クリスマスとおばあちゃんと私と
住宅街にあった私のお家。
おばあちゃんは私と家の中でも外でもよく遊んでくれていた。
そんな私とおばあちゃんとの間にはクリスマスの時期によくやっていた恒例行事のようなものがあった。
夜になって空気がひんやりと気持ちよく、太陽も人もいなくなった時間に私たちは夜のお散歩に出かける。
そのお散歩は、お散歩なのに歩くことを目的としているのではなく、他の人の家を見ることを目的としていた。
もっと誰にも気づかれないようにみんなが寝静まった真夜中に煙突から家へこっそりと入り、プレゼントを置いていかなければならないのに、ベランダにハシゴをかけ侵入しようとしているピカピカ光ってやけに目立つサンタや、オーナメント、イルミネーションで彩られたお庭に生える木々、不恰好だけれどかわいい雪だるま。
街中が浮かれていて、そのお家の個性が出ている住宅街イルミネーションを夜な夜なおばあちゃんと
「どのお家が一番好きだった?」
と話し散歩しながら見るのが好きだった。
そして、甘いものが好きな私は誕生日でもないのにケーキを食べられるクリスマスが大好きで、必ず砂糖の塊のサンタが乗っているケーキを選んだ。
おばあちゃんはもう亡くなってしまっているので、この思い出は私しか知らないけれど、思い出の良いところは一人でも楽しめるところだと思う。けれど、この思い出をまた誰かとシェアできる、引き継ぎができるのならば、それもまた暖かい気持ちになると思う。
この先、誰かと一緒に住むことになったら私もベランダからサンタを吊り下げてみたい。
みなみ まる