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私のローラースケート靴

 今回は、私が使っている靴について。これまでにも何回かウィールの取り換え時などに紹介しているが、今回は靴にだけ焦点をあててみる。

 私はアーティスティック・ローラースケート(日本ではローラーフィギュアとも呼ばれる)というジャンルで滑っているので、実はそれ以外のジャンルの靴のことはあまりよく知らない。

 近所の屋外で集まるローラースケートサークルのみんなの意見を聞いていると、Impala(インパラ)はかわいいけど真剣に滑ろうと思ったらプレートも靴もやわやわなので買い替え必至だよねとか、Moxi(モクシ)はやっぱりいいねとか、VANS(ヴァン)のスニーカーに好きなプレートを合わせてオリジナルローラースケート作るのが流行ってるっぽいとか、Riedell(ライデル)はやっぱいいねなどと、人の意見をいろいろ聞くことはあるが、自分自身では購入したことがないので何とも言えない。かわいい屋外レジャー用の靴を買ってみたいな~とは思うのだが。最近日本で発売されたChiKaさんの靴Lip C Lip(リップシーリップ)もかなり気になっている。

 だけどどんなジャンルの靴だとしてもこれだけは言えるのが、1足目はおもちゃっぽいものを購入しても、2足目は教室に通って、周りの生徒さんたちの靴を観察したり、先生にアドバイスしてもらいながら、自分に合った良い靴を購入した方がいい、ということ。良い靴を履くと、滑りもぐんっと良くなる。

 ローラースケートが上手になりたいなと思ったら、教室に行って良い先生に教わるのが一番だ。どんなジャンルのローラースケート教室でも良いから。

 基本的な滑り方についてしっかりと基礎を固めたいと思う人には、やはりアーティスティックの教室をお勧めする。滑り方について、ここまでしっかりと方法が確立されているジャンルは他にないから。ずっとアーティスティックをやっていこうと考えていなくても、初級のコースで基礎を習っておくと、どんなジャンルの滑りに転向しても基本のスケーティングには自信がつくと思う。

 近所のローラースケートサークルの大人スケーター仲間たちも、自分の滑りに満足できなくなって、うちのクラブのレッスンに顔を出す人が最近増えている。


■ローラースケート靴の種類

 4輪のクワッドのローラースケート靴には大きく分けて3つの種類がある。

● ブーツタイプ(屋外レジャー用、アーティスティック用など)

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 足首のサポートがしっかりしていて、一番安全で滑りやすいタイプ。深いエッジに乗る、ジャンプする、にも最適。ただし質の良くないものはサポート力が弱く、足首部分もすぐに折れてへこみ、買い替えが必要となる(良いメーカーの靴でも中古ですでに足首にへこみのある靴は買わないこと)。

● 革のローカットタイプ(スピード用、ダービー用など)

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 足首のサポートがないため、地面を蹴る距離が伸びてスピードが出やすい。ただし、捻挫しやすくジャンプには不向き。

● 布スニーカータイプ(屋外レジャー用)

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 足首のサポートがなく、靴全体もふにゃふにゃしていてコントロールしにくい。見た目がかわいいだけのレジャー用。


■セットパッケージ?パーツを選ぶ?

 さらにローラースケート靴には、

・最初からプレートやウィールがセットになって付いてくるもの(1~2万円程度の安価で初心者用のものが多い。少し高価で質の良い、初~中級者用もあり)

・靴やプレートをそれぞれ選んで合わせていくもの(少し高価で良い製品が多い。といっても初心者用から上級者用までぴんきり)

の2通りがある。

 最初は何が良いのか分からないし、まずはセットの安価なものを購入し、2足目からは良い製品を選ぶと良いと思う。私も後述するように、最初はしばらく貸し靴、そして1万8千円くらいのセット、次に5万円くらいの靴とプレートへアップグレードしていった。


■アーティスティック・ローラースケートの靴

 アーティスティック・ローラースケートでは、基本的にアイスのフィギュアスケートと同じような靴を使用する。足首がしっかりとサポートされる革のブーツタイプで、踵があるものだ。そして靴紐でしっかりと足首回りを締めるタイプになっている。日本では光GENJIの歌の途中の早替え用にムラサキスポーツが開発したマジックテープの靴が普及しているが、アーティスティックの靴はサポート力が要求され、必ず靴紐だ。色は決まっているわけではないと思うのだが、伝統的に女性は白、男性は黒が多い。

 メーカーによってはローラースケート専用に開発した靴を販売していることもあるが、アイス用、ローラー用と特に区別をしていない場合も多い。


■ゴールデンホース

 私がレンタルの靴をそろそろ卒業して、ちゃんとした靴が欲しいな、と思った時に一番最初に購入したのが、こちらの靴。

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 最初は白いウィール、白い靴ひもがついていた。2足目を購入した後、もったいないのでこの靴は屋外用にしてしまおうと決めて、このウィールに交換した。今はこのウィールとはまた違う屋外用のウィールを使用している(詳細はこちら)。

 この靴は、台湾製のゴールデン・ホースというメーカーのもの。

  ゴールデンホースは、私が購入した頃にはまだアイス用とローラースケートのアーティスティック用の靴しか作っていないブランドだったのだが、最近はアーティスティックで使えるものでもカラフルなものや、Moxiによく似たスウェード製の靴まで豊富に揃っていて、ストリート用の靴が増えてきているようだ。追加料金を少し支払うと、右と左で違う色をオーダーできたり、名前や絵をプリントすることもできるらしい。いいね。

 私が購入したバージョンはもう販売されていないが、数年前にクラブ価格で(うちのボスは卸しをやっていて、クラブのメンバーたちに卸値+αの格安値で販売してくれる)1万8千円くらいの価格で購入できた一番下のモデルだった。今$239で販売されているGH Vegan Magic Quad Roller Skatesという靴とプレート、トウストップ、ウィールなどがすべて付いてくるセットが後継モデルだと思う。

 セットで付いてきたプレートはプラスティック。3回転ジャンプに耐えるかどうかは疑問だが、半回転ジャンプまでしか教わらない初心者には軽くてちょうど良かった。ゴールデンホースのウェブサイトでは、このプラスティックのプレートがいかに丈夫か、ハンマーで叩いても壊れない様子を映した動画なども掲載している。それでも、ジャンプをしたい人にはお勧めしない(壊れなかったとしても、そこまで着地時に安定感のあるプレートじゃないし)。

 ゴールデンホースは、台湾製なのでイタリア製よりも安価で、それでいて割としっかりとした、アーティスティック用として通用するちゃんとした作りの靴だと思う。

 だが、だんだんローラースケートが上達してきてエッジに乗りながら小さな円を描いて滑っていた時に、コーチに「そろそろ買い替えた方がいい。その靴だとウィールに無理な負荷がかかってひきつれてる」と言われた。このゴールデンホースのモデルは初心者には良いが、エッジに乗って細やかな動きをするようになると、うまく反応してくれなかった。


■リスポート

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 しばらくして2足目に購入したのが、こちら。イタリア製のRisport(リスポート)。モデルはTurchese (英語読みだとターチェス、イタリア語だとトルケーゼでターコイズの意らしい)。ダンス用のエントリーモデルで、初中級者向けの靴。硬さは35でジャンプは2回転までが推奨されている。

 後ろ側のふくらはぎの部分がちょっと深めに切り込んであって、ダンスに使いやすい設計になっている。切り込みがあるとつま先をピンと伸ばしやすく、フリーレッグの足先が綺麗に見える。女性用はパールというカラーで、ちょっとラメが入ったようにキラキラしているのが、かなり気に入っている。

 履き心地は、それまで使っていた一番安いモデルのゴールデンホースとは比べ物にならないほど良かった。まず、サポート力が違う。ぐらぐらしないから、深いエッジにも乗りやすい(この辺はプレートもかなり関係してくるが、靴だけを考えても安定感が違った)。それでいて、足首やふくらはぎ回りにはクッションがしっかり入っているので、硬さからくる不快感が全くない。

 ヒートモルディング(熱成型)なので、自分の足にぴったりと合わせることもできる。

 こちらはプレートやトウストップなども合わせて、当時クラブ価格で5万円を超えるくらいだった。普通に買えば、靴だけで6万円くらいらしい。


 先日、娘の友人はRisportのAntares(アンタレス)というモデルを購入していて、とても良さそうだった。私のと同じように硬さは35。シングルジャンプまでを推奨している初級者モデルなようだ。日本のサイトでは2~3万円で見かける。まだ足の成長が続いて買い替え必須な年齢や、手ごろな値段の最初の1足を探している人には、このアンタレスがとても良さそうだ。



■エデア

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 私はEdea(エデア)の靴は使ったことがないのだが、娘がこの靴を中古で譲り受けた。かなり見た目はボロボロだったのだが、塗り直して使用している(塗り直しの詳細はこちら)。エデアもイタリア製だ。

 これはAccordo(アコード)というモデルで、現在は生産中止になってしまったようだ。新品だと3万6千円くらいらしい。硬さは45で、安定したジャンプの着地ができる。

 私のリスポートの靴に比べると、足首やふくらはぎ周りのクッション感がすくなくて、パッドは入っているものの硬い感じ。でも硬い分、私の靴よりもさらにしっかりとしている。だからもちろん、サポート力もかなりある。そして、私のリスポートよりもこのエデアの方が軽い。


■ローラースケート靴の選び方

 靴選びは大切だ。靴は安い買い物ではないので、一度購入してしまうとそれでしばらく滑らなければならないし、滑りや足の心地よさを大きく左右する。

ブランド

 アイスのフィギュアスケート業界では、リスポートエデアは世界の2大ブランドとして君臨している。ローラースケートでもこの2つのブランドの靴のうちのどちらかを買っておけば、安定性、足のサポート性、使いやすさなどは間違いないと思う。その他にもアメリカのJackson(ジャクソン)、Riedell(ライデル)、Harlick(ハーリック)、スイスのGraf(グラフ)などの靴にも定評がある。この中ではJacksonが一番幅広。Harlickはアイスの有名選手のほか私の好きなローラースケーターのキャンディス・ヘイデンも履いている。

まず試し履き

 靴というものは本当に履いてみないと分からない。幅やサイズもメーカーやモデルによって違うし、同じメーカーの同じモデルでも違うサイズを実際に履いて試してみないことには、自分にぴったりの靴は見つからないと思う。必ず店頭でいくつも履かせてもらってから決めるか、オンラインでも試し履きをさせてくれる店を選んだ方がいい。

 そして、試し履きをする時にはいつも滑る時に履く靴下を必ず着用すること。スケート靴はミリ単位で滑る感覚が変わる道具なので、靴下の影響も考慮しておいた方が良い。まぁ、靴に靴下を合わせていくこともできるが。大きめの靴なら厚い靴下、きつめ靴なら薄手の靴下やスケートタイツで調整していくことはできる。でも、靴下に好みやこだわりがある場合は、その靴下に合わせて靴を選んでおくべきだ。ちなみに、私は靴の中でスリップしやすい薄手の靴下は苦手だ。汗も吸収してくれないし。

教室の先生を味方につけよう

 そして、できれば教室の先生に靴選びのアドバイスをもらった方が良い。自分のレベル、これからやっていきたいスタイルなどを相談して一番よく理解してくれるのは、教室の先生だ。先生が生徒さんの靴選びに慣れていなくても、それならどこの店のどの店員さんに相談するのがお勧めか、といった情報は聞けば教えてくれるはずだ。

海外製のサイズに注意

 足の幅が広い日本人には、海外製の靴は細めの製品も多いので注意したい。幅が選べる製品が多いので、幅のサイズをよく確認してから選ぶこと。同じメーカーでもモデルによって幅が違うことも多い。そして、靴のサイズの数値が同じでも、日本製とイタリア製では大きさが全く違う。例えば、日本で23㎝の靴といえば足が23cmの人のためにできていて、靴の実寸はそれよりも大きめに作られているのだが、イタリア製の場合は靴の出来上がりが23cmという意味で、足はそれより1~2サイズ小さい人用のものだったりする。イタリアやアメリカでの靴のサイズ表記と日本のcm表記の換算表は、ググれば割と簡単に出てくるが、これがまた表によって微妙に数字が違ったりしていて当てにならない。やはりサイズ表記は目安程度に考えて、試し履きをするのが一番だ。

私の経験談

 実は私はゴールデンホースを購入する時、普段履くスニーカーよりもサイズが小さめで足の長さにピッタリすぎるものを選んでしまった。足の長さはちょうどなのだが、その分ちょっと幅広な私の足よりも靴の方が若干細めだった。とはいえ、幅がきついというほどでもないので、長さがぴったりのサイズの方が良いかと思って購入した。だけどそのうち、何時間も滑りこんでいると足の小指の付け根部分が痛くなって数日治らないことが続いた。

 その失敗から、リスポートを購入する時には、幅がちょうどいい靴選びを心掛けた。結果的に、靴のサイズ(長さ)は普段の靴より若干大きめだが、幅はぴったりという靴を購入した。若干大きめの靴といっても、靴の中で足が動いてしまう感覚は全くない程度だ。このあたりの微妙なサイズ加減は、本当に履いてみないことには分からない。

 私の場合は、ボスが紙に鉛筆でぐるっと私の足形を取って、まずはそれに合わせて選んでくれたいくつかの靴から、中敷きと足を合わせて確認した。ボスいわく「靴のオリジナルの中敷きを取り出して、その上に自分の足を置いて立ってみると靴の中が可視化されて分かりやすいよ」とのこと。これでまず幅がぴったり合う靴を見つけ出し、その中から長さも合っていそうな靴を選んでくれた(※1)。

 そして、実際にその靴を履いてみて、幅とサイズがピッタリ自分に合っているのを確認してから正式に購入、プレートを付けてもらうという手順だった。

(※1:足の一番幅広になっている部分のサイズ感は、この中敷きと足を合わせる方法が一番分かりやすい。ただ靴というものは、つま先は逆にぴったり合わないように少し余裕を持ってできているはずなので、中敷きの形だけを見る場合はその点に注意。つま先部分がスカスカに見えても、つま先の幅があっていれば履いてみると足がそれ以上前にいかず、ちょうどよくできているかもしれない)


 合わない靴を無理に使用していると、圧迫骨折してしまうこともあるし、重心の位置が合わずにスケートの上達まで妨げてしまう。それに、合わない靴を履くことほど不快なことはないと思う。

 皆さまにも、シンデレラのようにぴったりの靴が見つかりますように。


 貸し靴や新品の靴が馴染むまでの靴ずれ予防についてはこちらを参照。


追記:ちょっとアーティスティックよりの情報ばかりに偏っていたので、それ以外のジャンルの情報を足しました。


 ツイッターでもつぶやいています。




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