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デザイン思考の次へ…社会変容のためのホールシステムデザイン

デザイン思考ブームがあったけど、結局、スタンフォードのd-schoolのプロセスをお題目のように覚えてビジネスに生かそうとして失敗したところが多かった様に思う。

スタンフォード大学 d-School

デザイン「思考」とは言うけど、デザインの本質は身体で考える「活動」だ。むしろ「デザイン活動」といったほうがいい。身体と思考の循環活動にこそ新しいイノベーションを生む力があるわけで、だからデザイナーはラフデザインやクレイモデルを作っては壊し、作っては壊しするのだ、そこを抜かして「思考」の部分だけ机上の空論で行っていても全く意味がない。

大きなデザイン(モノのデザインを小さなデザインとした上で)はデザイン思考だけなく、システミックデザインや、トランジションデザインという方向にどんどん移行している。クライアントから受託してデザインをするという行為じゃなく、社会に対する違和感や問題意識をデザイナー自ら考え、その社会システムを変容させる、社会変容デザインと言われる領域にまですすんでいる。いまやデザイン思考はそのためのツールの1つにすぎない。

カーネギメロン大学のデザイン概念

この図を自分なりの翻訳して作り直したいのだけど、Built World(構築された世界)から、Natural World(自然界)のあいだにデザインがあるのがわかる。

  • Design for Service(サービスのデザイン)

  • Design for Social Innovation and Sustainability(DESIS 社会変革と持続性のためのデザイン)

  • Transition Design(地球規模の巨大な問題に対して社会規模の価値観移行のためのデザイン)

構築された社会で必要だったものは、プロダクトやコミュニケーションといったモノのでザインだった。これをわたしはマテリアルデザインと呼んでいる。

一方、持続可能な社会を構築するために、自然界に影響を与えるデザインのことを、ホールデザイン、またはホールシステムデザインと読んでいる。ホールシステムは、かの有名なWhole Earth Catalogの第一章にある言葉だ。

結局、DYIから地球へ、チュアート・ブランドも、バックミンスター・フラーも、スティーブ・ジョブスも、いずれ世界はこうなるということに気がついていたのだと思う。

さて、ホールデザインをおこなうには、社会や個人の違和感(もやもや)見つめることによって、社会システムを変革し、持続可能な社会へ移行させることが必要だ、もう資本主義的な利潤追求だけを考えている余裕はない。

もっと非営利で、共同体主義的な支え合いが必要なのだ。ではそのもやもやを変革するにはどうすればいいのか。

イギリス デザインカウンシルのシステミックデザイン

システミックデザインのプロセス(マトリックス)にヒントを得て、自分なりのデザインメソッドを考え始めてみた。これはまだ初期のバージョンだし、言葉遣いのヒントはNPOハナラボが考えたものが含まれているので完全なオリジナルではない。が マトリックスにしてみたのはわたしだ。

ミックスパイ・デザインのホールシステムデザイン

もやもやの海にダイブして、暗い海のなかからその裏側にあるなにかを拾い上げ、問いというかたちで言語化し、それをヒントにアイデアを沢山つくりそのなかから試作品を作成して、まわりに共有して意見をもらい、それを実現する運動に巻き込む。そしてまたうまれたもやもやを形にしていく。その円環活動こそが重要なのだ。これは終わりのない旅なのだ。

試作品はプロダクトじゃなくても、プロジェクトでもイベントでも構わない。ただ言葉だけじゃなくってそのプロジェクトやイベントで使うものや、そのシーンが立体物でえがけるといい。幼稚園に戻った気持ちで色画用紙や竹ひごをつかってつくってみるわけだ。

もととなったシステミックデザインについては、海にダイブする写真ではじまる記事に説明したので参考にしてほしい。ちなみにシステミックデザインはイギリスのデザインカウンシルが作った物で、旧版と新版があるので注意されたい。

ぜひ、マトリックスにたいして意見が欲しい、まわりに書いてある言葉なんなのか、どの様に活用すればいいのかはまた別の記事に記載してみよう。

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