“Heart of Darkness” by Joseph Conrad (33)
“Heart of Darkness” by Joseph Conrad (33)
https://www.gutenberg.org/files/219/219-h/219-h.htm
彼は俺にとってはただの言葉だったのだ。
俺はお前たち同様その名前の男に会ってもいなかった。
お前たちは彼を理解できるか?
お前たちは話しについて来ているか?
何か分かっているのか?
それはまるで、俺が無駄な努力をしながら、夢を語っている様なものだ。
なぜなら、何物も、夢に関係するものは不条理、驚き、困惑の混合物が抵抗しようともがいている揺らめきの中で、正に夢の本質である捉え難い感覚、夢の感覚を伝えることはできないからだ。
彼はしばらく無言だった。
「・・・いや、それは不可能だ、故人の存在の画期的な出来事の生命感覚を伝える事は不可能なのだ。
それはその真実を作り、意味を作り、その微妙な本質を貫く。
それは不可能だ。
俺たちは夢を見るように、一人で生きている。」
彼はまた内省するように言葉を切り、それから付け加えた。
「勿論、この中で、お前たちは俺が当時見る事ができたもの以上の物を見る。
お前たちが知っている俺を見るのだ。」
真っ暗になっていたので、聞いている人々はお互いの顔もほとんど見えなかった。
彼はすでに長い間離れて座っていたので、彼は我々には声しか聞こえなかった。
誰も声を発しなかった。
他の人たちは眠っていたのかもしれないが、私は目を覚ましていた。
私は、その河の重たい夜の空気の中で人間の口からではなくそれ自身が形作るこの物語によって喚起される微かな居心地の悪さの手がかりを私に与えるだろう言葉に気を配って聞いていたのだ。
「・・・そうだ、俺は彼にやりたいようにさせ、・・・」と、マーローは再び話し始めた。
「そして、俺の後ろに有る力について彼に好きな様に考えさせた。
そうしたんだ!
そして俺の後ろには何もなかった!
そこにはあの、俺が寄りかかっている、難破した古いズタズタになった蒸気船以外何もなかった。