だーりんずのコントは抜け落ちた頭髪をかき集めたような泥臭さ【ぴったり にちようチャップリン】
ツギクル芸人VSG-1芸人。
要するに若手VSおじさんのコント対決が、めちゃくちゃ面白かった。
最初の二組「ストレッチーズ」と「や団」の設定が、それぞれ「スマホの充電」「厳しい演出家」のコント。
始まった時点でちょっと世代の違いが出てる。
や団のコントは、灰皿を投げつける演出家と役者。
若い世代は「ニナガワ監督とか井筒監督は、やる気のない役者に怒鳴って灰皿を投げつけることもある」ことを知らない。
「カメラを止めるな!」の冒頭もそんな感じだったから、知らなくてもわかるけど、投げつけるものとして灰皿が定番になっている、その前提を知らない。ガラスの灰皿の重量感も知らない。
若い世代、というかほぼ全人類に伝わらないのは、ハゲネタ入り刑事コントをした「だーりんず」の松本りんすのハゲが本物だということだ。
ふつうの人は、松本りんすの毛根に興味がない。
松本りんすってあの人だよね!?
ハリウッドザコシショウの「シュー」「ええやんええやん」の元ネタを創ったのに本人がやるとパクったと思われたり、キングオブコントとR-1決勝進出してそこらの売れっ子より成果だしても給料3000円で第三のビール飲んでる人だよね!と近所の女子高生が会話してるのを聞いたことがない。
だけど、冷静に考えて恐ろしくなった。だーりんず、どうすればええねん。
ハゲを笑いにできず、ずっと悩んでいた演技派で男前のコント師が、コンプレックスを乗り越えて、本物の普段使ってるカツラとわずかな頭髪でネタやってるところが味なのに。
他の、スキンヘッドで平気な人がおもしろいカツラで違うキャラに扮しているのとはちがう。哀愁がある。あのぼやっと残った地毛がベテラン芸人だーりんずの手にしたオリジナリティなのに!
事前にりんすをしってないと、ただカツラを落としてハゲを笑うネタに見える。
一番子供じみたギャグ漫画みたいな内容だ。
(その点「竹内ズ」は不仲コンビということで注目されたけど、どつき漫才はやらないから、本人を知らなくても支障がない)
だーりんずってどうすればいいの?
薄毛とカツラという、芸人にとっては「武器」を得たと思いきやその使い方はあまりに難しい。難しいけど使わないにはあまりにその武器は魅力的でもある。
頑張れ生きろ松本りんす。そなたは美しい。同居人のゆーびーむ☆とのラジオもキライじゃない。