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【小説】彼女と僕の距離

一瞬、目が合った。

けれど、そう思ったのは本当に一瞬で、彼女の瞳は僕を捉えていなかった。


彼女は子どもの手を引いて、にこやかに微笑んでいる。
上品そうな紺色のワンピースに、高そうな鞄。
腕には華奢だが高級そうな腕時計。
大きな石がついた指輪。
毛先まで綺麗な髪。
彼女を見上げて笑顔を浮かべる女の子は、
レースが沢山ついたワンピースを着て、
どこかの発表会の帰りか、と思うようないでたちだ。
斜めにかけたバッグには、今流行りのゆるキャラ『クマさん』のキーホルダーがついている。

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