一駅分には留まらない驚きの香り
2ヶ月ぶりに美容室に行った。
いつも通り担当の美容師さんと他愛もない話をしながら、髪を切ってもらっていた。
「暫く切ってなかったから大分どっさり切れましたね〜」
「ほんとっすね!」
なんて掛け合い、足元に積もった髪の毛を見ながらシャンプー台に移動。
ここで、髪を洗ってもらう時にいつもと明らかに違うかほりが…!!
僕「うおっ!!なんですかこの匂い!?」
美容師さん「これはブドウの香りのシャンプーですね〜。結構強い匂いしますよね〜。」
いや、強いどころではない。
嗅覚が人並外れてないこの僕が「強い」と感じるほどのものだ。敏感な人なら卒倒しているんじゃなかろうか!?
美容師さん「結構人工的なブドウの香りしません??」
そうだ、めちゃくちゃ人工的な香りだ。自然界では存在しない明らかに攻撃的で目立つ香りがする…でもどこか懐かしいような…
これは…!似たものを嗅いだことがあるぞ…?えっと…ちっちゃい頃に食べた…グレープガムの香りだ!!!
人生の中で、ふとした時に昔の香りが蘇ることがあるが、まさかこのタイミングで幼少の頃に食べたグレープガム(直方体の箱に丸い6個のガムが入ってるやつ)のことを思い出すとは。たしかオレンジ味もあったな…いや、そんなことはどうでもいい!今、グレープガムの香りを全力で髪の毛にすり込まれている!どうしよう!!
このままでは頭から異様に人工的な葡萄の香りを漂わせる30過ぎの男になってしまう!周囲からグレープガムを見るような目で見られるのはいやだ!!…じゃなくてこんなことを考えている間にシャンプーは終わってしまう…!なんとかしなければ…なんとか…
美容師さん「ありがとうございました〜今日雪降るかもしれないんで気をつけて下さいね〜」
〜fin〜
今日、いつもしないグレープガム臭がすると思った方、犯人は僕でした。