ディナーは「いつものお店」で
我が家の愛娘・ふーちゃん。みんなの人気者・ふーちゃん。
……が、生まれる前のお話です。夫と私がまだ二人だけで生活していた頃から、お姫様(時々怪獣)を共に育てる「今」まで繋がる、他愛もないお話……
2017年◀◀早戻し◀◀
出会って10ヶ月で籍を入れた私達は、結婚当初、それはもうラブラブしていました。最初の数カ月は別居の週末婚でしたから、小さなアパートで同居を初めて以来、毎日一緒にいられることがたまらなく嬉しかったのです。
その嬉しさがどれほどかというと、夏だろうが暑かろうがベッタリ腕を組んで、オレンジ色の夕焼けを河原に座って眺めながら、頭上にハートを浮かべて空をピンク色に染める程度でしょうか……スミマセンちょっと妄想入りました。(いま思えば懐かしい限りです。そのハートはいま全てふーちゃんに向かっていますから)
話を戻しますね。
そんな私達はよく、週末の夜「あるお店」を訪れていました。
ここで、いつかの金曜日の南葦家の様子をご紹介しましょう。
🌃
それは、お互いに仕事を終えて帰宅した20時頃でしょうか。
「きょう行く?」
夫がエアーでクイッとグラスを傾ける仕草をします。
「行こっか」
私は即答です。財布とスマホだけが入る小さな肩掛け鞄を持って、私達二人は大好きな「あのお店」へ向かいます。
歩いて5分ほどの距離ですが、アパートの目の前は暗い細道です。どちらからということもなく、自然と手を繋ぎます。二人で歩けば怖くない!
深い緑に囲まれた公園を抜ける頃には、途切れ途切れにスパイシーな香りが漂ってきます。さあ、小さくお店の看板が見えてきました。でもそれは交差点の向こう側。待ち遠しいけど、赤信号ではちゃんと止まりましょう。ウズウズしますが、我慢です。さあ、信号が青に変わりましたよ。横断歩道を渡れば……
お待ちかね、私達二人の「いつものお店」です。
インド・ネパール料理店――この記事ではM店と呼びますね――簡単に言えば本格カレーの店です。最近はカレー専門店なんて珍しくなくなってきたけれど、M店は特に美味しくて大好きです。壁にかけられた無数のインド仏教タペストリーや世界最高峰エベレスト山のポスターで既に異国情緒は十分ですが、BGMも良いんです。テレビでエンドレス再生されているインド音楽のMVはいつでもリズミカル。おかげで私達はすっかり平日の喧騒を忘れてリラックスできます。
※良かったら、ここから先はインド音楽を再生しながらお読みください。アリジット・シン&ニーティ・モハンで、「Titli Trippin」です。
そうそう、リラックスといえば、店員さん達が醸し出す安心感も大きいですね。M店は家族経営らしくて、厨房に旦那さん+2,3人、レジに奥さん+たまに娘さんというのが決まった顔触れ。特に奥さんとはすっかり顔馴染みで、店が空いていれば世間話も弾みます。
さて、その奥さんが「オ好キナ席ニドウゾー」と言うので、そろそろ席につきましょう。メニューはこんな感じです。(店名が入っている部分にはスタンプを押しました。ご了承ください)
私達の注文は大抵、カレーセット(ライスって書いてあるけどナンもいけます)とインドorネパールビール、おつまみにフライドポテトとパパド(豆を薄くのばして香ばしく焼いた煎餅風のもの)と決まっています。特にパパドは、パリッパリのカリッカリで、ちょっぴり塩気があるのでビールとの相性抜群!「サービスシマス」とお通しでもらえるくらい定番の一品です。
カレーはその日の気分で選びます。この夜、夫は中辛のチキンマサラ、私は辛さ普通のベイガンキーマ(※)を頼みました。ちなみに、辛さ普通を選んでもピリッと辛いマトン(※)や緑色が印象的なサグチキン(※)、野菜オンリーのベジタブルもオススメ。(ベイガン=ナス、マトン=ヒツジ肉、サグ=ホウレンソウ)
奥さんがお冷やのグラスを持ってきたら早速注文です。私達が注文を告げると、奥さんは慣れた手つきでサッとメモをとっていきます。職人技。厨房に戻る後ろ姿には頼もしささえ感じます。旦那さんに注文を伝えるネパール語も週末に特別感を与えてくれます。
ほんのりレモン味のお冷やを飲んでいるうちに、あら早い、パパドとビールが届きます。
素早くて嬉しいですね。
さあ乾杯……の前にビール紹介を忘れちゃいけません。私が好きな銘柄は、キングフィッシャーとエベレスト。
ネパールアイスもオススメ!
どれも薄口だけど、暑い夜にグビッと飲むには最適の美味しさ。週末を堪能するにはもってこいです。
ちなみにM店のビールは瓶(330ml)で届きます。最初の一杯は「どうぞどうぞ」と相手のグラスに注ぐけど、あとは各自手酌で。週末だもの、自由に、楽〜に飲みましょう!
「1週間お疲れ様!」
グビグビ、ゴクッ、プハーッ! 最高ー!
🍻
次に届くのがサラダ。多分スーパーのサラダパックみたいなチープなやつなんだけど、シェフお手製のドレッシングのおかげか、バクバク食べてしまいます。
「ただの野菜、うまー!」
って言うのが私の癖で、もう止まらぬ勢い。(いま思うと、ただのビタミン不足だったのかも。当時は激務だったので……)
あ、サラダを食べ終わる頃にとうとう来ますよカレーとナン!
スパイシーな香りが食欲を唆ります。ナンの小麦とバターの焼けた匂いもたまりません。熱々のうちに食べたいんだけど、悲しいかな猫舌の私はフーフー冷まさないと食べられないのです……ちょこっと悔しい。
🍛
さて、ビールをチビチビしている間に、料理も程よい温度になったでしょう。メインディッシュの時間です。
ナンを千切って、
カレーを掬い、
バクっと大きくひとかじり。
ナンのサクフワ感の後、ベイガンと挽き肉の旨味がジュワーッと染み渡ります。
この一口で、1週間の疲労なんて、どこかへ吹き飛んでしまいました。
夫のチキンマサラもちょっといただきます。シェア、便利。
うーん、スパイシー!
大好きなM店。今日のディナーも最高です!
🍟
忘れた頃にポテトが届いたりします。
そのままで良し、ケチャップをつけても良し。オススメの食べ方はカレーディップです。
🍻
👛
ちなみに会計は、2人で3,000円。
【内訳】
カレーナンセット 850円×2
ビール 500円×2
フライドポテト 300円
パパド サービス
たまにチーズナンやガーリックナンを1枚追加するけど、それでも4,000円は越えません。
ディナーに特別感を出したいけどお財布が心配というそこのあなた! さあ、インド・ネパールカレーのお店に行くのです…
🇮🇳
🇳🇵
【お詫び】写真に違和感を覚えた方、いらっしゃいますよね……そう、お店じゃなくて家で撮影しました。本当はM店に行くと銀色の皿で料理を提供してくれるのですが、今回はテイクアウト用のプラスチック容器とアルミホイルだし、せめて皿に移せって突っ込んだ方は多いのでは? でも許してください。ポテトを見た娘が「イモ!イモ!」と叫ぶから慌てて撮ったんです。いやホント、雑な出来で「映え」とは程遠く申し訳ありません。でも、ほんのちょっぴり雰囲気を感じてもらえたら嬉しいです。あ〜、早くお店で食べたいですね。
▶▶早送り▶▶2020 年
今も大好きなあなたへ。
あの頃の私達は、ビールを飲みながら、仕事の愚痴やら結婚式の計画やら新婚旅行の願望やら、酸いも甘いもたくさん語り合いましたね。苦労は分け合ったし、夢や希望は膨らんで……それは我らの愛娘・ふーちゃんが生まれた今も変わりません。M店で食事をすることはほぼ無くなったけど、テイクアウトして食べるカレー&ナンは今も美味しいよね。奥さんに「ムスメ、ゲンキ?」と聞かれるのも答えるのもまた楽しいし……
でも決定的にあの頃と違うのは、私がビールを飲めないということ。妊娠がわかってから授乳中の今までだから…もう2年か。早いね。
あなた自身も晩酌の数は減って、たまに家でお酒を飲む時も、ノンアルコールを飲む私に申し訳なさそうな顔をしているけど、そんなに気にしなくていいんだよ。好きなように呑んで、楽しんでよね。
そりゃ私もゴクゴク、プハーッといきたいな、とは思うけど、我らのお姫様が乳離れするには、もう少し時間がかかりそう。だから、あとほんのちょっとだけ待っててくださいね。
ふーちゃんが卒乳したら、真っ先にあの店に行ってインドやネパールのビールを飲みましょう。
また乾杯しよう、と言いたい相手は沢山いるけれど、一番一緒に乾杯したいのは、いつも隣にいるあなたなのです。
💌END💌
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この文章を書くにあたってはクリオネさんにスペシャルアドヴァイスをいただきました。