ザ・ファブルを見ると、気を引き締めて生きよう!!と、いつも思う
先に言っておきますと、私はアニメ勢です。
少し前に面白いと話題になった、"ザ・ファブル"を見たことはありますか?
私はYouTubeで見てしっかりハマりました。
そのうち、漫画を大人買いする予定です。
ファブルを見ていると、私はなんだか「生きているのも悪くないかも」とか「とにかく、面倒事からは絶対に距離を取ろう」と感じて、気を引き締めて生きようと思ってしまいます。
※できるだけネタバレしないようにしますが、ネタバレ多少しています※
ザ・ファブルのあらすじ
凄腕の殺し屋と助手が1年間、殺し屋家業を休職して素性を隠し"普通の人としての生活"をするために大阪で暮らすことになったが…
「人を殺さない」というボスからの命令に従いながら、色々と因縁をつけられたり、大切なものを守るために奮闘するプロの殺し屋の日常を見せてくれる物語。
近年、私はヤクザが"かっこよいもの"だとして美化されて描かれているのではないかと感じていた。
学校や仕事場で八つ当たりされたり、理不尽なことを言われたり、責任逃れのために言うことをコロコロ変えられたりして"筋が通っていない"と感じることが多い中で、
ヤクザものの漫画の中には上の立場の人がしっかり後輩を守ったり、信念を通した生き方をしている姿が描かれていて、自分の現状よりもよっぽどクリーンに見えるような気がする。
けど、実際はそんなことはないと思う。
(私は裏世界のことなんて全く知らないから本当のところは分からないけど)
人間関係のしがらみは当然あるし、お金をどう稼ぐか?という方法についてグレーでは済まないことに手を出すことだってあるだろう。
逮捕と隣り合わせの生活というのは比喩ではなく、本当にそうなってしまう可能性が高いのではないか?とも思う。
そして、そういう怖い部分をファブルはちゃんと描いてくれている。
「任侠映画のようにはいかない」とアニメの中でキャラクターが言うくらいに、ヤクザも殺し屋も良いものじゃないと、はっきり主張している。
そこも、私はファブルの魅力だと思う。
ザ・ファブルの魅力
ファブルの魅力は下記の通りです。
キャラクターが個性的で信念があって魅力的
裏世界における「プロ」というものが何なのか垣間見える(怖いけど)
人間関係は作るものではなくできていくものだと、ほっこりできる
主人公のマイペースさと人間離れしたところが共感できなくて面白い
「えー、そうなるの!?」「えー、そうなの!?」という衝撃
人間という生き物の、裏の顔があって当然な描写がリアル
キャラクターが個性的で信念があって魅力的
主人公をはじめとして、ファブルに出て来るキャラクターのほとんどは、ヤクザや悪い仕事をしている人がほとんどですが、それぞれに信念があって悪役には悪役なりの魅力もあります。
(個人的に出て来る悪役が胸糞すぎて、魅力があっても好きにはなれませんでした)
私がアニメの中で魅力を感じたのは5人
主人公
感性が普通の人と違うことが描かれているが、それが育ってきた環境によるものだということがにじみ出ている。
けど、それは主人公が残酷な奴という意味ではなく、むしろ逆。
とても純粋であり素直であり、だからこそ怖さがあるのだと思った。
話が通じない怖さね。
子供の時に無遠慮に興味だけでアリの巣に棒を突き立てることができる、みたいな感じ。
どんなに悪どいものや嫌なものを見ても、それはそういうものという、ありのままを捉えて受け入れるメンタルの強さもあるから、
主人公が色々な意味で無敵の人でいられるのは、そういう人生の中で培わざるを得なかったメンタリティが大きいとも思う。
(寂しいと思うのは体力に余裕があるからという言葉を聞いた時は胸が痛くなった)
けど、主人公は優しい。
生き物に糞をかけられても「俺にかけるとはやるなぁ」と面白がるし、
面倒見きれないと突き放した人が必死になって付いてくる様子を見て見捨てなかったり、
他の人に被害が出ないように、締めるところはきっちり締めて周りのことを陰ながら考えているし、
一生懸命お願いされたら断らずに引き受けてあげるし、
なんだかんだ教えて欲しいと頼んできた人にはボスの教えや自分なりに培ってきた物を惜しげもなく教えるし、
リハビリを頑張っている子に「大丈夫」と声をかけるし、
関わった人は例え悪人でもできるだけ助けたいという情の深さもある。
ちゃんと関わったり、見ていないと気づけない。
道徳を勉強したから優しくしようとか、そういう打算がない優しさが魅力である。
主人公は文字通り力があり、名誉もあり、お金もあるから煩わしいことを全て遮断して生きることができる。
けど、そうじゃない主人公のような純粋な人は生きにくいよな、とも感じた。
けどそんなことは関係なくて、主人公を見ていると、自分の感性のまま生きている自由さがあって私はとても魅力的に見える。
ちなみに、実は上下関係や表の人間と裏の人間との境界は割とはっきりしているから、黒塩に対してはちょっと他と違う扱いをしていたりもする。
人と関わる中で、主人公は絆を大切にする気持ちが芽生えてきているのがまた、魅力的に映る。
洋子ちゃん
主人公の助手であり、身分を偽る中では妹である洋子ちゃん
いつもは口うるさいお母さんのように主人公を𠮟る気の強い姉御であり、
色仕掛けもできるお姉さんであり、主人公が仲良くなった人ともすぐに仲良くできる社交性があって、
身の危険があっても冷静さを失わないクールな一面があって、様々な表情を見せてくれるところが魅力である。
男性を酔わせてぐでぐでになった姿を楽しむという、ちょっと歪んだ嗜好を持っている女王様気質なところも良い。
主人公のことをダメだダメだと叱っているが、個人的には洋子ちゃんの方が引きこもりで1日中お酒を飲んでいるだけで、やばいと思う。
そういうツッコミが入れられる抜けたところがあるのも、魅力。
現実でも他人のことをあーだこーだ言う人の方がやばい、みたいなのってあるわけですし。
洋子ちゃんはちゃんとした人だからそうじゃないけど、そうやっているうちに周囲とのズレを感じてきて…みたいな鬱展開が見え隠れする人物像がリアリティあるのもまた面白い。
海老原
主人公たちがお世話になっているヤクザの若頭
時代の流れと、組を守るという気持ちの板挟みで上手く生きているバランスの取れたおっさん。
一般人に迷惑をかけない信条とか、ヤクザと殺し屋の闇深さの違いを部下に説いて「墜ちるな」と忠告したり、
クズな後輩でも「ちゃんと食い扶持を用意してやる」という面倒見の良さや、後輩を救うために主人公に頭を下げる男気、
そして料理に拘ったり、古い車を愛車として愛用したりと愛らしい一面もあります。
特に私が痺れたのは、最後の最後まで後輩のためを思った行動です。
表情一つ変えず、自分の組を守るための行動を冷静に成し遂げた"プロとして"の一面と、普段の気の良いおっちゃんの一面のある二面性が魅力的です。
黒塩
かなり抜けたところはあるが、海老原の右腕をしているヤクザ
「名前を残したい」という野望の元、主人公の手腕を目の当たりにして弟子入りを志願している。
海老原から"殺し屋使うものでなるものじゃない"という忠告を受けてもなお、主人公に関わろうと努力し続けるところが信念のある若者という感じでちょっと好感が持てます。
それと、私が一番好きなのが
主人公の正体を知らない後輩から「主人公は体操の元選手だと思う」と言われた時に「お前賢いな。そうやと思う」と言って、決して主人公の正体を悟られないようにする演技力があるところ。
また例え旧友であっても、ペラペラ現状を喋らないし、組への不義理を友達として許していても、組織として許していないところには、ちゃんとヤクザとして生きてきた勘や信条もあって、若頭である海老原さんの右腕になるだけはある!!と感じさせるギャップもあって魅力的です。
ちなみに、へっぽこっぷりが見え隠れして可愛げある黒塩ですが
自分の仕事や野望のためには他人の気持ちを一切考えないという一面もあるので、まじで関わらない方が良いタイプだな、とは思う。
田高田社長
主人公の職場の社長
バイトの面接に来た主人公に「うちの時給は最低賃金よりも低い800円や」「最近の若い奴は仕事を舐めてる」と脅しをかけ、ブラック企業の社長感が漂ったものの、感情に訴えられると弱く、主人公を可愛がるようになる。
社長の良いところはブラック企業感のあることをするわりに
30分早く出勤した主人公に「30分も早いぞ、コーヒーでも飲み」と声をかけたり、
かなり早く配達を終えた主人公に対して"嘘"だと決めつけずに「最初やから、確認させてもらう」と気を悪くしない言い回しをする気遣いを見せ、
主人公の絵を温かみがあると褒めたり、
肩の力を抜いて楽しんで描いてみたら良いと主人公にイラストのアドバイスを送ったり、
会社内で殺人未遂事件が起きた時も従業員の心情を理解しようとしたり、
主人公が実は強いと気づいても黙っている常識さを持ち合わせているところが魅力。
ようは、最初は嫌な奴だけど、一歩踏み込めば面倒見の良いおっさんである。
個人的に、自分は田高田社長みたいに厳しくも優しい人間であると勘違いしているクズは多いと思う。
けど、田高田社長はほんまに良い人ですからね、勘違いしないように!!
裏世界における「プロ」というものが何なのか垣間見える(怖いけど)
私が出会ってきた「プロなんだから〇〇!!」という言葉を使って他者を叱責をする人は、"他人から搾取しようとする人"ばかりだった。
だから個人的な事情から、あまりプロがどうとかを語る人は好きじゃない。
けど、ファブルの中で使われる「プロだから」という言葉は本当にちゃんとそれぞれがプロの仕事をしていた。
バーテンダーや居酒屋の店員といった、ちょっとした登場人物の仕事にまで「プロの仕事」という形容詞が付いていた。
主人公や洋子ちゃんは、殺し屋のプロとして一般社会に溶け込んでいたし、武器を手作りしたり、大立ち回りをするけど尻尾を掴ませないように気も配っていた。
特にすごいのが、因縁を付けられた時の対処。
相手に殴られつつダメージを極限まで減らして、逆に相手に少しダメージを与える。
そして何より生理現象である涙すら利用して弱い男を演じられる臨機応変な対応。
本当は強いという自負と自我があれば、こんな情けない姿は見せたくない!!となってもおかしくない。けど、主人公は「プロやから」と言ってなんてことないようにできてしまう。
プライドがないのではない、プロとして"殺さない"ということを守るためにいくらでも道化を演じられるのだ。
そこに、相手が優越感を感じているとかは気にもかけない。
洋子ちゃんも、本当は自分の身くらい自分で守れるのに「何も分からない」「か弱いただの助手」というフリを完璧にするから、あくまでも主人公の影に徹している。
ヤクザも、時代の流れに乗りながら組を守るという信念の元、トップダウンが基本としてある。
そして横の繋がりと揉めないように様子見をすることも大切にしている。
しかしトップダウンが崩れそうになると、仲間であっても容赦はしないという徹底ぶりはまさにプロ。
主人公以外の殺し屋もプロとして出て来るものの、同じ殺し屋である主人公との対比になって面白い。
依頼に個人的感情を入れてはいけないのですよ。
それにしても、プロを名乗るのに感情を殺すことが必須条件なのだとしたら、私は人と関わることにおいてのプロにはなれないな、と思う。
人間関係は作るものではなくできていくものだと、ほっこりできる
主人公はかなりフリーダム
媚びも売らないし、愛想笑いの1つもしない。
人間関係を円滑にするための努力もしないし、自分から話しかけることもしない。
けど、周りが主人公の行動や言葉から「こういうことが言いたいんじゃないか」と推察して解釈して人間関係ができていくのが、とってもほっこりする。
最初は主人公を疑っていた海老原も、主人公を信頼して頼るようになるし、
海老原の部下も主人公に憧れて弟子になりたいとか言って来るし、
バイト先の会社の社長やヒロインのみさきちゃんも主人公の居場所になるし、過去に主人公が結果的に助けることになった女の子も主人公に信頼を寄せるし、敵だった裏社会の人も主人公のことを気に入るようになる。
1回だけ顔を見せた田高田社長の行きつけのお店の店員さんが、主人公の絵を見て「今が楽しいのね」と主人公の心情を推し量ってくれたのも温かい。
たまたま主人公にとって理解のある人に囲まれることができたこともあるが、主人公のもっている力や、経験からにじみ出るものが関係を作っていくのだと感じられる。
人間関係は無理して作るのではなく、勝手にできていくものなんだな、と人間関係に追い詰められ続けた私は勉強になった。
そして主人公のボスが「もし人並みの生活が送れるなら、そうしてあげたい」という話を海老原だけにするのが親心みたいなものを感じられて良い。
主人公のマイペースさと人間離れしたところが共感できなくて面白い
主人公はジャッカル富岡というお笑い芸人に対してだけ爆笑したり、かなりの猫舌で熱いものに触れた時にオーバーリアクションになったりしますが、基本的には何事も動じない無表情です。
空気も読まないから相手の顔色なんて見ないし、自分が特殊な環境で育ってきたことに恐らく気づいていないし、
けど「普通っていうのはこういうものだろ?」と普通を学ぼうとして、本人はマイペースに普通になる努力をしている。けど、それが周りからみて不思議に映る。
また小型カメラに気付く察知能力や、あるものを使って工夫をするという教えを徹底して自作の銃を作ったり、熊と対峙したり、橋を飛び降りても平気だったり、かなり人間離れしている。
それらの全てが一切、共感できないからこそ面白い。
私も、主人公の周りの人と一緒に主人公の不思議な魅力を面白いと思って楽しむことができる。
「えー、そうなるの!?」「えー、そうなの!?」という衝撃
ファブルの展開、登場人物が何を考えているのかが明かされた時に驚くことが結構多い。
洋子ちゃんが実は結構強いとかも意外だったし、敵対関係が見えてきた時にも「あ、そっちを選ぶんだ」という人間関係の複雑さとかが感じられて、色々な意味で衝撃を受けるのがまた魅力。
とくに海老原と小島の話は辛かった。
人間という生き物の、裏の顔があって当然な描写がリアル
この記事を見ているあなたには、裏の顔はありますか?
ちなみに私はあります。
表向きは円滑な人間関係のために優しい口調でにこやかに話しますが、心の中では人に見せていない部分を持っています。
ファブルは、そういう部分をさらに過激にした人間が結構出てきます。
真面目に見せかけて盗撮魔とか、兄貴分に隠れて裏で悪どいことをしているとか、普段は女性らしさを見せない格好をしているのにグラビア活動をしていたり、それこそ主人公は殺し屋ということを伏せてフリーターをしている。
"多かれ少なかれ、皆そういうもの"っていうのが、漫画の中で過激に剥き出しにされていて気持ちが悪いと言えなくもない…(笑)
都合の悪いところを突かれても、すまし顔でやり取りする場面の多さを見ていると、この人たちって心が休まることがあるのだろうか?と疑問すら湧く。
けど、恐らく命をかけて生きている裏の世界では、そうでもしないとやっていけないというものがあるのだろう。
一般社会でも、恋愛が絡んだ時にはそういう面が見えることもあるし。
だから、私は人間ってあんまり好きじゃないんだよな…と思ったりもする。
けど、ファブルは面白い。
生きているのも悪くないとか、とにかく面倒事から距離を取ろうとか思った理由
私はアニメの中で「昨日と変わらない今日を満喫したい」という主人公の言葉を聞いた時に、色々と思うことがあった。
私は小学生の頃から、ただただ平穏に、傷つけられる心配がない生活を送りたいと思って生きてきた。今はやっとそれが叶っている。
けど主人公のように全力じゃないと思った。
結局、私は自分のしたいように過ごしてこなかったから
後悔とか過去への執着とかで、今を生ききっていないのだなと感じた。
主人公はお金があるから生活の心配はないとはいえ、今の日常をただ楽しんでいる。
そう思うと、自分にもまだまだ可能性があって、生きていればどんどん色々なことが上書きされていくのかもしれないと希望が湧いた。
だから「生きているのも、悪くないかな」と思えた。
そして、みさきちゃんやヒナコちゃんを見ていると
警戒心を持って生きていないと、自分の意思に関係なく、クソみたいな出来事が突如としてやって来ることがあると感じた。
(私もここまでではないにしろ、起きましたし)
子供に無理をさせない経済的な安定と両親からの愛情、学校や会社での健全な人間関係といった生活基盤が整っていないと、女の子は特にカモにされてしまう危険性があるのだということがフィクションだと割り切れない形で描かれていました。
そして、私が出会ってきた傷害罪が適応されてもおかしくないようなクズ教師の存在はもちろんダメですが、
何でもかんでも配慮とか言って良い子ちゃんで居ることを強いて、個性が大切とか言いつつミスを許さず、子供を守るような体で早く大人になることを強いるような今の風潮は、無知を加速させているとも感じさせられました。
無知なまま大人になったら「ちょっと脅してやろうと思っただけで、そんなことになると思わなかった」「バレなければ大丈夫だと思っていた」という思想から平気で人を傷つける言葉をかけ、行動をするような奴になる。
これは学歴関係ない。
私が実生活で感じていたことを、ファブルでもそうなのだと描かれているように感じて、私も気を引き締めて生きていこうと思った。
無知なままじゃ、やっぱりダメなんですよ本当。
漫画としてクスッと笑えるし、主人公や洋子ちゃんたちのバトルシーンはカッコイイけど、適度にリアリティが組み込まれていることで、特に大人が楽しめる作品だと思います。
ちょっとダークな世界観に触れたい、という時に見て欲しい。