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病いの語り(正式名称は“fibrolamellar hepatocellular carcinoma”)①

2019年に自分でつけていた記録を、以下にそのまま再掲します。

一. がんと診断されて
2019年8月、肝細胞がんと診断を受け寝耳に水、24歳女性である私本人も驚き、母も祖母も友達も上司も同僚もみんな驚き、でもその事実を受け入れて、一つひとつ対処していくしかないのだ、と。

2018年7月、インフルエンザのような発熱と身体のだるさ、みぞおちの痛みで病院へ。肝臓の中に膿が溜まる肝膿瘍だと診断を受け、一週間入院し抗生剤投与。結果炎症の数値も下がってすっかり回復。まあ人生こんなこともあるか、と意気揚々と退院し、膿の塊と診断されていた肝臓の中の影はもうすっかり消えたと思ってた。
実際それから一年間元気だった。ホットヨガなんかも始めて、週に2回は汗を流していたくらいだったから。ホーチミンにひとり旅だって行った。でもちょうど一年後の2019年8月、ある朝起きたら急に腰と背中の痛みが。ヨガをやり過ぎたか?と一瞬思う笑
時間を経るごとに身体のだるさが増し、熱が上がる。この症状、昨年と似てる、と直感しすぐに病院へ。また入院して抗生剤を投与すれば、表面上の症状は不思議と落ち着く。

二年連続でこれはさすがにおかしいぞ、と思った先生の判断で生体検査を行う。
退院予定日前日先生から
「検査結果が一部出ました。ご家族の方を呼べますか?」
ご、ご家族?! 嫌な予感しかしない…
「何かあったんですか?」と私が聞いても教えてくれない。こんな若い女にいきなり宣告するには酷なことなのかな。にしても、自分の体内のことなのに、自分が一番に知れないって、変な感じ。
「とりあえず退院はできるんですか?」と聞いてみると、「とりあえずできます」と。
とりあえず、って何やねんな…
祖母と母、急いでバスと新幹線乗り継いで実家から東京に来た。
三人顔を突き合わせ診察室で聞いた結果、
私の肝臓の中の影は膿なんかじゃなかった、がんだった。肝細胞がん。
しかもそれとて正式名称じゃない。

正式名称は“fibrolamellar hepatocellular carcinoma”。なんと日本語名なし。フィブロラメラーへポトセキュラーカルチノーマ。

世界に100例もないんじゃないですかね、という先生。目を見開いて驚く祖母と母。
がんであることに変わりはないし、特別な治療をする訳でもない。ただ、若い人の、正常な肝臓に、ポンッとがんができてしまう、それがものすごく珍しいらしい。
とんでもないものを引き当てた、今なら宝くじ、当たるかもしれない…

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