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ポーランド旅 暗闇は心地よい


はじまり


いつも旅に出るのは衝動とタイミング。プラハから少し離れた方が良い気が日に日に溜まっていたところ、ワルシャワに住む友人らに「おいでおいで」言われ、良い感じのバスチケットを見つけ、次の日にはポーランドにやってきた。「おいでおいで」言っていた友達も、驚いていた。一人で働くのは孤独だが、こうして自由に自分の次の日を決められるのは、手放せない。
 
さて、ワルシャワはプラハからバスで10時間くらい。早いのに乗ると8時間くらい。朝6時のバスに乗り、ひたすら窓から景色を眺めていた。暗闇を走るドライブが好きだ。暗いと、何をしていなくても落ち着いていられる。逆に昼は明るすぎて、苦手。友達がプラハに住んでいた頃の荷物をリュックに詰め込み出発。中身はタンザニアのmiddle of nowhereで買ったらしいカーペットとティーポット。
 
恋人は一緒に5時半に起きてくれて、家庭菜園で育てた林檎と人参のスナックセットを持たせてくれた。いびつな人参と、甘酸っぱい林檎。大きなリュックを背負い、バランスを崩しながら歩く私を彼は「冒険に出るテディベアみたいだ」と言った。That’s my spirit. パディントンが好きだ。ノートブックにはシロクマの絵が描かれているし、旅のお供は「雪の練習生」。ヨタヨタしながら旅に出る。
 

秋の訪れ


バスの中で映画の編集なんかしようと思っていたが、10時間ひたすら窓の外を眺め、人参をポリポリ食べ、ぽけーっといつもと同じようなことを考え、よだれを垂らして寝ていたら、あっという間に時間は過ぎていく。窓の外からはポーランド語の看板が見える。慣れない文字に、少しびっくりする頭。金髪の女性政治家の顔が大きく張り出されている。髪の毛の生え際は茶色っぽい。予定通り、ワルシャワのバスターミナルに到着する。
 
どこの国に行っても、バスターミナルってなんだか落ち着かない。ここから逃げ出したい、逃げ出さなきゃいけないような、ザワザワしていてグレーな雰囲気が漂っている。ワルシャワのバスターミナルも、鳩ばかり元気。さて、プラハから680キロしか離れていないのに、人が全然違う。表情、話し方、着ているもの。こういう人たちを見たことはあるけど、その人たちが集団でいるのは見たことがない。シャンタルアケルマンのfrom the eastを思い出す。使っているアイテムは、どの世界にもありそうだけど、その組み合わせは、どこでも見られない。
 


バスターミナルのベンチで友人を待っていたら、隣に座っていた青年が荷物を置くスペースを作ってくれた。こういうことは、チェコではあまりない。数ヶ月ぶりに会う友人が、迎えにきてくれた。当たり前のように会って、ハグして、街へ向かうバスに乗り込む。自然な旅は心地が良い。

夜のワルシャワ

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