キュレーションサイトのジレンマ
私はフリーランスで記事を書いたり、事務作業をしたりしている。
フリーの期間が長くなると、やりたくないなぁと思う依頼も来たりする。
その最たるものが「キュレーション(まとめ)サイト」への執筆だ。
収入を上げるにはこういった記事も書かなければならないが、この類いと思われる依頼は極力お断りしている。
お陰で仕事は減ったが、それでも細々とできればいい。
書きたいのは一本筋の通った記事だ。私の想いだ。
つまみ食いじゃない。
不確かな医療情報
以前話題になったので覚えている人もいると思うが、医療まとめサイトが医師の確認なしに情報を公開していた問題があった。
実は私も、その記事に関わったことがある。
依頼内容としては、ある種の症例について調べて執筆をということだった。
執筆後は医師がチェックするので大丈夫です、と言うことだったので依頼を受けた。
ところが、だ。
そのサイトは医師はおろか医療従事者にチェックもせず公開していたというではないか。
現実にその症例を調べて執筆したとはいえ、医師はおろか医療従事者にもチェックさせず公開とは、少なからずショックを受けた。
だってそうでしょう。
不確かな情報を垂れ流すことに加担したわけだから。
話が違うじゃないか、と。
それになにより、その記事を信じていた人に失礼どころではない。
もしかしたら、藁をもすがる思いで記事に辿り着き、実行した人もいるかもしれない。
そんな人達に、何と申し上げればいいのか。
謝罪しても仕切れないではないか。
特段私に調査が入ったわけでも何でもない。
だが、しばらくは罪悪感は残った。
キュレーションサイト執筆の内情
そもそもキュレーションサイトには問題がたくさんある。
例えば、ネットの情報を鵜呑みにしてそれを元に記事を書いたり、投稿者に無断でツイッターやインスタグラムを貼り付けたり。
内情を話すと、記事一本に貼り付けられる画像枚数などは限られている。
ツイートは何件、インスタは何件、引用は何件、と言った具合だ。
それを、投稿主に許可を求めることはしない、というか、許可を求めるよう指導されたことは少なくとも私はない。
例えば、分かりやすい表現のツイートがあったとして、その補足を根拠やソースを引用で…ということが数制限でできなかったりする。
自分の言葉で書いてもいいけど、書き方を間違えれば盗用、パクリと思われてしまうかもしれない。それなら貼り付けた方が早いし安心だ。
その限られた中で、指定された文字数を稼ぎ記事にして、PVを稼がせるのがライターの腕ではある。
キュレーションサイトの危うさ
ほとんどのキュレーションサイトは、
「不確かなネット情報を、根拠を精査せず記事にしている」
をということを、その危うさを持っている。
「へぇ面白い記事じゃん、リツイートしよ!」
「コピペして自分のツイートに書いちゃえ」
その前に、この情報は本当なのかを疑って欲しい。
2016年4月に起きた熊本地震において、
「ライオン逃げた」
というツイートが拡散されたことがあった。
ツイート主はその後逮捕された。
こういうことが安易にできてしまう時代、キュレーション記事も例外ではない。
事実を淡々と執筆したり、実際に起こったことをSNSに上げたりしている人もいる。
むしろそういう人の方が多い。
でも少し、ほんの少しでいい。
疑う力を養って欲しいと思う。