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【ゲーム紹介】武器が世界観を支えている。PS4「olija(オリヤ)」の呪いの銛は、悪魔城ドラキュラでいう鞭

ゲームで呪われた武具が出てくるとき、それは仮面か日本刀だ。
妖刀マサムネとか、いかにも血の味を覚えてそうな刀が、キレッキレの殺傷能力と引き換えに持ち主まで狂気にかりたててしまう。

だけど、海辺が舞台なら、いちばん血を浴びた武具は銛(もり)だ。
剣ばっかり呪われて存在感出してずるい。銛だって呪われていい。
呪いの銛で戦う横スクロールアクションゲーム「olija オリヤ」クリアレビューいきます!

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船が転覆して一命をとりとめた男が、呪われた銛を手にして、新しい島を探索する。各地で捕らわれた船員を集め、故郷に帰るために地図を持ち帰る。

実際の「銛」の特徴は、突いた魚が海に落ちないように、かえしがついていることだ。
呪われた銛ぐらいになると、使い手と獲物を引き寄せるどころじゃない。
刺さった敵まで高速移動して続けざまに攻撃したり、岩壁に銛をさして、その「柄」を足場にできる。

新しい地図の断片をあつめて行動範囲を広げると、身分違いの姫君のような人物も姿を見せる。
戦い、仲間、新しい出会い。呪われた銛に導かれるように「引き寄せられる」。

華麗な動きがお見せできないけど、ほんとはびゅんびゅん空中の敵から敵へホーミング移動できる。

このゲームのいいところ。6時間ぐらいで終わる!
最近のゲームは激ムズなのがトレンドで、しんどい。「できた人」がいくらこれは理不尽ではない、死ぬことを繰り返して解法に到達する、と語ろうと、ムズいのでしんどい。

オリヤは小粒だけどしっかり食べ応えがある。この銛の性能なら、もっと飛び回るアクションやパズル要素がほしい!もう一口食べたい!と思わせるところで終わる。

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グラフィックの表現も豊かで、たとえばハシゴをのぼる後ろ姿ひとつでも、ピコピコ手を交互に伸ばして昇るんじゃない。しっかり体重移動しながら、
「よっと…よっ…こいしょ」
と、声が聞こえてきそうな動きで昇るし、攻撃するときは一気に踏み込む。人形劇がときに実写なみのCGよりも表情を持つ瞬間のような。そういう、ドットが生きる瞬間がある。

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「オリヤ」の配信日は、ちょうどPS4plusの会員に「ブラッドステインド」が無料配信される時期と重なってしまった。
「悪魔城ドラキュラ(キャッスルヴァニア)」の流れをうけつぐ探索型アクション。こっちはビジュアルに華があって、やりこみ要素もすごそうだし音楽は派手だし、正直オリヤより目立つ。だけど、珍しい武器にスポットライトをあてて、武器の存在感が世界観を支えている点では、オリヤと悪魔城ドラキュラは同じだ。こっちも精神的続編だ(?)

悪魔城ドラキュラ(キャッスルヴァニア)はムチで戦うゲームだ。剣、銃以外の武器をメインに使うだけでインパクトがあった。
吸血鬼って、不死身だけどニンニクに弱いとか、よくわからないものが弱点だったりするので、神聖なムチで戦うところを見ると、
「たぶん、この神聖な武器じゃないと通用しないほどの敵…普通の獣や殺人鬼とは違う次元の存在と戦うんだ」
と、勝手に思う。武器が世界観をつくっている。ドラキュラと拳で殴り合いしていたら、華麗な雰囲気が台無しだ。

「オリヤ」で銛を拾ったときに
「海の民だから銛なんだ! 奇をてらって珍しい武器を出したんじゃなくて、これが日常的にある国なんだ」
と、珍しい武器によって世界観が支えられているのがわかった。武器が世界観をささえている。

登場人物の服装はアジアっぽいけどなんか違うし、どこの国のスタッフが、どこをモデルにして作ったのかわからない。
現実のどこでもない。このゲームの中にしか存在しない世界。だから愛しく、クリアとともに離ればなれになって寂しい。


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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。

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