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クロスプル、クロスオーバー、ラン(プログレッシブ)の違い

 いつも、クリスマスホリデー(南半球では夏休み)などの長い休みあけには調子が狂って、休み前の状態で滑れるようになるまでには1か月ほどかかっていた。今回はロックダウンのおかげで、数か月間ものあいだ、いつもの練習場で滑らない状態が続いた。そしたらもうなんだか、これまでに経験したことがないほどガタガタになってしまった。練習に戻ってからもう少しで2か月になるが、ようやくやっと深いエッジ(当社比)に乗れるようになってきたような気がする。それでもまだ、以前のようには気持ちよく滑れない。

 モホークターンも、先日書いたようにどうも最近すっきりしない。でも昨日のレッスンでコーチに「(右足前で)ターンする時、右肩をクローズドにしないで、開いたままやってごらん。目線は足元を見ないで、まっすぐ回転する方向を見たままで」と言われてやってみたら、急にすっと安定した体重移動ができるようになった。うーっ、嬉しい。肩が入って体が閉じた状態になっていたなんて、自分ではまったく気づいてなかった。

 バックのクロスオーバーも、もともと不得意だった右足軸の反時計回りが、どうもぎくしゃくしていた。でも、昨日コーチに指摘されてはっとした。しばらく滑っていなかったら、おっかなびっくりになってエッジに深く乗れてなかっただけじゃなくて、膝の曲げ具合や腰の落とし方まで浅くなっていたみたいだ。コーチが「クロスさせる方の足をもっと前に出してごらん」って言ったら、あら不思議。足をもっと前に出そうと意識すると、自然と膝も曲がって腰が落ちついて、すっとクロスできるようになった。

 当たり前のことだけれど、コーチってやっぱりすごい。自分ではなかなか気づけない間違いや欠点、癖を早い段階で指摘してもらえるって、本当にありがたいことだなぁと思う。


■クロスオーバーとクロスプルは同じ?

 バックのクロスオーバーは、うちのクラブでは「クロスオーバー」と言うコーチが多い中、たまに「クロスプル」と言うコーチがいておもしろいなぁと思っていた。どうやらこれ、アメリカとヨーロッパでやり方が違っているかららしい。日本のアイススケートの人もそうだと思うのだけれど、バックのクロスオーバーは普通、足を前に置いてからスライドさせるようにクロスさせるので、足を持ち上げてクロスするフォアのクロスオーバーではなく、フォアのラン(プログレッシブとも呼ばれる)の動きに近い。でも、アメリカではバックの時もフォアと同じように足を持ち上げてクロスする方法で習うことも多いらしく、それと区別するために足を持ち上げないやり方をクロスオーバーではなくクロスプルと呼ぶことがあるようだ。これは、アイススケート業界でもローラースケート業界でも同じみたい。

 アーティスティック・ローラースケートは競技人口が少なく、なかなか正確に説明してくれるお手本が見つからないので、下に紹介するアイススケートの動画で動きの違いを見て欲しい。アイススケートとローラースケートとは靴が違うだけで体の動かし方がまったく同じことが多い。バッククロスのやり方やお勧め動画については、こちらを参照。ここでは、2つのやり方の違いを説明している動画を紹介する。

↑ 両方のやり方を教えるアメリカのジェナ先生。どっちが良い悪いとかではなく、どっちでもいいのよ、コーチのやってる方でね、とのこと。あいかわらずかわいらしい。

↑ 同じく両方教えるアメリカのジュリア先生。前半は足を持ち上げるやり方、後半はさらに進んだやり方として足を持ち上げない方法を教えている。「カットバック」バージョンとも呼ぶらしい。この先生は、実はローラースケート出身。ローラースケートからアイスへ転向した人って、有名選手でも結構いたりする。逆はあまり聞かない(笑)

 足を持ち上げない方がパワーとスピードが出やすいので、私のいるイギリス連邦の国でのローラスケートや、日本のアイススケートでは、そちらの方法が一般的なのだと思う。足を持ち上げる方法は別に覚える必要がない、という感じ。だからアメリカ以外の国では、バックのクロスオーバーと言えば一つで、いろいろな呼び方の使い分けがないのかもしれない。うちの「クロスプル」派のコーチは、きっとアメリカ系の移民なんだろうな。

 日本のローラーフィギュアの状況はどうなんだろう。バッククロスはどちらで習うのでしょう???どなたかご存知ですか?


■クロスオーバーとラン(プログレッシブ)の違い

 そして、フォアのクロスオーバーとラン(プログレッシブ)の違いについて、とても分かりやすい動画があったので、紹介する。

 最初にやっているのがラン(プログレッシブ)で、画面がぷつっと切り替わってからやっているのがクロスオーバー。ランでは足を持ち上げずに前に置いてからスライドさせてクロスし、クロスオーバーでは足を持ち上げている。

 ちなみにプログレッシブはバックになると、まったく違う動きになる。フォア、バックともにプログレッシブ(ラン)のやり方についてはこちらを参照

 ラン(プログレッシブ)は、日本のアイススケートの方々の間ではアイスダンスのレッスンを受けないと教わらないエレメントのようだ。うちのアーティスティック・ローラースケートのクラブでは、ダンスもフリーもフィギュア(図形を描く日本のアイススケートのコンパルソリのこと)も、ある程度滑れるようになった初級者の段階からすべて同時進行で教えてくれる。すべての基礎をある程度習った上で、競技会に出る中・上級者になってから行きたい方向を選んだり、特に選ばず同時にどちらの競技もやったりしている人も多いようだ。初級者は4段階に分かれていて、私は今、レベル3。下から3番目のクラスである。先はまだまだ長い……。


追記:バックのクロスオーバー、プログレッシブ(ラン)について書いたページへのリンクを追加しました。


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