“Think Again” by Adam Grant (50)

“Think Again” by Adam Grant (50)
リチャード・ファインマンが皮肉を込めて言ったように、「あなたは自分自身を騙してはいけない、そして自分自身を一番簡単に騙すのはあなただ。」

 私達の内なる独裁者は私たちが心の奥に秘めている意見が脅かされる場合、主導権を取ることを好む。
学生たちの世界観を攻撃したハーバードの研究では、最も強い否定的な反応を示した参加者は「ローフル」とコードネームを付けられた学生だった。
彼は肉体労働者の出で普通以上に早熟で、16歳で大学に入り、17歳で研究に参加した。
彼の信念の一つはテクノロジーは文明に害を及ぼすというもので、彼は自分の見解が疑問視されると敵意を抱いた。
ローフルは学者への道を進み続け、彼の代表作を執筆した時、彼が自分の信念を変えなかったことは明らかだった。
テクノロジーに関する彼の懸念は強まる一方だった。

  産業革命とその結果は人類にとって災害になってしまっている。
  それらは「先進」国に住む私たちの平均寿命を大幅に伸ばしたが、社会
  を不安定なものにし、人生を満たされないものにし、人類を侮辱にさら
  して いる、肉体的にも苦痛を与え、同時に自然界にも深刻な被害を与
  えてきた。

 この種の確信は、脅威に対するよくある反応である。
神経科学者は、私たちの中心にある信念が異議申し立てされた場合、偏桃体という原始的な「トカゲの脳」が引き金となり、冷静な合理性を素通りし、熱い闘争・逃走反応を活性化させる。
怒りと恐怖があらわになる :それはまるで私たちが心にパンチを受けたような感じだ。
全体主義的なエゴは心理的な鎧を着て救援に来る。
私たちは蒙昧な人を改心させたり非難したりする説教師や検察官になる。
ジャーナリストのエリザベス・コルバートは「誰か他人に異議を唱えられると、私たちは他人の弱点を指摘するのが非常に上手であるが、私たちがそれに目をつぶるという立場に留まっているのは、私たち自身の良くとる態度である。」と書いている。

 私にはこの事は奇妙なことだとは分かっている、何故なら私たちは生まれながらに自分たちの意見を持っているわけではないのだから。
私たちの身長や元々の知性とは異なり、私たちは私たちが真実だと信じるものを完全に制御している。
私たちは私たちの見方を選び、私たちは好きな時にいつでも考え直すことを選ぶことができる。