ローラースケートの靴ひも ー 穴の通し方、締め方、長さ、有名選手の靴の履き方など
ローラースケートの靴は、スタイルによってかなり違う。日本では光GENJIが歌の途中の早替えのためにムラサキスポーツと開発した、マジックテープ式のローラースケートなんていうのも結構普及しているようだが、今回は、昔ながらの靴ひもがあるタイプのローラースケートについて。
■靴ひもの穴の通し方
まずは、靴紐の穴の通し方について。これ、スニーカーにも応用できるので覚えるとかなり便利だ。ローラースケートを購入して箱を開けると、普通は靴と紐が別々に梱包されていて、自分で紐を通さなければならないはず。ジャンプをがっつり練習して靴紐が切れてしまったり、ただ単にもっとカワイイ色に新調したいという時にも靴紐を替えたりする。でもいざやってみようとすると「あれ?靴紐ってどうやるんだっけ……適当にやったら右と左が違う見た目になっちゃった!」なんてことになりがちだ。
【その1】下から穴に通す方法
↑ アメリカの人気スケーター、インディ・エマ・ジョーンズによる動画。Moxi(モクシ)といういかにもカリフォルニア女子っぽいローラースケートを販売する店舗で商品を並べる時に使う、美しい&簡単な靴紐の穴の通し方を教えてくれる。ピジョンという人気スケーターでローラースケート店のオーナーが、2件目の新店舗オープンを控えてディスプレイ用の靴を準備しながらスタッフに教えている時の動画だ。
3:28から
①まず一番下の左右の穴に紐を下から(内側から外側へ)通す。
②紐の両端を持って、左右の長さを合わせる。
③次の穴に下から紐を通す。
④同じ紐のまま反対側の穴を一つ飛ばして下から通す。
⑤同じ紐のまま、また反対側の穴を一つ飛ばして下から紐を通す。
これをくり返す。
紐を通す時は、ねじれがおきないように直しながら。
穴をすべて通したら、片ひも終了。(フック部分は靴を履く時に締めるのでここでは締めないでOK)
6:03から
⑥ここで、今までクロスしてきた靴ひもをよく見る。左から出ているひもが上なのか、右から出ているひもが上なのか?(オーバー?アンダー?)左右どちらか一方の穴から出ている時が必ず上になっているはずだ。そのパターンに合わせて、残りの紐もクロスさせながら上から、下から、と穴に通していく。
このあと、動画ではディスプレイのためにフックの部分も締めているが、普通はこの部分は足を靴に入れてから滑る直前に締めるので、穴にだけ紐を通しておけばよい。
【その2】エデアが勧めるヘリンボーン式
ローラースケートやアイススケートの大手靴メーカー、エデアのページで紹介されているやり方がこちら。
ヘリンボーン=Herringbone=魚(へリング)の骨、と呼ばれるこのパターンで靴を締めると、緩みにくく紐にかかる力が分散されるらしい。上のその1のやり方とほぼ同じだが、こちらは紐を穴の上から(外側から内側へ)通していく。この結び方には、3つのメリットがあるということだ。
1. 甲への圧力が分散される
2. 靴ひもがしっかり、均等に足を支える
3. 靴ひも同士がお互いを抑えるので緩みにくい
これはすべてその1のやり方にも言えることだと思う。
また、エデアのページにはこんな注意喚起もあった。靴ひもを締めたままの靴を気温の高い車内などに置きっぱなしにしないこと。紐そのものが緩くなってしまうからだそうだ。もちろん、こういったスケート靴はヒートモールディングといって、購入時に熱で足の形に合わせて変形させる機能もついているので高温は禁物だが、紐もぴんと張りつめたまま高温にさらすのはNGなのだそうだ。確かに、特にワックスタイプの紐は高温でワックスが溶けだしてしまうかもしれないし。また、紐の伸縮性を維持するために靴を脱いだあとは常につま先まで紐をゆるめておくといいとのこと。
ベロの足首部分に紐を通すホルダーがついている場合は、それに靴ひもを通しておくのも忘れずに。人間の足の形は左右対称ではないので、そうしないとベロの部分がずれてきてしまうのだそうだ。
■靴ひもの長さ
ローラースケートを購入すると必ず靴ひももついてくるが、この靴ひものクオリティも結構ピンキリである。私は自分の好きな色を使いたいというのもあって、いつも自分で紐を変えてしまう。それに、良い紐はしっかりきゅっと締めやすく、ほどけにくい。
私が愛用しているのは、アメリカの「Derby Laces(ダービー・レース)」というブランド。ローラースケートのために開発された靴ひもで、本当に締め心地がいい。色もかなり豊富でカワイイ。この紐はアイススケートの人たちにもお勧めだ。
うちの近所の店舗でも数色販売されているのだが、もっとパステルっぽい色が欲しくてアメリカのこのウェブサイトから直接購入したこともある。英語だがオーダーはそれほど難しくないし、日本へも発送してくれるようだ。しかも4本注文すると海外への送料も無料らしい。
ちなみに私は長さが108 inch (274cm)で6mm幅のwaxedをいつも購入している。割と長めなので、他のブランドでちょっとだけ短いサイズがあるなら、それでもいいかもしれない。今自分が使っているローラースケートの紐がちょうど良い長さなら、靴から外して計ってみるのが一番だ。幅は7mm幅も持っているが、1ミリに大きな差はなく、どちらでもいいと思う。しいて言えば、7mmの方がホールド力があるかも?そして6mmの方が、少し細い分だけフックに引っかけやすいと思う。waxedを買うのは、適度にキュッと締まってほどけにくいから。このブランドの製品はワックス(蝋)といっても、もちろんベタベタ感もツルツル感もなく、触り心地はさらっとした普通の紐だ。
■毎回ローラースケートを履く時の靴ひもの締め方
足首のないタイプのローラースケート靴を使う場合はスニーカーと同じように結べば良いだけなのだが、ブーツ型のローラースケートの場合は、最初の頃「どうやって靴ひもを結べば良いの?」ととまどう人も多いと思う。
靴ひもの締め方に特に決まりはないのだが、やはりゆるまない締め方、滑りやすい締め方、というのはある。
まず、上記の「■靴ひもの穴の通し方」の通りに靴紐は穴の部分まできっちり通しておくこと。
そして靴に足を入れたら、
1)つま先:指が動きやすいように、ちょっと余裕を持たせて靴ひもを調整する。ひもをゆるゆるの状態にしてから、つま先から順番に引っ張って締めていく。
2)くるぶし:くるぶしに近付いてきたら、少しきつめに締めていく。足首はしっかりと少しきつめにサポートする方が動きやすい。
3)フック:フックの部分は、足首付近はきつめに、上の方は少しゆるめに余裕を持たせて締める。ただし、ゆるすぎると滑っている間に靴ひもが外れてくるので注意。きっちり締めつつも、そのきつさでしゃがめるかどうか確認しておく。しゃがめないならきつすぎる。
最後に蝶結びの輪を、フックにかけてから引っ張っておくとぶらぶらしない。
フックの紐のかけ方は、それぞれのフックの下からでも上からでも良いが、上からの方が緩みにくい。下からだとフックに180度で引っかかるのに対して、上からだとぐるっとフックを1周して360度で引っかかるからだ。
それから、最後に余った紐をぐるっとブーツの周りに巻く人がいるが、あれはちょっと動きにくいと思う。紐が長すぎる時は、一番上までフックにかけてから、今度は折り返してフックに2重に紐をかけていけば良い。
また、アーティスティックではないストリートのスケーターたちの中には、フックの部分に紐をかけないでベロの部分をだらりと着崩すというか、ちょっとやんちゃな感じのスタイルで滑っている人たちもいたりする。深いエッジに乗らず、ジャンプもしないスタイルの滑りには足首のサポートがない方が滑りやすいのかもしれない。
靴ひもの締め方を実演してくれる動画はこちら。
↑ Moxiの動画。Moxiの創設者で人気スケーターのエストロ・ジェンが靴ひもの締め方を実演している。2017年のローラーコンのMoxiのブースでの撮影らしい。彼女はフックは上からかける派のようだ。その方が緩みにくいしアイレット(フック)が痛まないよ、とのこと。
アーティスティックのローラースケート靴は、アイスのフィギュアスケートの靴と同じく、エデア、リスポートなどを履く人が多い。私もリスポートだ。アイスの有名選手が靴を履く映像をいくつか見つけたので、紹介する。ブレードとウィールの違いはあるが、アイスでも靴部分は全く一緒だ。
こちらは、浅田真央ちゃんの靴紐の締め方。
↑ 住友生命公式チャンネルより浅田真央応援プロジェクトの動画。真央ちゃんは薄手のタイツにテーピングで靴擦れを防ぐスタイルみたい。私は薄手のタイツは靴の中で滑るし、足指が縮こまる感じがするので苦手。足汗もすごいし。レオタード&タイツでも、足首までのタイツ+汗をよく吸う厚手で長めのスポーツ靴下を使っている。
余談だが、テーピングの代わりに使えるブンガ(Bunga pads)というサポーターがあって、これが結構優れモノのようだ。ツイッターでKSさんが教えてくれたのだが、アイスの方々はこういうのを使ったりしているらしい。これは、ローラースケートの人たちも真似するといいかも。私も買おうと思っているところ。
こちらは、羽生結弦選手の靴ひもを締めるシーンが登場する動画。
↑ TVLIFEよりロッテのCMのメイキング動画。動画では見えないが、羽生選手は5本指靴下を愛用しているらしい。バレエでもスケートでも、5本の足指の筋肉をしっかりと使うことが大切なのだと思う。
羽生選手も真央ちゃんも、フックの紐のかけ方は下から派みたい。
次は、パトリック・チャン選手。
↑ スケート靴のエデアによるひもの締め方動画。パトリック・チャン選手が実演してくれる。フックは上から派。エデアのような靴の部分が硬くサポート力がしっかりあるブーツの場合、パトリック・チャンはベロの部分やすねの後ろに3本指が入るくらい緩めにしているらしい。
最後に蝶結びをしてから、もう一度結んでいるのもポイント。これ、ダブルノットと言って英語圏ではスニーカーでもよくやる方法だ。これをやっておくと、蝶結びが緩んでこない。日本のように学校で靴を脱いで上履きに履き替えることもなく、病院でも居酒屋でも他人の家に遊びに行っても靴のままなので、靴ひもをほどくのが面倒、という場面があまりない文化での結び方なのかもしれない。
また、アイススケートだがこんな日本語の動画もあったので一応紹介しておく。内容はほぼローラースケートでも同じ。手袋をしましょう、止まり方はこうです、の部分がちょっと違うだけだ。
スケート靴履き方 by takatsuka1220
紐が緩んでくるのを防ぐには、ブーツカバーを使うという方法もある。カバーをつけておくと、紐がぴっちりと上から押さえつけられるし、紐がブラブラしなくなる。ブーツカバーについては、こちらを参照。
追記:ブンガパッドについて書き足しました。
追記その2:エデアの靴ひもの締め方ページの情報を書き足しました。
追記その3:あまり良い動画ではないのだが、日本語のアイススケートの靴の履き方動画を追加しました。
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