日記 ネイリスト
僕の爪は片方ジェルネイルで固められていて、
片方は深爪するくらいに切られている
それをみて同世代の女の子は、
「綺麗な指ですね」という。
ライブハウスでのライブ後、
音響のスタッフに声をかけられる。
「演奏良かったね、あれ爪で弾いてるの」
そうなんですよと返す。
同級生の女の子にも、ライブスタッフにも、
話題になるのは僕の爪だ。僕の綺麗な爪だ。
爪の手入れをしてくれる人は僕の元カノで、今では資格も持ってるらしい。当然2人きりになるから複雑な雰囲気にはなるけど、それなりに仲良く喋ってる。
知り合いの誰と誰がこうなって、みたいなどうでもいい話をしているうちに、僕の右手は半透明なジェルが乗っており、僕の左手は磨かれていた。
「これでいい」と聞かれて、うん
それで終わりなんだよね今は。
あの時から1番カッコよく思って欲しい人に
カッコよくなるための手段を貰ってる。
あの時から1番色んなことを気づいて欲しい人に
だれもが気づく特徴を作ってもらってる。
そういえば、今日久しぶりに、あの子の前でしか出ない自分と出会った。
凄く嫌われないように気を使う自分
1秒でも一緒にいたい自分
リラックスしてしまい急に考え事をする自分
だから彼女のこと好きだったんだな。
「じゃあまたね」
また会えることが嬉しい
また別れることが寂しい
うん また
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