地域貢献を考えた先に見えてきた新規事業のかたち -StandOut KYOTOの新設にあたって-/株式会社ホリゾン
製本機械メーカーの株式会社ホリゾンでは,京都本社(南区久世)の敷地内に,4面を壁で囲まれたコートの中で,小さいゴムボールを交互に打ち合うスポーツである「スカッシュ」を楽しめる施設「StandOut KYOTO」を,この度オープンします。本施設は「ワールドマスターズゲームズ(WMG)関西」の会場にもなる予定となっており,注目を集めています。
今回は,株式会社ホリゾンの堀さん,板楠さんに,スカッシュ施設の建設の経緯を伺いました。
製本機メーカーがスカッシュコートをつくる?
製本関連機器のメーカーで,世界でもトップクラスのシェアを誇る株式会社ホリゾン。1946年に電気器具の試作・修理を手掛ける会社として創業し,1964年に現在の南区久世に本社を移しました。ホリゾン製品の導入国はアメリカ,ドイツをはじめ世界100カ国にものぼり,「自社開発」「自社製造」から「販売」まで,グループで完結する一貫生産体制を構築し,経済産業省が選定する「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」にも選ばれています。
そんな「製本機」の企業が,どうしてスカッシュコートをつくることになったのか。始まりは,滋賀県に工場機能を集約させたことにより,京都本社の敷地で“新しいチャレンジ”をしようと考えたことからでした。
堀さんは学生時代にスカッシュの選手として活躍し,現在も趣味として続けられています。スカッシュをもっと多くの人たちに楽しんでもらえないかという想いも持っていましたが,ワールドマスターズゲームズ関西の開催会場であった京都市内のスカッシュコートが閉鎖されることに。その代替会場をどうするか,ということが課題になっていました。
そうした中,関西でのスカッシュ競技の発展に取り組んでいた有志たちと話をする中で,新たにスカッシュコートをつくる案があがりました。
その話が,京都本社の敷地での“新しいチャレンジ”につながり,スカッシュコートを柱にした取組にしようという計画が生まれました。
製本機というニッチな産業を手がける同社にとって,一般的には馴染みの薄いスポーツでもあるスカッシュを,競技として,また文化として育てていくことに親和性がありましたが,もちろん,大切な本社敷地の活用なので,社内でも様々な意見がありました。しかしその中で,スカッシュコートをつくること決めたのは,地域の方々ともっと何かをできたらという想いがあったからです。同社では,2021年に企業理念をリニューアルし,製本機の企業としてだけではなく新しい時代に向けた会社としての一歩を歩み始めたことも背景にありました。
市民同士のつながりづくり,社員同士のつながりづくり
同施設に多くの方が足を運んでもらうために,さらに様々なプランを新たな企業理念に添いながら練り,地域の方々も社員もワクワクできる空間づくりになるよう検討しました。
具体的には,メインのスカッシュコートに加えて,BBQやキャンプアイテムを使って楽しめるアウトドアエリアや,製本やシルクスクリーンの体験ができるものづくりエリアも併設予定。
利用する市民の方々の交流の場にしたいという想いがあり,様々なコンテンツや自由に使ってもらえるようなスペースも用意する予定です。
新たな挑戦により,社員が変わるきっかけにも
(広報室の板楠さん)
広報として多くの社員と話す機会がありますが,製本機の製造のみを行っていたときにはなかった,自分のアイデアを活かせる機会が増えていると感じています。例えば,キャンプアイテムの事業をはじめると,今まであまり自分の意見を話すことのなかった社員が自分の考えをいきいきとプレゼンする機会が生まれたり,キャンプアイテムの開発を通して社内の新たな交流が生まれたりしています。
さらに,「社員が仕事を楽しむ」という輪が広がっていて,それが家族に仕事のことを話すきっかけにもなっているようです。製本機で世界トップクラスのシェアを誇っていてもどのような仕事か伝えにくかったのですが,少しずつ話題にしやすくなったそうです。今回の「StandOut KYOTO」の事業についても,社員やその家族が実際に遊びに来ることもできるようになるので,さらに良い効果が生まれていくのではと期待しています。
5月7,8日にオープニングイベント開催!
2022年5月9日の「StandOut KYOTO」オープンに先立ち,一般向けのオープニングイベントを開催!ぜひ,この機会にスカッシュに触れるとともに,さまざまなコンテンツを体験してみませんか?
南区情報ステーション「みなみなみなみオンライン」
取材/文 まちとしごと総合研究所