特別国会までに高市総裁による自公国連立の交渉が必要
2024年 11月 4日
社会資本研究所
南 洋史郎
自公で過半数を18議席も下回る衆議院議員の歴史的な大敗をまねいた時点で、当然ながら、石破総理は直ちに辞意を表明すべきであったが、どうも自ら退任を決断し公表することは難しい様子である。 選挙期間中、睨(にら)みつける怖(こわ)い面妖な形相(ぎょうそう)で、支離滅裂(しりめつれつ)な不可解な発言が続き、心身面で大きな変調があるのではないかと心配してきた。
万一にも合理的配慮が必要なら、こだわりが強く、ご本人から辞意表明を期待するのは難しいと思うので、これ以上、ご本人が窮地に陥り、お困りにならないように速(すみ)やかに次の新総裁を選出する手続きをとらざるを得ないと拝察する。
昔より自民党のような歴史のある大政党では、有名な政治家の子弟が特別な方法で私学の超エリート校を卒業されるケースが多々あると聞いている。 ただ、高学歴だが政治家の適性や資質に疑問が感じられる場合、世話人の古参議員が、ご本人のプライドが傷つかないように配慮しながら、正しい政治的な発言や対応、行動ができるように支援するという噂話を聞いたことがある。今回、そのような特別配慮が必要なケースかどうかは不明だが、テレビ出演で明るく発言されておられた頃に比べ、総裁に選出されてからは、精神的に相当に追い詰められている様子で一刻も早く新しい総裁へバトンタッチができる環境を提供する必要性に迫られているのかも知れない。このような場合でも、自民党の党則は良くできており、本人から辞意表明がなくても、緊急時に国会議員だけで新しい総裁を選ぶことができるようにうまく設計されている。
10月31日のNHKニュースでは11月11日予定の特別国会前の11月7日に石破総理が出席、衆参両院の全ての国会議員を対象とする両院議員懇談会を開催、今回の選挙結果を総括、党執行部は懇談会の意見交換を経て特別国会の総理大臣の首班指名に結束して臨む話があった。
党執行部によるルール確認は必要だが、自民党党則6条4項で全国47都道府県の支部連合会の代表47名と党所属国会議員304名(衆議議員191名、参議院議員113名)の合計351名の過半数176名以上の支部代表や国会議員より、党本部の逢沢委員長の総裁選挙管理委員会へ要求があった場合、総裁を新たに決める選挙が実施でき、32条と33条で両院議員の2/3の203名以上の議員の出席なら、新総裁の議決が有効となる規約となっている。
すなわち、11月7日の自民党の議員懇親会に衆議院議員と参議院議員の304名から203名以上が出席、出席議員から懇親会を両院議員総会へ切り替え、現総裁の解任と新しい総裁候補を選出する緊急動議が発議され、その場で異議無しとなり、176名以上の賛成があれば、新総裁を選出できる仕組みとなっている。 国民民主党と連立を組めるかどうかは自公が与党として
生き残れるかどうかの瀬戸際の話であり、高市議員自らが立候補されるか、高市議員を強く推奨する議員があらわれ、そのまま議員投票で彼女が新総裁へ選出されることになるのであろう。
石破政権は終了し高市新総裁による自公国の連立政権交渉に与党生き残りをかける
石破首相は11月中旬のAPECで習近平主席と会う段取りを画策されていたという話である。さらに来年3月の国の予算を決めるまで国会で野党とやり合う気があり、本人は来年3月までは首相として活躍できると勘違いしたようである。 ただ、冷静に考えるとそれがいかに常識はずれかがわかる。 自公で過半数を超えていたなら、与党の地位は安泰で首相がイニシアティブをとって外交も内政も主導でき、中国や米国など様々な国の相手国トップとも交渉できるであろう。ところが、過半数を取れず、国民から退陣を要求されている首相、政権が外交でいくら頑張っても即断即決の権限すらなく、どの国からも相手にされない。 APECの場でも、儀礼的な会話はしてもらえるが、それ以上の込み入った複雑な交渉にはなかなか応じてくれないであろう。
つまり、過半数をとっておらず、それは石破首相自らが招いた結果であるが、仮に11日に決選投票で首班指名を受けることができ、何とか与党の地位を確保できても、その地位を守り続けられる保証はない。 もし、部分連合を組んだ国民民主党が主張する減税案や積極財政案にうまく対応できないとその時点で国民民主党から駄目の三下り半を突き付けられる可能性もでてくるのである。 立憲民主党が国民民主党を説得し、野党連合から内閣不信任を突き付けられる危険性も常にはらんでいる。 過半数は無理でも議員数の多さから、非自公の野党連合の政権が誕生する可能性も強まるのである。 自公としては、何とか国民民主党を説得し連立を組みたいであろうが、本来辞任すべき石破首相がいつまでも居座り続ける限り、国民からの厳しい批判を恐れ
自民党とは連立政権を組まないであろう。
一方、自民党は国民民主党と連立を組まない限り、これからも不安定な政権運営しかできず、現段階で国民民主党と連立を組める可能性のある唯一の相手は高市新総裁だけである。 つまり、好むと好まざるとにかかわらず、今の自民党は高市議員に新総裁になってもらい、国民民主党と一緒になって連立を組む交渉をお願いせざるを得ないのである。 このあたりの理屈が理解でき
たなら、石破首相は選挙結果が判明次第、即座に退陣を決意したであろう。 また、立憲民主党との大連立の話は、立憲民主党に首相の座も母屋(おもや)も全て明け渡す話で、自民党がもっとも選択してはいけない自滅案であり、国民から退陣要求されている石破首相がいくら立ち回ってうまく交渉しようとしても誰からも全く相手にされないであろう。
以上より、今の自民党が政権与党として生き残る唯一の方法は、7日の両院総会で自民党議員が懇願、説得して、何とか高市議員に総裁に就任していただき、特別国会までに国民民主党と連立政権の交渉をまとめてもらうことなのである。 仮に連立交渉が長引くなら、11日の特別国会の開催にこだわる必要はなく延長すれば良い。 ただ、国民民主の玉木代表も国民から人気の
高市総裁と一緒に連立が組めるなら、喜んで内閣へ参画するような気がする。 この保守色の強い新政権の内閣は強力であり、国民が喜ぶ減税や積極財政を推進し結果を出す中で、来年の参議院選挙で自公国の人気を不動のものとするのであろう。
以上