【SEKIROプレイ日記2】仕込み傘の解説文がすごい
プレステ初期の名作「天誅」には「娘さん」が出てくる。
見つかるとキャーッて悲鳴をあげて走ってしまう。他の敵を呼んでしまうから、理想は、彼女にすら見つからずに進むのがいい。
だけど娘を殺して、非情に徹することもできる。
「SEKIRO」で侍の屋敷を発見。屋根裏部屋に入ったりして、ますます天誅だ!と天ションが上がっていたけど、そこで若い娘さんの姿はない。
娘さんは、灯りを手にして徘徊する老婆に置き換えられている!
ダークな世界観の雑味になる色香は徹底して消している。
さて、現在。
なんとか無理難題をくぐりぬけ忍。
頭に火がついた牛とか、ボスの初見の威圧感すごいね。なんとか勝って進んでるけど、トロフィー達成率からして、これ買った人、世界が広がって面白くなる前に3割ぐらいやめてるっぽい。
これがカルト的人気作なら充分わかるけど、ゲームオブザイヤー受賞作なんである。年間のベストゲーム。
映画祭で、素晴らしい内容だけど3割が序盤で寝てる作品を、アカデミー作品賞に選んでいいのかって気持ちが多少ある。3割寝たら、その後に何を見せてくれようとその時点で駄作なのではないか。
これまで死にゲーを何作も出して、ユーザーはこれでもついて来てくれる!って信じてないと、こんなん作れないなあ。すごい。すごい。
ぽつぽつといるこの世界の住人たちに話しかけると、
「柿じゃ、コメじゃ」
しか言わない老婆とか、戦場でもうけ口を探す男とか、狂気の世界にふさわしい人格の者しかいない。
考えてみれば自然なことだ。魔王が迫っていて、村の一歩そとにモンスターがうろついている世界の住人は、
「私はどこそこから来た者で、これを探しています、こっちの方向に行けばいいですよ」とか、緊張感のないだっさい自己紹介文を言わないはずだ。
気に入った武器は仕込み傘。
義手にいろんな道具を仕込んで戦い方が広がるんだけど、鉄の傘を瞬時に広げて攻撃を防ぐことができる。
その説明文がいい。
「これは傘だ 下段攻撃をガードすることはできない」
SEKIROの完成度を支えているのは強敵を倒した達成感と、「これは傘だ」の一語を置くセンスだ。傘だから降り注ぐ攻撃を避けることができる。バランスとセンスの両の柱だ。
強敵を倒したら、しばらく敵にじゃまされずに新しい場所を見て回ることができる。
それは、昔のRPGで強敵に苦しめながら初めての町にたどりついて、しばらく敵にジャマされずに町を見て回れる、あの感覚に近い。
・・・とはいえ最後まで行ける気は全くしないし、気分良くコンティニューさせないこだわりが好きじゃない。