がん闘病マンガ「断腸亭にちじょう」の巻数表示がつらい
がんの家系で、40を越えたら気をつけようと思っていた漫画家が、39で大腸がん宣告をされてからの日々。
「たら、とか、れば、とか いくらでも浮かんでくる」
エゴサして褒められても皮肉をつぶやくような「ひねくれ漫画家」である作者が、がん宣告をされる。それも、症状はわりと進行しているようだ。
父親が死んだ病気と同じものが、予想より30年ほどはやく来た。
告知されたときも現実じゃないみたいにぼーっとして、横で奥さんだけが泣いている。
僕以外でもウェブに何かを書いている人は、「これが偉い人の目に留まって人生変わるかも」とか、「気が合う人がDM送ってきて仲良くなれるかも」とか、そこまで都合のいいことは考えなくても、
「でも、このまま終わりじゃないだろう」
とはどこかで思ってませんか。
人生あと何年か知らないけど、ひとつくらいは幸運があるだろう。
いくらついてない人でも100回ジャンケンして全敗のほうがむしろ難しいし、生きていれば嫌でもちょっとは嬉しくなる光景を見たり、美味しいものや笑えることがあるだろう、人生に完全に絶望することもまた難しいんじゃないかと。
でも、この漫画では、どうやら「おわり」が遠くないようだ。
教訓にしてほしいわけでもなく、いつか読んでほしい子供がいるわけでもなく、作者は、なんだこんな終わり方しか用意してないのか、と運命の神様に失望したように、でもなぜか漫画にしていく。言葉のないコマにも
「こんなこと漫画にして何になるんだ」
と、見えないつぶやきが散らばっているよう。
漫画という表現手段を持っている。言い方を変えればそれしかない。それだけをやってきた人生だから、何を宣告されようとそれをやるしかない。
1巻目だから表紙に「1」とあるけど、これが少年漫画みたいに数字が増えていくのかはわからない。
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読んでくれてありがとうございます。
これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。