PCIEの無線LAN子機より、ブックオフの中継器の方がいい説
ノートPCと違い、ほとんどのデスクトップPCは標準でWi-Fiに対応していません。そのため、Wi-Fi接続するには一手間が必要です。
私はPCIE接続の無線LAN子機を4年くらい使っていたのですが、最近諸事情でブックオフで購入した中古ルーターを中継器モードにしそこに有線接続すると、かなり快適だったのでこの記事を書いています。
前提
私の部屋はルーターのある部屋から離れており、有線LANが使えません。いや、気合入れて線伸ばせば使えるんですが、家族もいるしいろいろめんどくさいのでそもそも選択肢になかったわけです。
そこで、2020年頃にドスパラでデスクトップPCを買ったときは、オプションで無線LAN子機をわざわざ追加しています。この子機はPCIE接続のちゃんとしたやつで、具体的にはASUSのPCE-AC58BTです。
これを搭載したPCを3~4年くらい使っていました。その間、接続に不便は感じていませんでした。感じたとしたら回線由来の不満くらい。PC↔ルーター間の接続には何の問題もありませんでした。
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VRが重い
しかし、大きな問題が。
Oculus Quest2(当時)を購入し、PCとつなごうとしたときのことです。Quest2とPCの接続方法には、USBで有線接続するQuest Linkと無線LANを使うAir Linkの2種類があります。「無線のほうが楽に決まってるじゃん」ということでAir Linkを使ってみたら……
重い重い。カクついてもたついてゲームどころの騒ぎではない。後で調べると、「PCとルーター間は有線接続」がAir Linkの推奨環境だったようで。PC↔ルーター、ルーター↔Quest2の両方が無線というダブル無線の環境だと厳しそうということで、結局有線であるQuest Linkを使っていました。
トラッカーが重い
ところがそうでは済まなくなる問題が発生。
「SlimeVRというフルトラ用のトラッカーが自作できるらしい」という噂を聞きつけ、特に使う用もないのにIMU方式のトラッカーを自作したわけです。これで世にいうフルトラマンなるものに自分もなれるのかと思いきや……
重い重い。カクついて遅延して使い物にならない。重すぎてダンシングフィッソン族にもなれません。おそらくこれもダブル無線接続のせい。しかし今回ばかりはトラッカーを有線接続するわけにもいかない(本当はできるのかもしれないが)。
モバイルホットスポットが重い
Windowsにはモバイルホットスポットという機能があり、PCをWi-Fiのアクセスポイントにできるのです。これを使ってトラッカーを直接PCと接続しようとしたのですが……。
しばらくすると接続が切断されて、トラッカーを再起動するまで二度と繋がらないという不具合に見舞われました。これの原因はよくわかってませんが、そもそもPCとルーターの接続をしながらQuest2+4台のトラッカーと接続するという仕事は、1つの無線LAN子機には荷が重すぎるのかもしれないと思い、この方法は諦めることに。
中古のルーターを買う
そこで私は秘策を思いつきました。PCからルーターを生やして、そこにQuest2もトラッカーも繋げばいいのでは!?
というか、実際にはこれ↓を見ただけです。
Virtual Desktop, Oculus Air LinkのWi-Fi設定例
— トナ (@tonavrc) May 7, 2021
インターネット接続なしのQuest専用アクセスポイントを利用する。
特徴
-自宅のWi-Fi環境に関わらずプレイエリアの側にアクセスポイントを設置しやすい
-この構成時はQuest単体ではネット接続が不可(無線PCVRをやらないときは他のWi-Fiに接続する) https://t.co/LXzamfIFj7 pic.twitter.com/0yqNfCpbg3
早速私が向かったのは家電量販店……ではなくブックオフ。そこには年季の入ったルーターの箱がずらりと並んでいました。しかし私が手に取ったのはむき出しのままビニールに入れられたこちらのバッファローのルーター「WSR-2533DHP2」。
理由は単純で5Ghzに対応しているやつの中で一番安かったから。お値段なんと1430円。早速これを購入して、PCに接続したわけです。モードはAPモード。そのままだとネットに繋がらないのでWindowsのインターネット接続共有(ICS)を使用。再起動するとオフになってる問題が発生しましたが、以下の方法でレジストリをいじって解決。
結局、以下のような構成に。
大成功!これで私のネットワーク周りは完璧になりました!
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と思いきや。
また問題
実はICSは「PCをルーターにする」ものであり、「PCをハブにする」ものではありません。これはつまり、サブルーターから先のネットワークはサブネットになってしまうことを意味します。
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これがなぜ困るのかということですが、少し段階を踏んで説明させてください。
実はSlimeVRのうち腰だけはowotrackというアプリで古いスマホをトラッカー代わりにしていました。これは腰の精度の確保(ホントは製作中にセンサーを1個壊したから)のためだったのですが、このスマホもサブルーターに接続していました。
時を同じくして、同じスマホをサーバーにしていろいろ遊んでいました。この時スマホがサブルーターにつながっていると、サブネットの外側からサブネットの内部にあるスマホに到達できないので大元のルーターに接続しなおす必要がありました。
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この切り替えがめんどくさい。ICSでポートフォワーディングしてなんとかするという方法もありましたが、不必要に複雑になっている気がして気が進みませんでした。そもそもPCが起動していないと機能しないという問題もありました。
中継機にする
そこで、サブルーターは中継機にして大元のルーターと直接接続、そこに有線でPCと接続するという手法に変更することにしました。
これにより、ダブル無線を回避しつつ、全てが同一のサブネットに入ることで利便性も確保。
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唯一の懸念点は、中継機能での5Ghz通信とQuest2との5Ghz通信で帯域を奪い合わないかということでした。結論としては目に見える悪影響なし。
しかも、無線LAN子機経由でネット接続するよりも高速にネット接続できました。値段の差を考えると、もう無線LAN子機とか買わずに中古の中継機能付きルーターを使ったほうがいいような気もします。
まあPCE-AC58BTにはBluetooth機能もあり、その分の値段かもしれないのでなんとも言えませんが。実際Bluetooth用としてはまだ使っています。
あと注意点としては以下。
中継器に専用のSSIDとパスワードを設定(確実に中継器の方に接続するため)
中継器とルーターは、常に5Ghz接続(2.4Ghzを少しでも使うとSlimeVRトラッカーとの通信が不安定になる)
Wake on LANが使える
思わぬ利点もありました。それはWake on LANが使えるということです。
今までPCはWi-Fi経由で接続しており、Wake on LANを無線でやろうとするとハードルが非常に高くなります。実際PCE-AC58BTはWake on LANに非対応のようでした。
しかし構成を変えたことで、PC側からは有線接続ということになり、Wake on LANが普通に使えるようになりました。これはうれしい。以前は外出先で急に家のPC内のデータが必要になった時のためにPCを起動して行くということをしていましたが、そうする必要がなくなりました(ルーター超えにはAutomateというTaskerの無料代替ソフトのメッセージング機能を使用)。
やっぱりデスクトップPCは有線接続してナンボなんだなと思いました。
まとめ
デスクトップPCをWi-Fi経由で使いたいとき、無線LAN子機を買うより中継機に有線接続したほうがいいのでは? という提案でした。この方法のメリットは
中古で安いのがあれば、性能の割に安く済む
Wake on LANが使える
逆にデメリットは
そんなに性能がいらない場合高いかも(無線LAN子機はピンキリ)
ということくらい。
今回の場合、VRが重いのはダブル無線よりルーターと物理的に遠いことの方が問題だったのかもしれませんが、なんにせよそれらを解決しようとした結果として、無線LAN子機より中継器を使う方がよさそうという結論を偶然にも得られた、というのがこの記事の趣旨です。
かなり安定感があるのでしばらくはこれでいくことになると思います。