声が小さい人の「やりたくない」は、声が大きい人の「やりたい!」と同じだけ重さがある。
夏休み最初の日曜日。
のんびりおきて思い思いに朝ごはんを食べる。
次男が言う。
「きょうどっかいきたい!!!」
「おでかけかー」
「でも暑いよ?」
「習い事増えたからお金たくさん使うのは無理よごめん」
「じゃあ自転車のりたい」
「自転車ならいいか」
「暑いから9時には出発だな」
みんなで話し合って、
自転車で20分くらいの神社に行くことが決まった。
で、
いち早く準備した次男。
他の二人はまだご飯が終わらない。
見ると、誰もいない子供部屋にまた電気がついている。
「次男またついてるで!消しや!!」
「俺じゃないし!!」
そしてまたいつもの、次男と私の不毛な戦いが始まった。
本題とそれるので詳細は省くが、
とにかく言い争いにどうにか決着がついたときには9時5分。
長男と末娘はとっくにご飯を食べおわり寝室でそれぞれ好きな本を読んで転がっている。
私「長男、娘ちゃんどうすんの?もう行かないの?」
長男「もうべつにいいかな」
娘「まどがぎらぎらしてあついからあたしもいきたくなーい」
次男「おれは!!いきたい!!」
私「いや、いまの状態で次男と二人はいややわ。」
次男「ぎいい!!じゃあもう俺テレビ見てくる!!」
次男は音を立てて子ども部屋の扉を締める。
私は「クーラー付けや!死ぬで!」と、扉越しに声をかけた。
1時間後。
機嫌の直った顔で寝室に次男がやってきて言った。
「ほんでいつ行くの?俺準備できてるし待ってんだけど??」
は?何いってんの?
私「さっき他の三人全員いかないって言ったよね」
次男「でも朝サイクリング行くって約束した!!」
私「だから、9時には出ないと熱中症になるって言ったやん。もう10時過ぎたしいかないよ」
次男「でも!行きたい!!」
私「じゃあなんでケンカ終わった時点で兄ちゃん達を説得しなかったの?あの時点でなら行ってくれたかもしれんやん」
次男「だってかあちゃんがしないからや!!」
ここで、私はやっと気づいた。
私「次男、もしかして、母ちゃんもサイクリング行きたいと思ってた?」
次男「え?うん。早く行こうよ!!」
そうだったのか。
私「次男、それは違う。
母ちゃんはな、せっかくの夏休みだし、君らと入れる時間は限られているから、なるべく君たちの『やりたい!!』には答えたいと思っているだけだ。
それは、母ちゃんが親で、そうしたいと思っているから。
だけど、長男と娘ちゃんは違うんだよ。二人には二人のやりたいことがある。」
次男「えー!!だっていきたい!!」
私「うん、だから、次男の『いきたい!!』と同じだけ、長男と娘ちゃんの『行きたくない』も、私は大切にしたいんだよ。長男は一緒にいってもいいかなーと思ってたけど、私と次男がケンカしてる間にどうでもよくなっちゃったんだって。あと、娘ちゃんは昨日もあんたらの通院中保育園だったし、暑いし今日はのんびりしたいって。」
次男「えー!!!!」
私「どうしても行きたいなら1人で行きなよ。みんなで行きたいならみんなのタイミングに合わさないと。俺様が行きたいから全員ついてこい!じゃあだれもついてこないよ」
次男「ぎいいいい」
次男は叫びながら布団を転がっていたが、
長男がスマホで動画を見始めると、
やがて自分も一緒に見始めた。
声の大きい次男は、じぶんの「やりたい!!」がとても強い。
そして簡単に諦めないから、日々関わってる家族の中でも、意見が通りやすい。
何故か。
断ると50倍量くらいの避難を浴びるから。
つまり「めんどくさい」のである。
彼にノーを言うことはすなわち、
イエスの50倍労力がいる。
これ、私も疲れ果ててるときほど流されてしまうし、
長男のように静かな話し合いで進めたい人にはとてもむずかしいと思う。
だって、
「ノーをいうおまえがいかにひどいか」を叫ぶ人との対話は非常に困難だから。
彼は「自分の意見と同じようにみんなもやりたいに違いない」と、勘違いする機会に恵まれすぎたのだ。
私との6年に渡るバトルで、「俺と母ちゃんの意見は違う」と、うっすらわかっていても、兄妹もそうだとはあんまりおもってなかったのかもしれない。
日々ケンカはしまくっているけど、
確かにお出かけのときに必死に「行きたくない」を言う人はあまりいなかったし、行けばそれなりにみんな楽しそうにしていたから。
でも、と思った。
だからこそ、今日長男と娘がはっきり、
「自分は行きたくない」といったのはとても良かったんだと思う。
「意見が通らなくて諦める」機会、
同年代の中でも口が達者な次男には、必要だったんじゃないかな。
そして、
強引に意見をとおそうとしないタイプの長男と娘が、
「ノーを受け入れてもらえた」のもまた、とてもよかったと思った。
みなもっちサンシャイン
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