内容ですが、MC問題やWC問題頻出テーマなので入念に取り組みました。
また、上記の”管理会計”と併せて『USCPA学習を通じて実務に最も役立った学習内容』であると感じます。
BEC 下巻
Ⅲ. 経済学(難易度:★☆☆☆☆)
経済学について学ぶ章です。
大学の経済学の講義で学ぶような、広く浅い内容です。
ミクロ経済学
マクロ経済学
私自身は大学で学習済みの内容が多かったため、ほとんど勉強しませんでした。リリース問題を見る限り、試験での出題も多くない印象です。
Ⅳ. IT(難易度:★★★★☆)
IT(Information Technology)について学ぶ章です。
Abitusの教科書のボリュームも多く、覚える内容がとても多かった印象です。また、最新のリリース問題を見る限り、”Abitusの教材では対応しきれない”とも正直感じました。しかし、試験においては最低限Abitusの教材を完璧にやり込むことで十分に合格できるレベルだと思います。
私の場合は、AUDのIT統制同様にYouTubeで関連する動画を見て対策しました。
Ⅴ.コーポレートガバナンス・内部統制(難易度:★★★☆☆)
一般企業で求められるコーポレートガバナンス・内部統制について学ぶ章です。
AUDでも同様の内容を取り扱っているので、既習の内容がほとんどでした。
試験においてはかなり細かい論点まで出題されるため、教科書の精読に努めました。
BEC WC
BEC最大の特徴ともいえるのが、WC (Written Communication) 形式の問題です。
当時は15点もの配点が課されており、合格点が75点であることを考慮すると、『WCの出来が合否を左右するといっても過言ではない』という印象でした。
出題パターンは主に、
・課題解決型:設問からその組織の課題を抽出し、解決策を呈示する
・機能説明型:設問で与えられた用語について機能を説明する
の2パターンでした。
試験対策上は、『基本の徹底』と『型を覚える』ことで対応しました。
『基本の徹底』は言わずもがな、他の科目同様に『自分の言葉で学習事項を説明できるレベル』まで理解を深めることを徹底しました。
『型を覚える』について、こちらは英語での作文ですのでTOEFLや英検と同じ要領で学習しました。機械採点であることを考慮し、基本に忠実に、文法ミスやスペルミスは絶対にしないよう留意しました。
また、1日3題のWC対策を毎日行いました。
試験1か月前 ~模擬試験~
模擬試験の結果
試験1か月前に受験した私の模擬試験の結果は以下の通りです。
受験者平均:60.9(MC:35.2 / TBS:20.5 / WC:5.2)
合格者平均:64.2(MC:36.4 / TBS:22.0 / WC:5.7)
私の得点:58(MC:36 / TBS:19 / WC:3)
復習の徹底・苦手領域の把握
模擬試験の結果、ほぼMCは合格者平均点、TBSとWCが大きく劣っていることが判明しました。
これまでのFAR・AUDよりも学習期間を大幅に短縮し、2か月での合格を目指していた私は、学習から1か月時点である程度の成果が見えたことに手ごたえを感じました。
結果を踏まえて、TBS問題とWC問題については対応不足感があったため、その2つに焦点を当てて残り1か月の学習を進めることにしました。
試験当日
当日の持ち物
当日の持ち物は下記の通りです。
パスポート(身分証明に必須)
受験票(印刷済み)
iPad(紙の教科書は重いので持ち歩かず)
ミネラルウォーター 500ml 1本(休憩時間に飲む用)
in ゼリー 2本(開始前・休憩時間に飲む用)
試験時間の使い方
受験後の手ごたえ
試験規則上、出題された問題を共有することは禁じられているので紹介しませんが、夫々のTestletの手ごたえは下記の通りです。
・Testlet 1:90%程度(自信あり)
・Testlet 2:80%程度(難化を感じる)
・Testlet 3:80%程度(自信あり)
・Testlet 4:80%程度(自信あり)
・Testlet 5:85%程度(自信あり)
どのTestletも安定して解くことが出来ました。
『この出来であれば合格は固いな』という手ごたえでした。
結果発表 ~3科目目突破~
前回同様、午前9時あたりにNASBAから試験結果の通知が届きました。(自分で申し込みページから見に行く形式でした。)
結果は『88点』で合格。手ごたえ通りの出来でした。
終わりに
次回は、最終科目であるREGについて、準備期間1か月で迎えた私の経験を書いていきたいと思います。
最後までご覧頂き、有難うございました。それでは。
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