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僕の小規模な退職 その58

高校の文化祭の時、友人たちと模擬店を出した。
たしか綿あめ。
それとジュース。
高校生活最後の文化祭だった。
それまで文化祭で何かをした事は無かった。
運動部だったから部での展示とかも無い。
クラスで何かを出店するとかも無かった。
自校よりも他校の文化祭を見に行ったりとか。
そんな風に過ごしていた。
でも最後の文化祭。
何か思い出作りがしたかったんだと思う。
青春めいた事がしたかったのかもしれない。
他クラスでは総出で出店していたところもあった。
それがちょっと羨ましかったというのもあったと思う。
だから友人数名と模擬店を出した。
その文化祭で模擬店を出した時にポスターを作った。
人生初のポスター。

ポスターといってもA4用紙にちょっとしたイラストと品書きを描いただけ。
着色もしていない。
ボールペンで書いただけのもの。
数パターン描いた。
イラストを変えて。

そのポスターと呼んでよいのかもわからない代物。
それを担任教師に頼み職員室で数枚コピーさせてもらった。
学校中に貼りたくろうと試みたが断念。
指定された場所と出店する教室の廊下のみ許可がでた。

文化祭前日。
そのポスターを貼っている時の事だ。
別のクラスの女子に声をかけられた。
「これ誰描いたの?」
それまで話したことも無い子だ。
髪色はオレンジに近い明るい茶。
褐色に近い肌には極太アイライナーとつけまつげ。
足元はルーズソックス。
いや、それの上位に値するダルンダルンのスーパールーズ。
ゴリゴリの本格派の人達が履くものだ。
当時、いや今もだが自分とは縁遠い相手。
そんな女子が自分の描いたポスターを見ながら声をかけてきたのだ。
「これ誰描いたの?」
と。

「お、オレだけど…」
「え~。ちょー絵ウマいじゃん。こんどウチラにも描いてよ」
「お、お、うん…。」

褒められた。
嬉しかった。
はじめてイラストを褒められた。
仲良い訳でも無い人に。
はじめて褒められた瞬間である。

それが彼女との出会いの始まり。

というお話では無いです。
オタクとギャルの恋の始まり。
とかでは無いです。
この女子とはこの時以来会話をしたことが無いはずです。
というか名前も思い出せません。
卒業アルバムを見れば思い出すかもですが。
実家にあるので見ることができません。
なので顔も曖昧。
だけど自分のイラストを褒めてくれたのは彼女が初めて。
知り合いでも無かった人に。
直接褒められたのが初めての事だったのです。

という事でイラストを描きました。
LINEスタンプです。
ご購入していただいた方ありがとうございます。
褒められた気持ちになります。
大変うれしいです。
本当にありがとうございます。

ピンク色の髪をして赤いタートルネックを着用している女のコです。
ちょっと抜けているところがあります。
スマホや眼鏡をどこに置いたか忘れちゃいます。
お布団が大好きです。
ゴロゴロしていたいです。
寝ていたいです。
スマホゲームをポチポチしていたいです。
というキャラクターです。
「ピンクあたま赤トックリのミオオ」
モデルは妻。
ゲフンゲフン。
モデルはいません。
よろしくお願いいたします。

44歳。推定無職。ご購入していただいた方ありがとうございました。


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ぞん
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