見出し画像

【覚書】生まれ変わるのか夫は

夫が還暦を迎えた。
それはもう3週間ほど前の話である。
そう、息子が修学旅行から帰ってくる日で、私は空港まで息子を迎えに行くし、
3泊ぶりに息子に会えるし、と朝からソワソワソワソワしている。

でも、ちゃんとお祝いはした。
しないと拗ねるからね。
数日前にしょうもないことでまた喧嘩し、
「誕生日は祝ってもらわなくて大丈夫です。子供達の前では
急に仕事が入ったとかにしてください」などとLINEをしてきていた夫。
いや、そんなん言う前になんで私が怒ってるか聞かんかい。
そこ、改善せんかい。
と言ったものの、わかっているんだかわかっていないんだか。

「還暦」ということで、周りの方からもお祝いをいただいたりと、
本当にあなた、ちゃんと周りに感謝しなさいよ、と小言を言いつつ、
当日を迎えた。
仕事関係の大先輩に、お祝いをいただいた上で
「『還暦』は生まれ変わるんだよ(夫)くん、って言われた」と
ニコニコ言っていたのだが、
私は誕生日当日に手紙で
「今日は昨日の続きです。明日は今日の続きです。
一日一日を大切にし、目の前のことを大切にして、
健康に気をつけてこどもたちの良きお父さんでいてください」と綴った。
生まれ変わるのも大切だが、これまでの所業が残念ながらなくなるわけではないのだ。急に痩せるわけでも、急に体が健康になるわけでもない。
君のこれまでの不摂生をきちんと反省して前に進んでほしい。
とのことで、全身赤のジャージをプレゼントした。
上下赤のジャージに赤の上着を着て、どうぞ運動してください。

喧嘩する前に、
「誕生日プレゼントはとにかく赤いものしか買わないから。」と宣言していた私。
「じゃあ、赤い腕時計で」と言ってきた。
一瞬、買い物をしながら還暦だし奮発するべきか…?という考えが頭を
よぎるが、
これまでの結婚生活で私は知っているのだ。
特別なことをして、後で裏切られた時の
喪失感が半端ないことを。
特別な時ほど、日々を大切にするんだ、私。
今日は昨日の続き。今日は明日の続き。
これは自分自身に向けた言葉である。
というか、単純に奮発するほどの持ち合わせもないのだが。

朝から息子に三泊ぶりに会えるからとソワソワソワしていたが、
午前中のうちに買い物へも行き、ケーキも探し歩いておいた。
夕食は「ステーキ」と言っていたが、前日に豚でステーキをしたため、
味がかぶるから、と夫の好物の牛肉のしぐれ煮に変更。
「安上がりやろ〜」とニヤニヤしていた。
異論はあるが、黙っておく。

息子が修学旅行からパパの誕生日当日に帰ってくるので、
「まさかパパには誕生日プレゼント兼お土産があるのでは…」と
疑っていたが、何も言わずともそんなものはなく。
「おめでとう」とひとこと。
思春期男子の親への誕生日プレゼントなんてそんなものである。
娘は、前々日から画用紙に龍(夫の生まれ年)やら「福」やら「富士山」などの
縁起のいいものをたくさん書いて、
プレゼントにしていた。
力作である。

還暦にもなればあとは余生として…なんていう人生も素晴らしいだろうが、
夫にはまだ小さな子供が二人もいるので、まだまだ人生頑張っていかねばなるまい。
盛大に祝ってあげたい気持ちもありつつ、
日々を少しずつ積み上げていかなければ…と思う妻ごころなのである。


いいなと思ったら応援しよう!

朝月広海
よろしければサポートお願いします!サポートいただいたお金は、新刊購入に当てたいと思います。それでまたこちらに感想を書きたいです。よろしくお願いします。