「ソニックマニア」やった?
マリオは、ジャンプで旗をつかんだらゴールになる。
ソニックは、駆け抜けた疾風で看板をクルッと裏返してゴールする。
それぞれの得意な、タテとヨコの動きで決着をつける。
風で看板が向きを変えるのも、アメリカのカートゥーンでよくある光景だ。よく出来てるなあ。
みんな、メガドラミニの話もいいけど、現行マシンでバリバリ遊べるソニック、やってる!?
「ソニックマニア」やってる?
「ソニックマニア」に感動した?
「ソニックマニア」に驚いた? 俺は驚いた!
ということで、PS4で配信された「ソニックマニア」レビューです。
セガハードで大ヒットしたシリーズのリメイク作品。
ゲーム歴が長い人でも、「ソニック」だけは、どうも良さがつかみきれねえんだよなあと思っていた。
任天堂にマリオ。セガにソニックがいて、同じ横スクロールアクションで、同じジャンルに見えるのに、なんかソニックは難しい。
マリオは一目でわかるルールで整頓されている。
たとえばトゲゾーって敵は、
「おれはトゲがあるから踏んだらダメだよー」
と、デザインがルール紹介になっている。自己紹介しながら出てくるみたい。
ソニックの敵は、当たったら痛いのかわからない。コースも複雑であっちこっち行くし、ピンボールの玉扱いされて機械の中でぐるんぐるんにされる。何がどうなっているのかわかりづらい。
わかりづらいのを、わかっていくゲームなんだよと、ひとこと言ってもらえれば、初めて「ソニック」で遊んだときの印象ももっと良かったかもしれない。
「ソニックマニア」で20年越しにソニックの魅力がわかった。というか、このゲームの軸にある信条みたいなものがわかった。
ソニックの世界では「ワイルド」が正義。
ルール紹介してくれない敵、わかりづらい仕掛け。それらをさらに手の付けられない能力のソニックがぶち壊していく。
「この敵は当たっても大丈夫なんだ」
「ここは上に行くと近道だ」
繰り返しで知識をふやして、絡みついたコースをほどいていく。
「方向キーと1ボタン」の操作に制限しているのも、カチャカチャこまかいテクよりワイルド感重視な手触りにしている。
しゃがんでボタンを押してタメて、話すとドギャン!とダッシュ。
空中でボタンを押しっぱなしにしていると、着地した刹那にドギャン!とダッシュ。(こっちは知らなかった)
敵をやっつけるたび、解放された動物がちゃんと逃げていく。
どうぶつが味方で、機械が敵。そういう世界観。
ややこしいことが敵。機械と人間が敵。どうぶつラブ。自然ラブの価値観を通すゲームだ。
ソニックの大ボスはエッグマンなる人間。
クッパと違うのは、エッグマンは何度も何度も違うマシンで登場し、やられるたびに逃げていくところ。最後の城でデーンと待つ風格がない。
機械に頼って肥えた人類は、どうぶつによって体当たりで壊される。ほとんどジブリの価値観といっていい。野生が機械に復讐する「平成鼠合戦ちくちく」だ。
日本でソニックがアメリカほど受けなかったのは、ハードの差もあるけど、
「マリオ」の秩序あるつくりが当然と思っていたから、ソニックに戸惑ったのでは。
当時のアメリカのゲーム好きは、もっとクセのある操作の主人公、理不尽なステージが当たり前だった。
最新作「チームソニックレーシング」は、今までどのジャンルでも足で勝負していたソニックがついに車に乗ってしまった。設定でフォローしても、海外ファンから疑問が多かったらしい。
「そもそも機械の侵略を足で出し抜くゲーム」だったのに!と根本の価値観からずれてしまった気がしたのかもしれない。
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。