「あらびき団感想」スルメさんはスキャットマンなのか
あらびき団二夜連続スペシャル。
堂々とした粗さの一夜目
問題作の多い二夜目
最後に滝沢カレンの
「これって、二夜連続でやるようなこと・・・?」
と、関わった者全員の思いがこぼれ出た夜だった。
最後まで悪ふざけみたいな番組だった。
ちなみに、その時間のSNSのトレンドワードが「水曜日のダウンタウン」出演の大鶴肥満のあいさつ「まーごめ」。あらびき団と大鶴肥満ってかなり近いのに、負けた。
水ダウで注目度を上げた竹内ズのコント(お墓参りしてたらUFOキャッチャーに骨壺持ってかれるネタ)は、シュールかと思いきや最後にブラックな後味で好きだったのに、まさか肥満に足元をすくわれるとは。
だけど、二夜目は何も考えられずに笑う時間ばかりではなく、ふと真顔になってしまう瞬間もあった。ネタをあえてちゃんと撮らずに東野、藤井のふたりで「どこ撮ってんねん!」のパターンも多く、添加物の量は一時期のエンタの神様レベルを越えて激辛ペヤング状態。
番組の顔だったハリウッドザコシショウ、マヂカルラブリーは不在。
もはや番組が呼べるランクじゃなくなったか、それとも数年ぶりの単独と野田ゲーで忙しいのか。
でも、かわりのメンバーは超フレッシュだった。
なぜか露出をじわじわ増やしているみなみかわ、お笑いサークル?の大学生、友田オレのネタをちゃんと流したり、数年後には「この人、昔あらびきで見た!」って驚くことになる人も多いんじゃないか。
ひとつ思ってしまったのは、グランプリのスルメさんについて
生きるのに不器用な感じとか、なんだかんだでみんな見すごせず助け合ってる感じとか、この人を見るだけで周囲の人間模様が見えてきて面白いんですが、
「緊張して噛みまくってしまう男」と紹介されて出てくるけど、
これって、真剣に悩んでいる人がたくさんいる「吃音」ってやつでは…。(口にするのも野暮でしょうか)
でも、スルメを「人を傷付ける笑いなのでは!」という切り込みで語りたくない。
絶対本人は笑ってほしいだろうし、だいたい、小道具とかほかの不安点が多すぎてしゃべりは頭に残らない。
デブ、ハゲ、ブサイク。コンプレックスを含む笑いを完全に取り除くんじゃなくて、「これを俺は笑いにできるんだ、クラスの女子に馬鹿にされてきた俺が、これでもててやる」とあがく姿を見たい。清濁あわせて飲みたい。
今まで、スルメのネタを何度も深夜のテレビで見たけど、単独で評価されてた記憶がない。
編集でいじったり、有田さん小峠さん東野さんらのやりとりとセットで放送される。そういうウケかた。
ザコシや街裏ぴんくに、もはやハゲやデブと言ったほうが負けに見えるような、そういう凄い芸ではない気がする。じゃあどうすればいいのか? わからない。
吃音によって、同じネタをペラペラ喋られるより何か人間として気になる感じにはなっている。不器用な人が地下で頑張っている感じ。(これも失礼になってしまう)
たまに哀愁のある顔をして存在感があるから、誰か役者として使ってほしい。奥田秀朗の小説に、
「田舎者で不器用で、犯罪に走ってしまうけど読者が同情してしまう人」がたびたび出てくる。それがスルメさんとかぶってしょうがない。
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。