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【ゲーム記録】文明崩壊後の地球でルールを守る美学。

プレイステーション4の「ゴルフクラブ:ウェイストランド」は、火星からやってきた男が、文明崩壊後の地球でゴルフをするゲームだ。

文明崩壊後が舞台のゲームは山ほどある。
誰にも注意されない場所で破壊。略奪。ウイルスや放射能や怪奇生物から生き延びて、見ることのできなかった世界の真実に近づくとか。だけど、
「崩壊した世界で何をするゲームが面白いか」
という大喜利に、
「ゴルフ」
と答えを出すセンスが鋭いと思う。
ゴルフは自然環境と付き合うスポーツだから、皮肉がきいている。

もし崩壊した地球を観光してまわるとき、ふつうに散歩するか「ゴルフ」を入れるかで見方が変わる。
観光なら「あの大仏、歴史あるなー」となるところを、ゴルフ視点をかませると、「あの大仏、高低差あるなー」になる。
歴史より、行けそうかどうかを注意深く見るようになる。

ひとりで回っているのもいい。建物を破壊するとか、許されなかった行為をしない。ルールといえるものが崩壊した星でルールを守って遊ぶことが、滑稽なようで、人間の尊厳を守ろうとしているようにも見える。

崩壊した世界で建物をぶっ壊して遊ぶより、誰も見てないのに律儀にルールを守って、暴走した自動ドアにボールが止められたり、カップをそれたら「ああ」と、紫の空をあおぐ男。

常時ながれているラジオからは、地球をなつかしむ曲のリクエストがあったり、火星での生活の悩みを知ることができる。
ラジオがどれだけ現状をなげいても、自分は自分で楽しみを見つけられる人間だと、あきらめと「強さ」が見える。

ゴルフの爽快な部分を削ってイライラする部分をわざと残したような本編をある程度のスコアでまわると、日記が読めるようになる。
ゲームの背景やこの男が何者かにピントが合ってきて、なんか思ってた話と違う…と、自由に想像する楽しみも失ってしまうのである。


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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。