巨人の肩の上で


「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです。」
これはアイザック・ニュートンが書簡に書いた言葉です。
ウンベルト・エーコの世界文明講義の中で始めてこの言い回しを読んだ時にはびっくりしたが、西欧の教養人なら一般的な比喩らしく、現代人が物事を遠くまで見通せるのは、古代から蓄積されてきた人類の知識や知恵の膨大な蓄積の上に立っているからであるという意味を表現したものだそうだ。
例えば、小説で言えば、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」はウィラ・キャザーの「ポールの場合」を下敷きにしているし、絵画で言えばエドゥアール・マネの「オランピア」はティツィアーノ・ヴェチェッリオの「田園の奏楽」の構図の上に載っている。
それらのことをよく知れば知るほど、古典を読まなければならないと思う。
ますます、私の読書傾向は古い小説に向かいます。