辛い!すっぱい!――魅惑の台湾「火鍋」
ひさしぶりに台湾鍋を食べに行きました。
コロナ禍もほぼ収束ということで、やっと安心してレストランで食事ができるようになったのは、本当にありがたいことだと思います。
台湾では「火鍋」という字を使います。「火を吹くほど辛い鍋ってこと?」と誤解されそうですが、実は単に「鍋料理」を意味する語です。
ですから、「火鍋」だけなら「辛い」という意味は含まれません。
「辛い味の鍋」と言えば、「麻辣鍋」です。
もう一つ、台湾鍋には「酸っぱい味」のものがあり、こちらは「酸菜白肉鍋」と呼ばれます。
わたしは台湾で、かなりの鍋料理の店に行きましたが、一番のお気に入りは「鼎王麻辣鍋」という鍋料理専門店です。
今日行ったのも、もちろん「鼎王麻辣鍋」です。では早速、写真をまじえつつ、レポートしたいと思います。
先ずはお茶から。
なかなか風情のある茶器ですよね。
お茶は「枸杞菊花茶」です。
「枸杞」というのは、漢方の原料として知られています。「菊花茶」というのは、文字通り菊の香りの爽やかなお茶。口に清涼感をもたらしてくれるので、鍋料理にぴったりです。
しかも、漢方成分も入っているわけですから、飲んでいると、なんとなく身体にいいような気分になってきます。
続いて、「鍋の素」となる部分を紹介します。
台湾の鍋料理店の鍋は、このように真ん中を区切って、二種類の味を楽しめるようになっているものが多いです。
すっぱい「酸菜白肉鍋」と、辛ーい「麻辣鍋」。どちらもとてもおいしいので、どちらか一方は選べません。この鍋を発明してくれた人に大感謝!
ここで、今日の鍋に入れたものの一部をご紹介します。
牛肉、豚肉は普通ですが、台湾鍋の特徴と言えるのが、「滷拼盤(モツ煮込み盛り合わせ)」です。具体的には――ハチノス、豚ガツ、大腸頭(豚の大腸の根元の部分)になります。
日本ではモツが苦手な人も多いですが、台湾のモツは臭みがまったくなく、歯ごたえもよくて、とてもおいしいです。
こういうものを入れて、ぐつぐつ煮込んでいるところが下の写真です。
左側の赤い「麻辣鍋」が、地獄の釜のようでいかにも辛そうですが、本当に辛いです(笑)。
ただ、けっこうからっとした陽性の辛さで、じわじわと後から沁みてくる陰湿な(?)辛さではありません。
そのため、口に入れた時は「辛っ!」と思うものの、喉元さえすぎれば、意外と大丈夫です。
次に「酸菜白肉鍋」ですが、「酸菜」というのは「白菜の酢漬け」です。「白菜の漬け物」と紹介されることもあります。
「すっぱい味の鍋なんておいしいの?」と思われるかもしれませんが、わたしはこの「酸菜」のすっぱさが大好きです。
この店では、鍋の素の一種である「酸菜」は追加自由なので、じゃんじゃん入れてもらいます。
さて、肉やモツがそろそろいい具合に煮えてきました。……あ、でも、直接食べるのではありません。タレにつけてから食べるんです。下の写真を御覧下さい。
タレは店ごとに秘伝があります。緑色のものはネギではなく、「蒜苗(葉ニンニク)」です。わたしはこれが好きなので、たっぷり入れます。
あとは食べるだけですが、写真をお見せするのはここまでにします。
なんと言うか……「落花狼藉」の風情になってしまいますから……(笑)
仕方ないじゃないですか。だって、鍋ですから!
あ、そうそう、三枚目の写真にある「拉麵(ラーメン)」ですが、これは「しめ」として、最後に投入します。赤か白のどっちの鍋に入れるのかって?
――赤い方です。
「麻辣鍋」の最後は、辛さと肉の甘味が混然一体となった素敵なスープになっていますからね。
この「しめうどん」ならぬ「しめラーメン」――
最高です。
というわけで……
久しぶりの台湾鍋現場レポートでした。