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まちづくりをする不動産屋さんになるまで②

はじめての自治会

自治会の「班長」を引き受けることになってからは、「皆に迷惑をかけないように」この一点以外はとくに考えていませんでした。

子どものためにもご近所付き合いは良好でありたいと願い、正直めんどくさいことばかりでしたがなんとか無難にこなすという日々。近すぎず遠すぎず。

小さい頃からアパート暮らしで、19歳で一人暮らしを始めたときもアパート、21歳で初めて所有した不動産もマンションだったので自治会とはこれまでまったく縁のない生活でした。ですので、無難にこなすといいつつもしっかりこなせていたかどうかは正直分かりません。

この年は「美南一区自治会」が設立された年でもあり、全員が手探りの状態。幸い自治会の事業は単会でのイベントはなく、近隣自治会と協力しての開催だったのでなんとか他自治会の先輩の方々に協力していただき無事に進めることはできました。

しかし、思い返せば勤めながらの自治会の活動はそれはそれは大変でした。不動産業界は土日が忙しい職業。私はまだまだ中堅社員。成績も特別良いわけでもなく悪いわけでもないという、当時はそんな立ち位置でした。

自治会の会議の開催日はすべて日曜日。イベントともなると前日準備などもあり、当然土曜日も出席しなければなりません。出席者の多い日時で選択することは全くもって賛成ではありますが、時間をつくることがなかなか難しかったです。

仕事と自治会

営業マンにはノルマがあります。その月の売上が悪いときに、仕事以外のことに時間を使うことにおいては罪悪感すら感じました。

年に何回かは、「お客様のところに直行して、午後から出社します!」と自治会の会議に出席していたこともありました。

そんなこんなでなんとか一年、班長をやり抜き、「ようやく解放される!」と安堵の気持ちで最後の役員会議に臨みました。最後の会議は次年度の人事案件のみ。

当時の会長の挨拶から始まります。

会長「一年間お疲れ様でした。来期の会長からまずは決めたいと思います。どなたか立候補される方はおりますか?もしくは推薦したいという方はおりますか?」

班長役員「……。」

会長「私は一年の約束で会長を引き受けましたので再任は出来かねます。」

班長役員「……。」

沈黙はきっとものの数分だったのかもしれませんが30分くらいの長さに感じました。

まだ私の頭の中は、今を乗りきればもうおさらばだという気持ちがほぼ占めており、それよりこのあとお客様との約束があるから早く終わらないかなというくらいしか考えていませんでした。

そんな中、ポツリポツリと

「私は一年しかできません」

「私も仕事の都合で…」

と、一人また一人とできない理由を話はじめるという流れに…。

うっすらと不穏な空気を感じたとき、ある一人の提案で空気が一変しました。

まさかの展開へ

「会長を除いた班長、役員の中で一番会議への出席率が高かった人がよいかと思いますがいかがでしょうか?」

私も立候補や推薦がいないのであればなかなかいいアイデアかなと思いながら、皆と共に賛成の意を込めて拍手をしていました。

会長「で、どなたが一番良かったのでしょう?」

班長役員「えーっと、石井さんです」

私「?!」

私「???!」

私「んな、バカな…」

迷惑をかけないように…

一年限りだから…

と、必死に調整してきたのにこんな結末が待っていたとは…。

頭の中で、来年の計画がガタガタと音を立てて崩れていきました…

つづく…

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石井亮英
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