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Communitas Musicum Amorus

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音楽を通じて知遇を得た方々の記事をコレクションしてみました。どうぞお楽しみあれ。
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冬木透氏のウルトラセブン

【企画】ミエハルカラオケお正月カラオケ2025の企画に参加させて頂きます。 よろしくお願いいたします。 《ウルトラセブンに会った気持ちになりました》 note源頼國さまの記事を読ませて頂きました。ご紹介されている冬木透氏のウルトラセブンを聞いて本当にウルトラセブンに会った気持ちになりました。 蒔田尚昊(まいたしょうこう)作曲家・編曲家 1935年〜2024.12.26逝去される ジャンル: クラシックI伴奏音楽 別名:  冬木透 源さまは主に「理想とせるオーケストラ配

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ① 家族(両親)

── ワルシャワ時代 ──  フランス人の父、ポ−ランド人の母のもと、ポーランドで生まれ、フランスで生涯を終えたフレデリック・ショパン(以下、ワルシャワ時代はフレデリック、パリ時代からはショパンと表記)は、主にフランスにおいてロマン派ピアノ音楽を発展させ、フランスに没した経緯により、フランス音楽界の重要人物ともされているが、ポーランド民族の流れを汲む音楽性や、祖国への望郷の想いからも、やはり自他ともに「ポーランドの作曲家」であることには違いなかろう。 フレデリックの家族

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ② 家族(姉妹)

フレデリックの姉妹 3姉妹の中で、フレデリックが生涯に渡り最も親しくし、心から頼りにしていたのが、3才上の姉ルドヴィカであった。  少女時代から豊かな音楽的才能に恵まれていたルドヴィカは、フレデリックが7才の頃、母の監修下で弟にピアノを教え始めている。  弟の才能を最大限に伸ばそうとする優しい姉による指導も的確であったと思われるが、もともと良質な音楽にあふれていた家庭なだけに、フレデリックの実力はすぐに姉を、そして母をも追い越してしまう。聞こえてくるあらゆるメロディーを再現で

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ③ 親友(1)

フレデリックの親友  16才で生まれ故郷のフランスを離れ、ポーランドに帰化した父親と、早くに身寄りを亡くしていた母親という両親の身の上から、親戚づき合いが殆どなく、男の兄弟も従兄弟も存在しなかったフレデリック。  彼にとって、同じ宮殿の屋根の下に暮らす教授陣の子どもたちや寄宿生らは、兄弟同然の大切な存在だった。  特に親しかった友人は、自分の分身ともいえるほどで、彼らへの愛はフレデリックにしてみれば女性への恋愛よりも遥かに重要な、呼吸そのもの、命そのものであったようだ。 フ

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ④ 秘密結社の同志

フレデリックの同志たち  1814年のウィーン会議では、「ポーランド王国の自由」が定められるが、その後の帝政ロシアによる支配で、自由の原則は守られなかった。ポーランドの国全体が次第に、ロシア的な慣習や統治に染められてしまう。  反乱の兆しは軍、大学、文学など、あらゆる場所でじわじわと、しかし確実に、若い世代を中心に広がっていった。  フレデリック・ショパンの周辺にも、首謀者として革命に深く関わりゆく仲間が大勢いた。士官学校を拠点に置く秘密結社「自由ポーランド」の若き同志た

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ⑤ 恩師、恩人

フレデリックの恩師、恩人  ショパン音楽のショパンたるゆえん、とりわけ、極めて独創的で自由なそのスタイルは、生まれ育った環境や本人の天分のみならず、それを大切に活かし育てた恩師の的確な教育方針に負うところが大きかろう。  加えて、身分や階級を気にせずフレデリックを温かく迎え入れた貴族らとの親交も、彼に洗練されたふるまいを自然に身に付けさせ、ショパンの音楽の崇高さに少なからず影響をもたらしたと思われる。  ボヘミア出身の作曲家でヴァイオリニスト。  オーストリアで修業し、プラ

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ⑥ パリの音楽仲間

         Prelude       〜 フランスの音楽事情 〜  ルネサンス時代にイタリアで発展したバレエが、16世紀にフランス宮廷にもたらされ発展してゆき、やがて太陽王ルイ14世(1638ー1715)が、王立音楽舞踊アカデミーを設立する。  余談ではあるが、ルイ14世が「太陽王」と呼ばれていたのは、太陽のごとく偉大な王であったというよりも、バレエ好きで舞踏の才能にも恵まれていた王が、太陽の役を好んで踊っていたことに由来する。  イタリアから帰化するリュリ(

人間模様から読み解く 新たなショパン像 人物表 & 目次

【お詫び】  この記事の公開に、おや? と思われた方もいらっしゃると思います。  実は「新たなショパン像」の連続投稿を始めるに先立って、ちょうど1ヵ月前の3月25日に、既に公開した記事でしたのに、この度、誤って消してしまった次第にて、再度の投稿となっております。  内容は、全く変わっておりません。混乱させてしまい、ご迷惑おかけしましたことを深くお詫び致します。  せっかくの沢山の「スキ」も、貴重な励ましのコメントも、瞬時に消滅してしまい、本当にがっかりです(涙)。  こ

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ⑦ 恋人

※ 今回の「⑦ 恋人」は、『名曲物語』として既に公開済みの記事、 ~ 楽譜に秘められた愛のメッセージ ~ ショパン 〈別れのワルツ〉 〈小犬のワルツ〉 こちらと、ほぼ似かよった内容となっております。 とはいえ、各々のテーマに沿って別途、追加されている内容や、あえて微妙に変えてある表現などもありますので、どちらの記事も互いに参考にして頂けますと幸いです。 ~ 人間模様から読み解く 新たなショパン像 ~ ショパンの恋人  ショパンが愛した女性としては、ワルシャワ時代の初

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ⑧ 親友(2)

ショパンの親友  今回登場の2人は、既にポーランド時代からの親友であり、パリ時代においても、大切な相談相手にして創作活動のサポート役として、欠かせない存在である。  もう1人の「ヤン」は、高校時代の同級生(ショパンは同じ名の親友をポーランド時代に亡くしている←親友1の項にて紹介)。  自国語やドイツ語で詩を綴るロマンティストで、フルートの名人でもあり、ショパンとは、ひそかな恋を打ち明け合うほど親密な仲であった。  ショパンは祖国を出た後の、ウィーンにおける孤独と絶望の日々

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ⑨ 同胞、弟子

ポーランドの同胞  ワルシャワ時代からの親友ヤン・マトゥシンスキにユリアン・フォンタナ、カフェで語り合った「自由ポーランド」の親しき仲間たち、革命の首謀者レレヴェルに、憧れのミツキェヴィチといった詩人、芸術家、政治家に大貴族。ポーランドから亡命、移住してきた大勢の同胞が、パリのサロンに集っていた。  果たしてここはワルシャワか? と思い違えるほど懐かしい顔ぶれに異郷の地でも会うことができたのは、ショパンにとって実に恵まれた環境であった。  中でも、チャルトリスキ公爵の一族が

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ⑩ 夢の王国の住人

エピローグ 夢の王国の住人  ショパンが新天地に求めたのは自由・平等・博愛の精神のフランスであって、パリのエレガンスや芸術性といったものではなかった。そうした世界は、ポーランド時代から上流階級に溶け込み、洗練されたセンスが身に付いてショパンにとって、慣れ親しんだ自然なものであったから。  20才過ぎで既に独自の音楽スタイルや方向性が定まっていたショパンが、フランスやパリの音楽界から受けた影響もさほどなく、むしろ異なるジャンル、画家のドラクロワや、詩人のハイネらと、芸術家とし

暴露されども真実は謎のラブレター 「新たなショパン像」あとがき

読み上げられたラブレター あなたは最高のリーダーで、 みんながあなたを頼りにしてる。 あなたは友だち思いの優しい人。 あなたはマジシャンみたいに何でもできる。 あなたは天才的なアイディアマンで、 仲間の為に命も投げ出せる勇敢な人。 あなたはハチャメチャすぎる一匹狼だけど、 絶対に諦めないところが本当にカッコ良すぎ!  原文はとうの昔に失われてしまったが、ラブレターのおおよその内容は、こんな感じであったろう。  大学ノートの最後のページにそっと綴られていた、少女の憧れに

「オケバトル!」 79. 進まぬ音出しとリポーターの空想解説

79.進まぬ音出しとリポーターの空想解説  Aチームは指揮者ナシでも形になりそうな第七番。対するBチームは厄介な第六番〈田園〉をあえて選択。指揮は事実上の立候補、有出絃人。  ライバルチームが正反対の行動を取った。これは番組側の目論みどおり。混乱リハから泥沼審査の場面に至るまでの興味深き展開を、関係者は冷ややかに期待していた。  Aの仕切り役、安条弘喜と同様、Bチーム率いる有出絃人も短時間での仕上げを強いられる中、あれこれとこだわり講釈を語ったりせず、チームの明るめト