【ドラマ感想】太陽の末裔
栄利 杏さん、ありがとうございます。
「太陽の末裔」、評判がよかったドラマだから外れないとはわかっていても、
想像以上に良かった。
しばらく、ユ・シジンから抜けられなさそう。
あらすじ
これは恋愛ドラマで、軍事ドラマで、さらに医療ドラマでもある。
いろんな角度から楽しめ、心に響き、考えさせられる物語だった。
ユ・シジン(ソン・ジュンギ)は、韓国の軍隊の中でも特殊戦司令部という特殊な任務を請け負う部署に所属する大尉。
休暇中に、窃盗犯を同じ部隊に所属するソ・デヨンと共に捕まえ、窃盗犯が転んだバイクで怪我をして運び込まれた病院で、
医師のカン・モヨンと出会う。
一目で惹かれ合う2人。
けれど、ユ・シジンは特殊な任務により、
たびたびデートの場から突然いなくなる。
それに治療の際にみた、銃槍。
モヨンは彼が特殊で、さらに危険な任務についていることを察する。
そして、その内容も行き先も彼女が知ることはできない。
モヨンは彼と距離を置くことを決める。
一方で、教授になることを目標に日夜仕事に励んできたモヨンだったが、
コネのない彼女は、何度挑戦しても外れる。
悔し涙を飲み込み続けるモヨンだったが、代わりに出演させられたテレビ番組で、人気となり有名となった彼女はVIPを優遇する特別病棟の教授となる。
お金のために医者をするのだ、と割り切っていたモヨンだったが、理事長からの理不尽な誘いを断り、理事長を殴ってしまったことで、
中東の紛争地域に医療奉仕活動を命じられる。
そこで奇しくも、特殊任務からの休暇の意味で派兵されていたユ・シジンと再会する…
日常と非日常、どちらで恋が始まるか
2人は初め、平時の状態で出会う。
韓国という、モヨンにとっての日常の中で。
そこで、ユ・シジンという男性と出会い、素敵だな、と思い
惹かれあいデートを重ねようとするも、
自分の思い通りにいかない存在だと感じ取り、
距離を取ることを選ぶ。
デート中に電話がかかってきて、部隊から呼び出され、
しかも、その仕事内容も行き先も規定上、説明されることは
決してない。
自分がすっぽかされた理由もわからない。
ましてや、かなり危険な任務であることが窺える。
今後、2人の関係に暗雲が立ち込めることを感じ取ったモヨン。
平時なら、2人はこのまま付き合うことはなかったであろう。
きっと聡明な彼女は、自分の人生、生活、キャリア、今後の人生設計など
冷静に判断し、
彼とはここまでだ、と結論を下した。
私はなかなかそういう冷静な判断を下せないけれど、
恋愛関係にあってそういうことは、ままある。
駆け引きとか、計算とか、三十を越えて、しかも彼女のような
自立した職業についていれば尚更…
情熱ばかりで突っ走ってはいられない。
けれど、2人は「非日常」の世界で出逢い直してしまう。
「ウルク」という紛争地域で。
医療も発展しておらず、電波も不安定。
政情も安定していない。
裏社会の人間が横行し、子どもたちは常に
命の危険にさらされている。
「非日常」で出会うと、普段以上にアドレナリンが出て、
太陽のもと、余計に格好良く見えてしまう。
旅先で出会って恋に落ちたけれど、日常に帰って出逢い直したら、
なんか違う…はあるあるだけれど、
日常ですでに出逢い、惹かれあっていた2人。
非日常で、危険と隣り合わせの毎日を過ごして、
恋に落ちないわけがない。
そして、次から次へと2人は危険に陥ってしまう。
災害、感染病、拉致…
幾多の危険を乗り越えるたびに2人の絆は深まっていく。
日常で出会って、袂を分かってから、非日常で出逢い直す…というところが
実によくできていると思う。
私だったら、日常で突っ走って、その後非日常で耐えられなくなりそうなものだなと想像しながら、
カン・モヨンのような強い女性は、
日常で冷静に判断を下し、非日常でもブレーキをかけ続ける。
非日常というアクセルにも負けず、
全て受け入れると決意をしたら、
彼の全てを受け入れる。
なかなかできるものじゃないなあと感心する。
軍人、ユ・シジンの魅力
すぐにおちゃらけるし、冗談を言うし、カン・モヨンに一目惚れするやすぐ
言い寄ってくるし…
この、ソン・ジュンギ、軽くない?
と、始めは思う。
でも、常に命の危険と隣り合わせの彼だからこそ、
そのユーモアは必要不可欠なもの。
冗談を言いながらも、常に現場で的確な判断を下し、
周囲にいる人間の気持ちを和らげる。
体育会系のノリだけれど、お顔が美しいから暑苦しくない。
何度危険な目にあっても必ず助けてくれる。
待て待て、そんな人いたら惚れてしまう。間違いなく。
普通なら、お相手の有事の場面なんて見ることはほぼない。
仕事仲間で、的確にピンチを処理してくれる…ことはあっても、
命を救ってもらうことは、そう何度もあるわけではない。
あっては困る。
ドラマだからこそ…でもあり、彼女が医師で
同じ場所に派遣される羽目になったからこそ…
あのまま韓国で別れるはずだったのに、
数々の非常事態を共に乗り越えることで、
彼の仕事を理解し、そしてもう、なかったことにはできないほどに
彼の魅力の虜になってしまう。
ソン・ヘギョ演じるカン・モヨン
ソン・ヘギョといえば、「秋の童話」に始まり、思慮深くちょっとどこか影があって憂いのある役どころが多い印象。
このカン・モヨンはもちろん医師だから冷静な判断力、深い知性はあるものの、
底抜けに明るく、どこか間が抜けていて、そして現実的な分、
俗物である自分を隠さない。
コネによって、自分のキャリアを邪魔され続けた彼女は
「私はお金のために医療に従事する」と割り切るようになった。
ユ・シジンと再会し「私は昔とは違う」と言う。
けれど、いざという時には人命を何より優先させる、男前な医師なのだ。
咄嗟の判断もでき、思い切りもある。
ユ・シジンのユーモアに、ユーモアで切り返す頭のキレ。
どこか体育会系の女子で、開けっ広げ。
下ネタも言っちゃうような明るさ。
軍隊の朝のトレーニングに看護師と共に、癒しを感じる。
常に命の危険と隣り合わせのユ・シジンは彼女のその明るさに
癒され、元気をもらい、心が救われる。
軍人と、医師。
向かっている方角が違うようで、同じ意思のもと、
人命を救う2人。
どちらも私は垣間見たことのない世界だけれど、
尊敬の念を拭えない。
脇を固める、恋愛模様も見どころ
ユ・シジンと同じ部隊であり、親友でもあるソ・デヨン上士。
彼同じ軍人であり医師のユン・ミョンジュと恋仲だったが、父親が司令官であるところの上流階級である彼女と自分は出世の望めない高卒であることから、父親からの反対を受け、身を引くことをきめ、彼女をずっと遠ざけていた。
しかし、ユン・ミョンジュはどこまでも追いかける。
遠く、ウルクまで追いかけてくるユン・ミョンジュン。
ソ・デヨンは見た目も性格も男らしい感じ。
「女みたいな顔だから嫌」とユ・シジンとの縁談を断ったユン・ミョンジュン。
それがきっかけで出会うこととなった三人。
ソ・デヨンとユ・シジンの男同士の掛け合いも面白いし、
2対2になった時の攻防戦も面白い。
非常事態の切羽詰まった状況の合間に挟まれる、
脇役の方含め、コミカルなエピソードにすごくなごまされる。
モヨンの先輩医師のソン・サンヒョンとベテラン看護師ハ・ジャヨンは幼い頃からの腐れ縁のような関係。
この2人がまた、物語に深みを増してくれる。
悩める若い人たちを、時に厳しく、時に優しく、ユーモアも持って導いてくれ、
そっと見守ってくれている。
安心して見ていられながら、ちょっとときめかせてくれる恋愛模様を
見せてくれる。
また、恋愛模様ではないけれど、
通常の時の医療と違う現場に置かれた時の医者としての
対応を迫られた時の、若手医師の苦悩なども描かれていて、
医療ドラマとしてもすごく見どころの多い内容だった。
だからドラマっていい
見ている間ずーっとニヤニヤが止まらなかった。
はたから見たら怪しいことこの上ない。
ハラハラ、ドキドキも止まらないし、涙も止まらない。
料理をしながら見ていたら、泣けてきて、料理が進まない。
その日のお味噌汁は薄かった。
非日常のドキドキも日常のときめきも、
カン・モヨンがユ・シジンに惚れるのと同じ数だけ私も同じように
ときめいて過ごしたこの数日。
細かい描写と共に、その世界にどっぷりとはまりこめるから
ドラマって好き。
しかも韓国ドラマは映画並みのスケールでドラマを作ってくれるから、
すごい。
お金のかけ方が映画並み。
で、時間の掛け方は映画以上。
映画は2時間で終わってしまうけれど、
ドラマは数日にわたって、ユ・シジンを魅せてくれる。
私もウルクの太陽の下に同じように数日過ごした気分。
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