見出し画像

病いの語り(正式名称は“fibrolamellar hepatocellular carcinoma”)③

四. がんと診断されてからの精神状態
三までの文を読んでもらったら、こいつは結構強いヤツだなあ、と思うかもしれないし、
実際私も自分は強いヤツだと思っていた。
周りの方たちの助けを借りて一つひとつ乗り越え、精密検査の結果肝臓以外には転移はなく、今のところは開腹手術をしてとっちゃえばとりあえずはOK、ということもはっきりし、
メンタルはそう揺らぐことはないだろうと思っていた。
でも、やっぱり若干揺らいだ笑
そりゃあ、そうか…
なので、実際どう揺らいだのか、ということを最後に書いて終わりにします。

特に夜眠る前、心臓がどきどきする感じ、息苦しい感じが頻繁にするようになった。
呼吸を整えながら、これが自律神経失調ってやつ? って思った。
主治医の先生に相談したら、心理の先生を紹介してくれたので、一度面談をしてもらった。
心理の先生は「それが当たり前ですよ。びっくりする診断を受けたことによって、その必要もないのに脳がどうしても常に警戒レベル1ぐらいになってるんです。何をやってもいつもの1.5~2倍程度は脳に負担がかかると思ってください」と言ってくれた。
なるほどな~、ちょっと雲行きが怪しい程度でも、今の私の脳なら大雨警報を出してしまうってことか〜

あとは、楽しいことはしたいけど、責任あることをするのがしんどい。それまで務めていたボランティア団体の代表も少ししんどい。
自分のからだのことを考えるあまり無意識のうちにキャパオーバーしてるんだろうなって、何となく自分では解釈している。私は周りが本当に理解ある人たちばかりだからほんと救われてるんだけど、これで「わがままになった」とか「病気で甘えてる」とか捉えられたとしたら、それはマジでしんどいな、と思う。
心理の先生曰く、がんと診断された人の約6割は適応障害を併発するとのこと。
だからって腫れ物扱いも多分しんどい。
一番ありがたいな~と思うのは、「もう今は何でもいいから一緒に楽しも! ご飯食べよ!」みたいなやつ。
でもこれは患者さんの自覚症状の重症度や食事・運動の制限によっても変わるので一概には言えません。

最後に、謎の被害妄想的な。例えば駅で人にぶつかられたとする。普段はスルーできたことなのに、「がんになんかなって、こんなに辛い私が、何でまたこんな目に?」とスルーできなくなる。
いつもではないけど、時々自分の中の「悲劇のヒロインちゃん」が顔を出し、ちょっとしたことで攻撃されたり責められたりしているように感じることが、少なからずある。
これは他でもなく、患者自身が自分の心をコントロールしていくしかないんだと思う。病気だからって人を傷つけたり攻撃したりしていい訳じゃない。
「あっ、また悲劇のヒロインちゃんが出た」って客観的に思える自分が居ればそれでいいんじゃないかと思う。完全に悲劇のヒロインちゃんを追いやってしまうことは難しいから。

とまあ、こんな感じで文章を書いていると、自分の心も整理されるし、誰かのためになったらいいな、なんてことも思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?