The Best American Short Stories 2022(160)
The Best American Short Stories 2022(160)
The Souvenir Museum(11) by Elizabeth McCracken from Harper’s
象牙で彫った象や亀の甲羅に彫られた亀に比べれば良いんだか悪いんだか?
「僕は耳があると思っていた、」と、レオが言った。「敵の耳が」
「何の敵?」
「僕にはわからないよ、」と、レオは寂し気に言った。
「その敵は死んじゃったんだから。」
「耳じゃないわ、」と、ヨハンナは思い切り陽気な声で言った。
彼女はガラスケースを指し示した。
「心配することは何もないわ。」
「心配してなかったよ、」と彼は言った。
しかしそうではなかった、心配は彼の心の中にあったのだった、かれには、人間が切断されたもの、という見てはならないものを見るのではないかという恐怖があったのだった。
その感覚は衝撃的で貴重なものだった。
「とにかく、」と、彼女が言った。
「かれらはそこでふりをしているの?」と、彼が聞いた。
「どこで?彼らが何のふりを?」
「ヴァイキング村でだよ。盛装して、彼らはヴァイキングだって言う。」
「ああ、分からないわ。なぜ?」
「ルネッサンス・フェアー、」と、彼は暗い声で言った。
彼らはレオが4歳の時にルネッサンス・フェアーに行った事があった。
彼は子供用の大きさのケージでできた鉄製の迷路で迷子になり泣き始めたことがあった。
彼女はその涙に気が付く前に撮った写真を撮っていた。
そして、死刑執行人の服を着た男がプラスティックの斧で、彼に外に出るように出口を指示しなければならなかった。
レオはヨハンナが間違った判断をした証拠として、その事をたびたび持ち出したがった。
彼は歴史は好きだった。
彼は素晴らしい服を着た大人が好きではなかったのだった。
彼女は「それは素晴らしいでしょうね」と、言った。
「それってお母さんが、レゴランドについても言った事だよ。」