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33歳、既婚、子なし。高校生たちと話し合う。「結婚」って誰のためのもの?

先日、10人ほどの10代と「結婚」について話し合った。

13-19歳限定のオンラインスクール「Inspire High」の企画で、“放課後のホームルーム”的なノリで社会人とざっくばらんに話す夜の会のゲストととしてお声がけいただいたのだ。

ゲストといっても私が一方的に話すのでもなく、何かを教えたりするのでもない。いい意味でゆるっとしてて、とても居心地がよかった。

スタッフの方に事前にお願いされたのは「2−3分の自己紹介」と、高校生たち(中学生も1名いました)と話し合いたいお題。

私は迷わず「結婚ってどう思う?」というテーマを選んだ。

親の目を気にしていた、私の結婚

このお題を選んだ理由の一つに、他人の「結婚観」に対する言いようのない興味がある。「結婚ってどう思う?」という問いに、どんな話をしてくれるかで、相手の人生や価値観を垣間見ることができる気がするからだ。

私自身は、5年ほど前に5年ちょっと交際した男性と結婚した。27歳の春だった。

当時、代理店に勤めていた私。「いつ結婚すんの?」「何で5年も付き合ってるのにまだ結婚しないの?」と飲み会のたびに聞かれるようになって、このやりとりも面倒だなぁ、と思って結婚した。

と、書くと、とても消極的に聞こえるけれど、私は夫が大好きで、もちろん結婚することができてすごく嬉しかった。

ただ、彼ともよく話をしていたのは、世界中に私と彼二人しかいなければ、「結婚」はしないんだろうね、ということ。

社会に宣言をすることで「メリット」があるから、私たちは結婚という道を選んだ。それは同時に、法律上の婚姻関係がないことで被る「デメリット(当時デメリットと感じていたこと)」をなるべく減らすため、ということでもある。

そこには、親を不安にさせないという要素が、かなり大きく含まれていた。

私は、戸籍上の名前を変えたし、それは未だに心のどこかで晴れていないモヤモヤを生んだけれど、親にわかりやすい形で「幸せになる」ということの引き換えとしては小さかった。

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参考にするのは、親世代だけでいいのか?

高校生たちとこのお題について話そうと決めたもう一つの理由は、「結婚」は世代間の常識の差を浮き彫りにするテーマだと思ったからだ。

繰り返しになるが、私は、親が安心してくれる「結婚」の形を選んだ。

一方で「婚姻生活」という意味では、親世代とまったく違うスタイルを模索し、実践している(つもりだ)。父親が稼ぎ、母親が家を守り、子を育てるという性別役割分業の意識が根付いた世代の空気のせいか、私の父や母は「個」としての意思決定をリスペクトしあったり、2人なりのパートナーシップ構築のための努力をしたり、ということを軽んじてきたーそういう発想がなかったーように私の目には映る。

「そうじゃないだろう!」というのが私であり、同世代の友だちと話していて感じることだ。いわば「反面教師」である。

子どもがいようがいまいが、働き方がどう変化しようが、私は夫と、「個人対個人」で接したいと思うし、「家族」というチーム戦をどう乗りきるか、どう良くするか、二人で頻繁に話し合う。

これは健全なことと思いつつ(健全ですよね?)、親世代への反発の気持ちがあってこそ生まれている日々の実践だなとも思う。

そして、だからこそ余計に思うのだ。

参照するのが親世代=30個年上の人々だけで、大丈夫なのか。

10代の結婚観は?

せっかくちょうど半分くらいの、15歳くらい年下の方たちとお話しできるということで、勇んでこのテーマを選んだのだった。

実際、10代の参加者からでた意見を抜粋して紹介すると…

・結婚はしてもしなくてもいいけど、どうせするなら綾野剛みたいな顔の人がいい

・「バツイチ」の言葉が示すように、離婚に悪いイメージが強すぎて、失敗できないと思うと怖い

・将来結婚してみたいが、両親の仲が悪いから自分がちゃんとできるか不安。自分も、自分本位に生活して相手を傷つけるかもしれない

・結婚したいけど、仕事も頑張りたい。相手を幸せにすることと自分を自分を幸せにすることと、両立できるか不安だ

・結婚についてあまり考えたことがなかったけど、フェミニズムにはめちゃくちゃ興味がある。関係してるならこれからもっと考えてみたい

などなど…

10代にとって「結婚」はまだまだ遠い存在でもある。
さぐりさぐりの部分もありながらも、一人一人自分の言葉で話してくれた。

33歳、既婚、子なし。私が「結婚」に思うこともぶつける。

一方の私も、変に気負うこともなく等身大の自分で、「結婚」について思うことをこんな風にランダムに話した。

「うちの親も仲が悪かったけど、離婚はしなかった。お母さんが働いていなくて、離婚したら食べていけないと考えていたんだと思う。当時は全然わからなかったけど、結婚や離婚は、ジェンダーギャップの問題と密接に関わっているんだよね」

「いまや"人生100年時代"なんだから、結婚は複数回するのが当たり前っていう社会になると選択の幅が広がりそう…。20代、40代、60代で3回結婚するのとかどうだろう」

「私の知人には、本人は異性愛者だけど、同性カップルの婚姻が法律で認められるまでは自分も籍を入れない、という人もいるよ。私は自分のことばっかり(?)考えて結婚したから、そういう姿勢はカッコいいと思う。今からでもペーパー離婚しようかな?」

10代の参加者たちは、私の話に頷いたり、目を丸くしたりしながら、とても真剣に、自分がこれまでの人生で見聞きしてきたことと結び付けながら聞いてくれた。

私も彼女ら彼らから、大いなる刺激を受けた。

ふーむ、と思ったのは「どうせするなら綾野剛みたいな顔の人がいいな」という意見。何かに妥協しながら生身の人間と結婚するよりは、精巧な“綾野剛AI”と結婚した方が幸せかもしれないし、いまの高校生が結婚する頃にはそんな選択肢もありうるかも?などと空想した。

「結婚したいけど、仕事も頑張りたい」という意見は男性の参加者からのものだったのだけど、これはちょっとした驚きだった。私の世代では、これが就活中の女性たちの常套句だったからだ。(逆に男性からあまり聞いたことがなかった)

驚きと同時に、仕事と家庭生活がやっぱり二項対立的に捉えられている部分もあるのだな、と再確認。「あちらを立てればこちらが立たず」ではないライフスタイルがもっと広がればいいな、と感じた。

固定観念の新陳代謝を…!

さぁいよいよ話が熱くなってきた、というところで残念ながらタイムアップ。話は全然尽きない。正直、私の勉強不足ゆえに、押さえ切れていない論点だらけだったと思うけれども、親世代でもない、自分世代でもない、「別の世代」とプライベートなことを話す大事さを痛感した。

仕事や趣味なら、年齢を超えて色んな人と語らう場があったりするけれど、結婚や家族観、死生観などの「家の中のこと」と思われがちなことを、親や同世代以外の人と真剣に話すことって、なかなかないように思う。

でも、こんなに変化が激しい時代に生きているのが、今の私たちだ。

”参照点”がそこしかないのは勿体ないだけではなく、危うくさえもある。

15歳年下の話し相手ってマジ貴重、かつ大事……としみじみ。

普段の生活で15歳差の人に巡り合うのはなかなか難しいけれど、そうした機会を大切にしたり、新たに作ってみたりして、固定観念の新陳代謝を、少しでも活発にしたい。

そんなことを思った夜だった。

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Inspire Highのサイトはこちらです。次回のライブセッションのゲストはあっこゴリラさんらしいです。豪華…!(私が参加した"放課後セッション"じゃなくて、本編の方です!!)


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