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病いの語り(正式名称は“fibrolamellar hepatocellular carcinoma”)②

二. 肝臓は沈黙の臓器
病気は分からないことだらけ。
原因だってわからないし、そもそもがんなんて、ただ一つの要因によってなる、みたいなそんな単純な、直線的なものではないらしい。
私の体内にあるこいつが初めからがんだったのか、もしくは途中からがんに変わったのか、それもわからない。

2018年7月に病院に行った時点で、当初は膿と診断されたそいつは約4㎝、そして一年後の今は約5㎝になっている。5cmのBADなボールが肝臓の中にあっても、何らかの関係で炎症さえ起きなければ、普通に生活できる。
10cmのものがあっても普通に生活してる人いますからねぇ、と平気で言う先生。自覚症状がないって、身体は楽だけど怖いことでもある。
健康診断だって、毎年ぜんぜんひっかかんなかった!
お前、いつからそこにいたの? という感じ。

三. 「わからない(知れない)」ということ
病気になって何が一番嫌、不安でしたか、と聞かれたら…
病気自体というより私は、自分の身体の状態がわからないこと、もっと言うと「知らされない」ことが一番不安だった。
ただ、これは人にもよる。知りたくない人だってたくさんいると思うし。
だからそのために、治療や入院の前に患者とよく意思をすり合わせておくとか、あくまで患者主体の医療が大切だと思う。

私は今現在日大医学部付属板橋病院で診てもらっていて、手術を控えている。私は患者というよりまるで日大医学部の学生みたいにノートに質問事項を書き並べて、診察のたび先生に一つひとつ質問している笑

自分の状態がわかんなかったとき、私は病院のベッドの上でそわそわ、自分の体内に一体何が起こっているのか、この次の瞬間にももうどうにかなってしまうんじゃないかとかも思って、四人部屋だから声を押し殺して泣いた。
家族が来てやっと、がん、って教えてもらった。そりゃびっくりしたけど、ちゃんとそれを聞いてほっとした。これからどう対処していくかが「わかった」から。


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