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スパイラル(アラベスク)

 最近、大人バレエのレッスンにも通っている。コロナのロックダウン中にクラブのローラースケート場が閉鎖になってしまい、体がなまって仕方ないなー!と思っていたら、以前通っていたバレエ教室がズームでオンラインレッスンを始めたというメールが届いたのだ。チケット制のバレエスタジオなので、やる気まんまんになってチケットを購入したが、結局オンラインレッスンは時間が合わなくて一度も参加できなかった。もったいないのでロックダウンが解除されてから久しぶりに大人バレエの教室へ行ってみることにしたら、これがもう、ものすごく楽しいのだ。バレエってローラースケートよりも安全だし、バーレッスンで体をほぐしてから動きだす流れが確立していて体に無理がないから、初心者クラスへ行けば高齢でも参加できる。ローラースケートはもう年齢的に無理かもしれない、と思うような時がきたら、いつかバレエに切り替えようかなぁなどと考えたりもする。いやいや、でもやっぱり、ローラースケートのあの風をきって滑る気持ちよさは何にも代えられないから、80歳くらいまで滑っていたい!

 バレエをやっていると、何かとアーティスティック・ローラースケートにも役立つことがある。アラベスク(スパイラル)もその一つだ。

 スパイラルという動きは、フリーレッグを腰より高くあげる滑り方のことである。普通は、スパイラルというとアラベスク(足を後ろに高く上げる)を指すことが多く、スパイラル=アラベスクとしてこの用語を使うことが多い。でも、スパイラルには基本のアラベスクの姿勢以外にも

 ・キャッチ・フット・スパイラル(背中側で靴を持つ)

 ・ビールマン・スパイラル(頭よりも高い位置で靴を持つ)

 ・ケリガン(後ろでフリーレッグの膝を持つ。あのトーニャ・ハーディング夫が首謀者とされている襲撃事件で有名なナンシー・ケリガンから)

 ・Yスパイラル(Y字に180度開く)

 ・ファン・スパイラル(フリーレッグを扇のように横や前に上げる)

 ・シャーロット・スパイラル(上体を真下に倒す)

などなどいろいろなスタイルがある。足が腰より高くあがって美しければ割となんでも許される動きで、同じ基本のアラベスクでも、手の付け方も横に開いたり前後に広げたりいろいろな方法がある。

 まずは、浅田真央選手の美しいスパイラルを集めた動画から。

↑ wice2016さんの動画。少しイーグルも混ざっているが、浅田真央選手のスパイラルをこれでもかというほど集めている。あぁもうなんて美しい。この人のスパイラルはずば抜けて美しいと思う。この動画、スパイラルにはいろいろなスタイルがあるのもよく分かると思う。


■アラベスクのやり方

 一番最初は、フリーレッグを後ろに高くあげ、あごから転んで怪我するのを防ぐために片手を前、もう一方の手を後ろに開くスタイルがお勧めだ。こういうやつである ↓

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↑ ドラマ「マッドメン(S7Ep12)」のシーンから。このように、上げる足と後ろに伸ばす手は同じ側で。最初はこれくらいの足の高さから始めて、徐々に足を頭より高く上げることを目指す。

 うちのコーチは、初心者がスパイラルを習う時にはとにかく「前を見ること!」と口を酸っぱくしていっていた。最初はどうしても足元を見たくなってしまうのだが、下を見るとほぼ必ず前のめりになって転ぶ。あごを引くとバランスを崩しやすいので、あごを上げるイメージだ。遠くにある目の前の何か一点を決めて、それをじっと見据えるようにしてまっすぐ(最初はエッジは気にしないで)滑るといい。フリーレッグは股関節から外側に開いて(ターンアウト、外旋)つま先を伸ばす

 私はローラースケートを始めた頃、スケートを履かずに片足で立つだけでもフラフラしていたので、スパイラルが苦手だった。それでも毎日キッチンで料理をしながらスパイラルの姿勢をとっていたら(子どもたちよ、変な母親ですまん)、必要な筋肉が徐々についてバランス感覚が養われていった。

 これができるようになったら、アウトエッジ、インエッジでも練習する。

 フォアのスパイラルができるようになったら、次はバック。こちらもインサイド、アウトサイドとエッジにのって練習する。私は脚が曲がっていて膝が内側に落ちてしまいがちなので、かなり長い間バックのスパイラルはインエッジでしか滑れなかった(やっとバックアウトでスパイラルが滑れた時は、嬉しかったー!)。この膝が内側に入ってしまう問題については、膝のゆがみを解消する筋トレや、ゆがみの元となる足のアーチを補正するインソールなどもあるので、また後日改めて紹介する。

 アラベスクの基本は、なんといってもバレエの動画が参考になる。

↑ 三科絵理さんという方がアップしているBallet Yogaさんのアラベスクについての解説動画。ものすごく理論的で分かりやすい。感覚で動けず、頭で理解しないと体が動かないタイプの大人スケーター(←私)にはありがたい。タンデュとはなんぞや?と気になるかもしれないが、バレエに興味のない人は用語にこだわらなくても動きを見れば分かる動画なので大丈夫。特に骨盤と股関節の動きの解説が秀逸。

↑ 同じバレエヨガインストラクターのえりさんの動画。さらにより高く足を上げていくにはどうすれば良いのか、分かりやすく解説してくれる。アラベスクは足を高くあげようとすればするほど体幹が大事になってくるのだが、そのあたりの解説も良い。先に膝を上げてから足を伸ばすのもポイント。

↑ もう1つ、えりさんの動画から。アラベスクのためのゴムバンドを使うエクササイズ方法などを紹介している。ある程度できる人が、さらに高いアラベスクを目指すためのエクササイズとして参考になる。腰に問題のある人、まだ成長期の子どもは、ゴムバンド禁止だそう。バレエは開脚やトウシューズなど、割と体に無理をしていくイメージが強いが、いい先生につくと、このようにちゃんと体に無理のないように段階を経て高度な技術にチャレンジしていく方法論がしっかりしているものなのだ。


 脚のターンアウト(外旋)については、スプレッドイーグルの回も参考にどうぞ。

 

↑ ニコール・フィオーレによる動画。おー、ケリー・クラークソンの後ろに登場してたのね~。バレエでは軸足は完全に伸ばすが、ローラースケートの場合は、スケーティングレッグをまっすぐ伸ばすといっても、膝をロックさせないで柔らかくクッションになるようにしておくというポイントは大事。


 その他の参考動画もリンクを張っておく。最後の2つはローラースケートの動画だが、一応こういうのもあるよということで、あまりお勧めな内容ではない。ちゃんと見て学びたいなら、アイススケートの動画がお勧め。

 まずは陸トレ動画から。

↑ アイスコーチ・オンラインから。私の好きなロイドのパートナーのリー・ロジャース。この人も結構好きだ。男女どちらも好感度の高いカップルってすごい。この陸トレで、足を高く上げるスパイラルを目指せ。柔軟体操をする時は、必ず体を温めてから。力を入れる時も戻す時もゆっくりね。途中で出てくるスーパーマンの動きは、体幹を鍛えるためにうちのクラブでもよくやらされる。ローラースケートを履いてやると、重くて結構キツいのでお勧め。

 そして、アイススケートの動画から。

↑ アイスコーチ・オンラインのロイドの動画。まだちょっと若い。初心者向けの動画で、一からやり方を説明してくれる。フリーレッグの足を曲げないこと。外側に開くこと。背中を曲げないこと。軸足の膝はロックしないでまっすぐ伸ばす。

↑ ジュリアコーチの動画。まず前半は準備運動のストレッチについて。4:10くらいから実際のレッスン。最初は脚を高くあげることを考えなくてもいい。脚はお尻のま後ろではなく、脚の付け根の後ろ(ちょっと外側)に上げる。腰より足が低いとスパイラルではないので、次はできるだけ足を高く上げていく。あごを上げて、手を柔らかく広げてエレガントに。つま先を横に向けてしっかり伸ばす。

↑ アイスダンサー、オレグの動画から、高橋ニコル。スパイラルができるようになったら、こんなシークエンス(動きの組み合わせ)にチャレンジ。

 ここからは、あまりお勧めではないのだがこんなのもあるよ、ということでローラースケートの動画から2つ。フォームは真似しないこと。

↑ インディ・エマ・ジョーンズの友人たちがいろいろなトリックを教えてくれる動画。前半はスパイラルを中心に紹介。いつものように、滑り始めるまでちょっと話が長い。

↑ ジョー先生の動画。せ、せんせい、足、上がってませんが……。

 

 アラベスクができるようになったら、背中で靴を持つスタイル(キャッチフット)のスパイラルにもチャレンジ。

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Photo: David W. Carmichael

↑ この写真のような動きだ。ローラースケートの場合は後輪のウィールを1つ持つ。背中、フリーレッグ、靴を持つ腕をすべてきれいに伸ばすことを意識するといい。もう一方の手は前に伸ばす。これは、アラベスクができるなら意外と簡単にできるのだが、大人スケーターはいきなりやると翌日背中が痛くて死にそうになるので注意(←私)。日ごろから背中を反るエクササイズをしておき、十分に体を温めてからチャレンジしよう。背中を反るエクササイズはいろいろあるが、先ほどの陸トレ動画のアイスコーチ・オンラインでリー・ロジャースがやっているのも良い。


追記:最初に紹介していた動画が削除されてしまったので、マッドメンのGIFに入れ替えた。

追記その2:足を横に上げない

 足を腰より高くあげることに集中していたら、いつの間にかバランスがとりやすいように足を横に開き気味で上げて滑るクセがついてしまったようで、コーチに注意された。特にアウトエッジの時に、反対側にカウンターバランスを取ろうとして足が開いてしまうみたいだ。お尻の筋肉を引き上げるようなイメージで、横ではなく後ろにまっすぐ足をあげることを意識すると美しく足が上がるよとのこと。お尻を意識すると、確かに足が横にいかなくなった。

追記その3:軸足はまっすぐ(でもロックしない)

 軸足の膝を曲げて少し落としておいた方が安定しやすいし、開脚するにも   足を大きくあげやすいので、膝を曲げてアラベスクをしていたらコーチに注意された。膝はまっすぐ伸ばしておく方が美しい。まっすぐといっても、膝をロックしてしまわずに、柔らかく保ったままで。


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