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レビュー:ジェームズ・ブラッドワース、『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した――潜入・最低賃金労働の現場』(濱野大道訳、光文社、2019年)
【以下は、アマゾンのカスタマーレビューに書いたものの転載です。】 2018年、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスは、資産額が1000億ドルを突破し、ビル・ゲイツを抜いて世界一の金持ちになった。アマゾンはいま世界で最も成功している企業だ。私たちの多くは日常的にアマゾンを頼っている。本を紹介するときには誰もがアマゾンの商品ページへのリンクを貼り、アマゾンのギフト券がしばしば謝金の代わりに使われる。 確かにアマゾンは便利だ。パソコンやスマートフォンで注文すれば、ありとあらゆる商品が
レビュー:キャシー・オニール、『あなたを支配し社会を破壊するAI・ビッグデータの罠』(久保尚子訳、インターシフト、2018年)
以下は原著Weapons of Math DestructionをよんでAmazonのカスタマーレビューに書いたことの転載。翻訳版は未読です。 あるシステムの振る舞いについてのデータを分析し、それにフィットする数学的モデルを作り、それによってそのシステムの振る舞いを予測あるいは制御するということは、ニュートンが模範を示して以来確立されてきた近代科学の方法論的パラダイムである。しかし近代科学成立の初期においては、この方法は比較的単純な振る舞いを示すシステムにしか適用できなかっ