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BTS法案でみんなが気になる韓国男子の入隊事情(ドラマ『青春の記録』について#6)

 안녕하세요(アンニョンハセヨ) 南うさぎです。

 今回はドラマ『青春の記録』で、自分の力で夢に挑む主人公たちを悩ませる「兵役義務」という現実問題についてです。

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公式サイト(http://program.tving.com/tvn/recordofyouth/)から。

 主人公サ・へジュン(パク・ボゴム)は俳優としての成功を夢見ながら、入隊の時期を悩んでいます。ドラマでは「宿題」と表現していますが、兵役義務がある韓国の男性なら誰もが抱えることで、まさにその通りだと思います。夢もあり情熱あふれる20代の男性にとって入隊の時期を決めることは決して簡単なことではありません。

 第1話では、なかなか俳優として芽が出ずアルバイト生活を送るサ・ヘジュン本人は夢をあきらめず入隊延期を決めますが、家族はすぐの入隊を勧めています。ところが16話では俳優として基盤を築いたサ・ヘジュンは入隊を決めますが家族は延期を勧めるようになっています。こうした状況を見ると、最短でも1年6ヶ月以上を費やす兵役が男性の人生にとっていかに大事なことなのかがよくわかります。

 韓国男子は18歳から入隊(募集兵の志願者として)が可能になり、一般的には19歳に徴兵検査を受けて20歳から入隊できるようになります。現在、法律で認められている入隊の延期事由は3つあります。

①28歳未満の場合

②4年大学未卒業者

③延期回数5回未満、延期日730日を越えていない場合

 また、延期を希望する妥当な理由としては病気、心身障害、大学や大学院進学予定者などがあります。兵役期間は大きく分けて現役の服務期間(陸軍、海軍、海兵隊、空軍など)が1年6ヶ月〜1年9ヶ月、補充兵役(社会服務要員、産業機能要員、専門研究要員、芸術体育要員、公衆保健医師など)が1年9ヶ月〜3年、代替役(代替服務要員・兵務庁指定の業種での労働)3年となります。また、除隊してからは予備軍として8年、40歳までは民(間)防衛としての義務があります。20代前半で入隊する男性が一般的ですが、芸能人やアスリートなどは活動に支障が出ない時期を見計らい、『青春の記録』の登場人物のように20代後半まで延期することが多いです。韓国の文化を世界に広めるという役目を担うBTSのために法改正が行われ、30歳までの延期が可能になった通称「BTS法案」のニュースはご存じの方も多いと思います。

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ドラマ『青春の記録』からのキャプチャー画面。

 16話で、ウォン・へヒョ(ピョ・ウソク)が幼なじみのサ・ヘジュンとキム・ジヌ(クォン・スヒョン)に海兵隊に入隊すると報告するシーンがありますが、入隊するときに髪を短くします。その姿を見せたくなくて、一人で静かに入隊する人も多いそうです。逆に家族や友人の見送りを受けて入隊する人も多く、置かれている状況や性格などによっていろいろです。ヘヒョは母親には「撮影だ」と偽って一人でそっと出て行きました。実際、海兵隊は軍の中で一番厳しいと言われているので、男性の間では海兵隊志願者はとても評価されます。とくに芸能人が海兵隊に入ると好感度が上がります。『愛の不時着』主演のヒョンビンは海兵隊出身です。

 兵役が義務である男性に対して、韓国女性は兵役にそんなに深い考えはないと思います。ドラマの2話でサ・ヘジュンがアン・ジョンハ(パク・ソダム)に入隊すると話したときも、16話でウォン・へヒョが入隊を伝えたときも、聞く側のアン・ジョンハには大きな反応はありません。

 私も20代の頃、周りの男友だちが兵役に行くと聞いても、男性である以上当然の義務だと思い、彼らの心境を深く考えたことがありませんでした。今考えてみると、20代という青春の真ん中で約2年もの期間を兵隊で過ごすということは相当な心の負担だと思います。韓国では“兵役の義務を終えてから本物の大人になる”という言葉をよく使いますが、それほど韓国男性にとっては「宿題」とされる兵役義務は大きな成長になると思います。


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