R‐1ぐらんぷりと勇者ああああ
THE MANZAIでグランプリだった博多華丸大吉の「ユーチューバーになりたい」というネタは、たぶん今見ると味が違う。
数年前は、「ユーチューバー」って言葉をテレビで言うだけで面白かった。なんとなく聞きかじった言葉を言ってる感。
「〇〇を食べてみた」という企画をやろうとして、旬のぶりの照り焼きか何かを食べるんだったかな?しっかりした食レポをしてしまうやり取りがある。
「YouTubeなのにしっかりしたことをやってしまう」笑いも、今だと通用しない。
テレビに出ている成功した芸能人がYouTubeデビューというのもおもしろかった。テレビに出れない人のやることだった。
今は「えー」と驚くぐらい多忙な芸能人やジャーナリストがYouTubeを始めて、自分にしか話せないことを取り上げている。
マヂカルラブリーの野田クリスタルがゲーム実況をネタにしてR1ぐらんぷりで優勝した。
落語とかモノマネとかフリップとかコントとか歌とかを全部含めて、一番注目された今の笑いが「自作ゲーム実況」になった。
素人が許可なくゲームを配信しながらしゃべるゲーム実況は、すごいマニアのやることだったし、10年前は著作権的にグレーゾーンの行為です、とことわってからテレビで紹介されていた。
いまの「わけわからん」は5年後のスタンダードになる。
「勇者ああああ」
「高学歴芸人」「高校野球芸人」みたいに、お笑い芸人が得意ジャンルを極めて仕事の幅を広げるのはよく見かける。野田のゲーム紹介を見たのは深夜番組の「勇者ああああ」だった。
この番組が生んだのは、ヤクザ&舎弟キャラ漫談で出てきたペンギンズ「ノブオ」。
ヤクザキャラが「反社会的」として出にくくなる時期と重なって、ゲームプレゼンのうまさで成功して、すっかりゲーム芸人としてイベントに出ている。
先日の放送でも、発売前はコマンド式RPGになって大不評だった「龍が如く7」をとりあげていた。
このゲームで一番分かりやすい紹介は、バカゲー的に、変なキャラの技をドーンと紹介したり、キャバクラ経営とかミニゲームの凄さを見せるようなやり方だろうけど、
「…前作までは強くてまっすぐな主人公だからアクションが合ってたけど、新主人公の性格と生き方が、転職と作戦を切り替えるコマンド式RPGと親和性がある」と紹介していて、
うわ、この尺でこのレビュー!ゲーム好きとして完璧に信用できる!って興奮した。
ちょっと嫉妬した。