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始まったら終わってるホラーゲーム PS4「Stories Untold」クリアレビュー
切れ味のいいゲームに打ちのめされる快感!
回し蹴りを側頭部に食らったような、強烈に胃が燃えるような酒を飲んだような感覚。「これは参りやした」と笑いながら倒れるこの瞬間のために、見知らぬゲームをやったり本を読んだりするのだ。
4話構成のオムニバスになっていて、どれも見知らぬ機械をてさぐりで操作して進んでいく。1話はややネタバレ有りで感想を書いてしまったけど、古い家でパソコンゲームを遊ぶ。
ゲームオーバーもアクションもない。じわじわくるタイプのホラーなので、直接グロテスクな画像はないけど、気分転換のコーヒーぐらいは用意したほうがいいかもしれない。
2話は「なんか知らん物質をなんか知らん機械にかける」の巻。
上にあるのがビデオカメラで、スイッチを入れといて他の数値がどうのこうの・・・簡単な説明は受けるけど、何度もいじくりまわしながら
「あっ、動いた、合ってるっぽい!」
を繰り返して、金庫のようなものに保管された何かに刺激を与えて反応を見ていく。
指示通りに繰り返すうちに、これ、なにかヤバイ実験じゃないの?
明らかに生きてるっぽいものに強烈な刺激を与えてるっぽいんですが…と、いつの間にか手に負えない状況にプレイヤーが追い込まれている。
安全なところから危険に巻き込まれるのではなく、
最初から取り返しのつかない終点まで連れてこられているのを、ゆっくりプレイヤーが理解していく。
始まったときにはもう終わってる。エレガントで残酷なホラーゲームだ。
3話目は、人の生きていけない極地に閉じこもって、何者かから送信される暗号を解読して入力していく。
実生活でいえば、忘れかけのパスワードを入力していく感覚に近い。
受信機から聞こえる数字をマニュアル通りに置き換えて、新しいメッセージが聞こえるごとに、地球がどのような状況になってるのかわかってくる。
ノイズと吹雪の中で、ひたすら数字を打ち込む行為。気持ちいいと感じるのだけど、なんで作り手はこれを面白いと思って、実際に作り上げるまで「面白いはず」と信じられたんだろう。
そして第4話で、3つのエピソードの秘密が明かされる。
どのエピソードも途中セーブがきかない。あらかじめ30分ほど時間を用意しないといけないが、そこもふくめて、実験的なショートフィルムの映画を観ているみたい。
昔のパソコンゲームへのオマージュはあるけど、それはひとつのアイテムにすぎない。ノスタルジーに浸ってるわけじゃない。
自分たちの面白いと思っているものを真っすぐにぶつけられた快感があった。
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