【覚書】あなたはわたしのたいせつなひと
先日、夫の仕事仲間が、職場でパニックに陥って大変だったらしい。
夫の職場は、複数の業種の人、複数の会社の人が現場に
居合わせており、親しい人もいれば、その時だけ顔を合わせる人もいる。
その方と夫は二十代の頃から一緒に仕事をしていて、
業種は違うため、プライベートも一緒!なんて仲良しではないが、
仕事仲間という一線を置きつつも、自宅にも何度か家族連れで
来られたことのある方で、
パニックになった時にやはり夫が真っ先に呼ばれたらしい。
私の夫も精神科にかかって久しい。
息子が生まれた頃だったからもう十年以上だ。
そもそも、それは再発だった。
以来、2、3回発作がおきたこともあるし、
夫婦喧嘩の言い訳に使われたこともあり、やりきれなさを感じたこともある。
本人が一番辛いとは思うが、寄り添うこっちもなんだかなあと
思うこともあるのが正直なところだ。
精神的なこと、というのは本人にしか分からず、
また傍目にはどんなに辛いか分からない、というのが
大変なところではある。
実際のところ、どんなふうに苦しくて、どんなふうに感じているのか
私が一緒に感じてあげることはできない。
頭が痛い、お腹が痛い、熱が出た、というのは
私も経験したことがあれど、
精神的なことは幸いなことに、今のところご縁がなく生きている。
大学時代からずっと月1で会う仲良しの友人がいる。
彼女は、自分でも「メンタルが弱い」と大学時代から公言していて、
よく泣きながら電話をしてきていた。
その度に、私はつい笑い飛ばしてしまったいたのだが、
ありがたいことに、彼女は私のそんな対応を気に入ってくれているようで、
今も仲良くしてくれている。
彼女は妊娠中に、鬱のようになり、ちょうど遊びにいった時も
泣いていた。
車を運転するようになったが、車をさっきぶつけてしまったかもしれない、と
さめざめと泣いていた。
が、「大丈夫大丈夫、車って案外丈夫やで。見た目何ともないんやろ?
なでといたらええねん。」とか答えたらしい。
しかも、それを言った私は忘れている。
一体なんだって彼女はそんな対応の私と、今も仲良くしてくれるのか
私にも分からない。
大学時代、就職活動の時期に友人がアイドルのコンサートに行き、
終わった後に私に電話をかけてきて、
「あの人らは私と同じ年やのに、もうあんなステージで活躍して、私は就職もまだ決まらんのに…」とさめざめと泣いていたこともあったっけ。
その時も「いやいや、向こうアイドルやん!私らとは一緒にしたらあかんやろ!」みたいな感じで笑い飛ばしてしまったが、彼女は多分当時も真剣に悩んでいた。
「広海ちゃんは適当でいいよな。私、広海ちゃんと同じマンションに住みたいわ。
何かあったら、『大丈夫』って言うてほしい。」
とまで言ってくれた。
ありがたい。ありがたい。
「でもな、知ってる?その『大丈夫』に根拠はないで」というと
「知ってる。」と笑ってくれた。
夫は、先週、その仕事仲間のお宅へお見舞いに行っていた。
夫も精神的な病院に通っているので、
分かり合えることはたくさんあるだろう。
ご家族も辛いだろうな、と思う。
家族としてはどうしてあげることもできないので、
私なんかは、夫が鬱々としている時は、近寄らず、
何か深刻そうにしている時は深刻そうに相槌を打ち、
時々、深刻になりすぎないように相槌を打つ、を心がけている。
それも全て功を奏するわけではなく、何度かに1回は失敗もする。
放置しすぎることもあるし、相槌を間違えることもある。
こちらの意図とは違う反応が返ってくることも多々ある。
友人などはたまに会うから、私みたいな反応も面白がってくれるのかもしれない。
毎日一緒にいると、こっちもイライラすることがあり、
常に正しく求められる反応を返せるわけではない。
「辛い」と言ってはお酒にすぐ逃げることにもイライラするし、
こっちの心配をわかってくれやしないとヤキモキすることもある。
先日などは、北海道へ出張へ行き、翌日が休みだったので、
そのままもう1泊したいと連絡がきた。
「俺の人生なんてさーよく考えたらずーっとあくせく働いてさー
旅行とか楽しんだことなかったなーって思ってさ」なんて言っている。
子どもたちが乳飲児の頃から割と自由に時間を使っていたように思うが?
お酒飲んで朝まで、いや翌日まで帰らないことも多々ありましたが?
首の座らない赤ん坊の面倒見てる私を置いて、お仕事仲間と温泉旅行へ行ってましたよね?
思うところはたくさんある。
「一人で旅先を楽しんだことなかったなーーって思ってさ。」とかしみじみ言っちゃっている。
しかし、相手は還暦間近の人生に悩んでいるお年頃である。
そして、もう子どもたちも大きい。
パパがいなくてもへのカッパである。
あんまりカンカン起こりすぎて、出奔なんぞされたら、それこそかなわん。
このまま山奥に逃げられるくらいなら、一泊延ばせばいい。
「そうだねえ。ゆっくりしてきたら〜?でも、お酒を飲みすぎたらあかんよ〜」と
だけ伝えて送り出すことに。
その後、数時間ごとに、北海道の時計台やら、ラーメン屋の写真が送られてくるので、とりあえず生存確認はできている、として、それらに穏やかに返信を返す。
夜に近づくにつれ、またお酒を飲みだしたのか、
メールが来なくなり、翌日もお昼過ぎても連絡が来ないのでどうしたものか、と
こっちはヤキモキしているのだが、
そういうのは伝わらないらしい。
帰ってきても、そこはグッと飲み込んだ私。
誰か褒めてほしい。
夫が鬱の皆さん。
自分で自分褒めて互いに労わり合おうではありませんか。
お疲れナマです。(ガッキー風)
※あれ?最初タイトルを考えた時は、夫や友人へのファイト!的な内容にするつもりだったのに…愚痴になっちゃった。夫のことを書くといつも愚痴になっちゃう。
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